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内定制度

株式会社インターネットイニシアティブ 代表取締役会長 鈴木幸一

 

 10月に入ると、「内定者懇親会」なる行事があるのだが、いつごろから始まったのか、記憶にない。かつては、「卒業したら、正社員になる」と約束し、夏休み前後からオフィスで働き始めてくれる学生さんが、内定者といえば内定者だった。まだ「内定」という状況なのだが、なかには正社員と同じか、それ以上の働き方をしてくれる学生さんもいて、「まだ社員になっていない」といった言い訳が全く通用しない過激な勤務をしてもらっていた。社員なのか、アルバイトなのか、気にする学生さんもいなかった。たまにひと区切りつく時間があり、分け隔てなく居酒屋で飲んでいると、社員なのか、違うかたちの雇用関係なのか、私にも区別がつかなかった。

 4月になると、「あの子、顔を見ないけれど、なにかあったの?」と、尋ねることが間々あった。「4月からNTTで働いていますよ。もともとNTTに内定が決まっていたので、4月からわが社で働いてもらうわけにはいかないのです」、「そうなの。結構、いい子だったのに、なんでNTTに行くことになったの?」、「もともとあちらに決まっていたのを、働き始めるまでやってみないかということになって。優秀だから、すぐに目立つようになり、なぜIIJで採らなかったのかと、みんなに叱られているのですが、そもそもIIJには、内定制度などないですからね」――そんな時代だった。何か確たる方針があって、内定制度がなかったわけではなく、一緒に仕事をしてくれるのなら、すぐにでも採用していたのである。

 内定制度は、ある意味、学生を逃げられないように、早い段階で囲い込む制度でもある。往時のIIJは、「IIJで働きたい」あるいは「勉強したい」と思っている学生しか応募してこなかったので、10月に会社で催す懇親パーティそのものに違和感を持つような若者が集まる会社だった。しかも、若い学生さんに、お世辞のひとつもかけなかった。その結果、慢性的な技術者不足で、社員も500人程度だった。今や3500人、規模が変われば、全てが変る。組織の仕組みや制度、カルチャーに至るまで、創業期以来、大切に残そうとしてきたことまで、少しずつ変わらざるを得ない。まずIIJという会社を理解してもらうことから始めるのだ。それがいい方針なのかどうかは難しいところだが、IIJに来てもらわなければ、何も始まらないのも事実である。

 トヨタなどの超巨大企業で、来年から雇用の3割を中途採用に切り替えていくという記事が出ていた。中途採用者を増員していくという趣旨よりも、トヨタのような企業が、今日に至るまで50パーセント以上の雇用を中途採用者以外でカバーしてきたことに、驚くばかりである。

 若年労働者が減少し続け、高齢者の比率が恐怖感を覚えるほどに高くなっている日本の将来を考えると、労働人口全体の高齢化は避けられない。それと同時に、若者が活躍し続けられる企業として、いかに存続していくのかは大難題である。ましてIIJのように革新的な技術に対し、尖った若者の能力を最大限に発揮してもらうことで巨大な技術革新を事業化してきた企業では、その解を見出す難しさに呆然としてしまう。


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