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Internet Infrastructure Review(IIR)Vol.25
2014年11月25日発行
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目次

2.3 H.265の登場と4K

映像のデジタル処理は常にデータ量との戦いです。単純に図式化すると、画質を上げればデータ量は増加します。データ量を抑えるためには、画角(画面サイズ)を小さくするか、画質の劣化を受け入れるしかありません。映像を主観的に最小限の劣化に抑え、データ量を削減するための技術がCODECと呼ばれる技術です。CODECとは"CODERDECODER"の略で、送出側でコーディングした(エンコーディングとも呼びます)ものを再生側でデコーディングすることを指します。この技術はDVDや地上デジタル放送で普及しています。現在、最も利用されているCODECは「H.264」(※2)と呼ばれる規格です。

H.264はITUとISOのジョイントグループで策定された規格です。策定されたのは2003年で、既に10年以上の歴史があります。この歴史の中でCPU能力の向上もあり、各メーカではアルゴリズムの改良を進めてきました。H.264はあくまで規格であり、圧縮部分のプログラミングは各メーカの独自の実装となるのです。こうした背景もありここ最近のエンコーダが作る映像は、初期のエンコーダに比べると画質がかなり向上しています。筆者は、H.264はまだまだこれから発展できるという研究者の意見も聞いたことがあります。しかし、そのH.264の性能向上を持ってしても、4Kへのキャッチアップは難しかったのです。

そこで登場したのが「H.265」(※3)という新しいCODECです。このH.265は開発時には「High Efficiency Video Coding(HEVC)」と呼ばれていました。H.265とHEVCとは同じものです。その名のとおり高効率で圧縮ができるもので、この10年間のCPU技術の向上を前提とし、動画圧縮に求められる計算量の増加を見越した規格となっています。またH.265はH.264の2倍の効率があると言われています。2倍の効率とはつまり2倍のデータをH.264と同じ帯域で送ることができたり、H.264と同等の品質であってもファイルサイズは半分になるということを意味します。

現在、CODEC技術を持つメーカは全力でH.265の性能向上に励んでいます。言い換えると、今後H.264 CODECに各社の更なる開発の手が加わることは考えにくいです(手を動かしているのは同じ開発者です)。結果として、H.264 CODECは現段階でかなり成熟しているということができるでしょう。

  1. (※2)H.264:Advanced video coding for generic audiovisual service(http://www.itu.int/rec/T-REC-H.264/eblank)。
  2. (※3)H.265:High efficiency video codin(http://www.itu.int/rec/T-REC-H.265/eblank)。
2.コンテンツ配信

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