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コラム|Column

タイのトレンド

タイ人で溢れかえる
スポーツシューズのイベント(著者撮影)

2014年頃からランニングやマラソン、サイクリングのブームが到来し、ヘルスケア・健康志向が高まっています。背景にあるのは肥満人口の増加や高齢化が考えられます。

特に健康志向が高まっているバンコクでは、「オーガニック」や「安全な食材」、「クリーンフード」といったキーワードが重要視されるようになりました。

SNS文化の浸透している若者を中心にアメリカ発祥の「クリーンイーティング」(できるだけ自然に近い食材を選び、加工食品などは避け、身体に良い食材を摂取する)という考え方が広がってきています。

ファッション関連の例では、アシックスの海外向けスポーツブランド「オニツカタイガー」はタイの王様が愛用との報道が出て、以降非常に人気のあるブランドとなっています。日本の表参道にあるショップはタイ人の観光旅行者・富裕層でにぎわっており、タイ語を話すスタッフも居ました。また、イッセイミヤケの「BAOBAO」は同じくタイの王女様が使用していたのをきっかけに人気となるなど、若者の間ではSNSの広がりとともに、日本や韓国のファッションスタイルにも人気が出ています。

機能性飲料の分野でも、乳製品、炭酸飲料、豆乳飲料、緑茶飲料などに様々な栄養成分(ビタミンB群、ビタミンD、カロチン、セサミンなど)を配合させた製品が並ぶようになりました。

健康を気にする中間層が増えた結果、商品選択肢の一つとして栄養素の配合などにも気を遣う流れが出来ています。

タイの大手乳飲料メーカー、ダッチミル社は2015年に乳製品に機能性、栄養素を加えたシリーズの販売を開始しました。GABAやセサミン、ビタミン類13種、カルシウム、ブラウンフォーミュラなどを配合したタイプや、低糖タイプなど、消費者の嗜好に合わせた商品を開発しています。

また、2015年アメリカ飲料大手コカ・コーラのタイ法人、コカ・コーラ(タイランド)はタイ国内に16バーツ/350mlという価格帯でスポーツの好きな一般中間層をターゲットとした「アクエリアス」を投入しました。「汗を大量にかいた後に栄養補給が出来る」とのうたい文句で、コンビニエンスストアやスーパーなどでも販売しています。

サイクリングも大きなブームです。以前、常夏のタイでは自転車に乗る文化があまりありませんでしたが、現在では広い道路や敷地のある郊外エリアでサイクリング用道路も整備されたり、多くのサイクリング愛好家を見掛けるようになりました。

高級自転車にも注目が集まり、日本でも10万円以上する自転車がコンスタントに売れています。2015年12月にはプミポン国王の健康を願う「Bike for Dad」というサイクリングイベントが開催され、多くのタイ国民が参加しました。

市内いたるところで見かける
旅行会社の広告(著者撮影)

所得が増えてくると次に考えるのが旅行・レジャーです。海外旅行情報がテレビでも特集される機会が増え、2013年からの日本観光ビザ解禁で日本への旅行者も急速に増加しています。地方自治体の売り込みも活発になっていて、佐賀県、千葉県などはタイのTV番組企画を誘致し、タイ国内でヒットしました。また、リピートで日本に来る旅行者には東京や大阪、北海道以外のレアな場所を求める傾向がみられます。

エアアジアなどLCCの登場で安く海外旅行が出来るようになったほか、翻訳アプリ、インターネットSNSなどの利用で、海外への抵抗・ハードルが下がったことも影響していると思われます。

また、一般的には一人当たりGDPが5,000ドルを越えると生命保険等へ加入する割合が急速に伸びるとされ、タイでも保険関連商品への関心が強まってきています(2014年度一人当たりGDP 5,445ドル)。

アセアン ジャパン コンサルティング株式会社
代表取締役 阿部俊之

アセアンジャパンコンサルティング株式会社 代表取締役。
早稲田大学商学部卒業後、タイへ渡り、現在タイ国内で現地の経済情報を伝え、タイ企業のリサーチ、日系企業進出支援を行っている。タイ進出案件のコンサルティング、タイの企業支援、日系企業の海外進出支援等、精力的に活動中。アセアンの経済統合に備え、隣国の調査も開始している
『だからタイビジネスはやめられない!』等、タイ経済、タイ株式、タイ不動産に関する書籍5冊上梓。