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コラム|Column

スマートフォンの普及が拡がるタイ

タイでは近年ソーシャルメディアの普及が凄まじく、Facebook、LINE、twitter、Instagramなどのアプリケーションを活用して、スマートフォンやパソコンから友人・知人に口コミを共有し、情報を宣伝、拡散するなどしており、インターネットにアクセスする時間は年々増加しています。

調査会社のIDC Thailandが2016年8月に発表した情報によると、2016年のスマートフォン販売台数は2015年比で+6%増の2300万台になると予測しています。同じく、スマートフォンの販売総額は+4%増で1,370億バーツになると予測しました。いずれタイ国内でのスマートフォン普及率が50%を超えると見ていて、今後は販売台数、販売額が鈍化する傾向にある一方で、2016年通年は過去最高の販売台数を記録する見通しです。

タイ国内スマートフォンの市場ではブランド別ではiPhone、Samsung、LG、Huawei、OPPOなど韓国メーカー、中国メーカーなどが強く、日系ではSonyがXperiaモデルを投入していますがシェアは少なく、圧倒的にApple、Samsungなどの人気が高いです。2016年上半期の販売台数は約1190万台、販売総額は約620億バーツとなりました。

スマートフォンの普及が拡がるタイ

では、実際にタイ人の間ではどのようなスマートフォンアプリが流行っているのでしょうか?周辺のタイ人、従業員などにヒアリングをしてみたところ、いろいろと出て来ました。

360 Camera(360度カメラ)
360 Cameraは自分で撮影した写真ファイルを加工・編集できるアプリです。既に6億人のユーザーを獲得しています。世界の有名モデルやアイドルも愛用していて7か国のカメラアプリランキングで長期にわたって第1位を維持。13か国のApple公式サイトでも紹介されたグローバルなモバイルカメラアプリです。タイでも人気の高いカメラアプリの一つです。

Beauty Plus(ビューティ・プラス)
Beauty Plusは自分で撮影した写真ファイルを加工・編集できるアプリです。いつでもカンタン綺麗にカワイイ自撮りができる人気カメラアプリで、シャッター音が出ない「無音機能」で、周囲を気にせず撮影が可能です。高画質&可愛いスタンプでプリクラの様なデコレーションや画像編集も出来、高度な顔認識で美顔加工が可能な「自動美顔」機能のほか、美肌/デカ目/ホワイトニング/顔やせ/美顔フィルター/足長効果など、女の子が必要な写真加工機能を搭載した「自撮り」アプリの決定版になります。こちらはより自撮りの好きなタイ人女性に人気のアプリです。

OP Society(OPソサエティ)
OP Societyはタイの女性向け化粧品メーカーが提供するアプリで、自社の様々な商品やサービスのeクーポンを得ることができます。

K-Mobile Bangking PLUS
K-Mobile Bangking PLUSは、タイの大手金融機関であるカシコーン銀行が提供しているアプリケーションで、残高照会、送金、支払、決済などを携帯電話・スマートフォンを通じて行うことが可能です。24時間いつでも取引が可能で、AIS、DTAC、TrueMove、CAT、TOTの3G回線をはじめ、主要な携帯電話事業者のモバイルネットワークを介して提供されています。

JOOX (ジュークス)
JOOXはここ最近急速に普及してきている音楽聞き放題のアプリです。
無料音楽配信アプリはタイ人の間でも広がっていますが、このアプリではタイ語の音楽を聴けるのはもちろん、洋楽も聴くことができます。また自分が聞きたいジャンルを設定しておくと自動で選択して流してくれる機能も付いています。

WongNai(ウォンナイ)
WongNaiはタイ語版のレストラン・レビューサイトアプリです。自分がいる周辺のレストランを評価、案内してくれる便利なアプリで、かつすべてタイ語です。タイ人は外食志向、レストランで夕食を取る頻度が極めて高いので良く利用されています。

GRAB TAXI(グラブ・タクシー)
GRAB TAXIは東南アジアで広くサービス展開しているタクシー配車サービスアプリです。近年急速に拡大をしていて、スマートフォンから現在地を確認、行き先を入力すれば、近くの走行中のタクシーに希望する情報が届きます、そこでGPS機能を使いながら安全に目的地まで届けてくれるサービスです。決済も選ぶことが可能で、ぼったくりや騙されることが前提のタイ国内タクシーにとって、明瞭会計で安全・安心に運んでもらえるとのことで、言葉に不慣れな外国人のみならず、タイ国内でもタイ人が利用するケースも増えています。

Candy Crush Soda(キャンディ・クラッシュ・ソーダ)
Candy Crush Sodaはスマートフォンアプリゲームでパズルゲームです。暇な時間、交通渋滞の間や、電車の移動中などでゲームをしているタイ人を多く見掛けます。
特に”無料”と言う言葉には敏感に反応します。

LINE TV(ライン・TV)
LINE TVはタイでメッセンジャーアプリとして普及しているLINEのテレビバージョンです。モバイルデバイスで動画を視聴するライフスタイルが日本以上に浸透しているのが東南アジアですが、特にタイではこのLINETVが普及してます。LINE TVの収益源は広告モデルで、視聴者数が多い番組には大手企業の広告も入る仕組みになっています。

Shopee TH(ショッピー)
Shoopee THは、ファッション、洋服、化粧品など女性向け買い物サイトアプリです。BtoBtoCモデルで、出店者は気軽に商品を販売でき、購入者も出品者の信頼度を確認して決済や支払いを行うことが可能です。近年は、モーターバイク運転手が商品を届けるサービスも増加しています。また駅構内での受け取りサービスや、商品が到着まで支払いが保留されるサービスなど、消費者側に便利かつ安心のサービスが増えています。

スマートフォン向けに新たなサービも次々に登場

日本でもLINEやFacebookの利用者が多いですが、それ以上にタイでは既にインフラとしてスマートフォンアプリケーションが浸透し、多くのユーザーが毎日のように利用しています。アジアの現地事情に合わせたアプリと世界で普及しているアプリ、いずれも人気がありますが、今後は4G回線がさらに普及していくとともに、インターネット分野での新産業・新規サービスが産まれることが予想されます。

一つ例を挙げると、インターネット利用者が増加していることを背景に、タイ政府は2016年7月、タイにおける銀行口座、国民IDカード番号、保有携帯電話の番号の情報をリンクさせ、支払サービスなどをより便利にさせるサービスを発表しました。
 同サービスは、タイ政府財務省とタイの地場銀行が主導して発表したもので、タイ国民が全員保有するID番号・個人所有の携帯電話番号を紐づけて使用し、お金の支払い・送金・残金確認などを行えるサービスです。「PROMPT PAY(プロンプトペイ)」の名称で16年度10月末以降導入予定となっています。

  • (※)タイ人のIDカード(身分証明書カード)は7歳から国民全員に発行され、常時携帯することが義務付けられています。(2011年以前は15歳以上が取得対象でした)

同サービスはタイ政府と財務省が進めようとしている"National e-Payment"計画の一つであり、これを利用すると銀行間の送金手数料が5000バーツ未満まで無料、5001バーツ~30,000バーツは最高2バーツ、30001バーツ~100,000バーツは最高5バーツ、100,001バーツ以上は最高10バーツと非常に安く設定されています。既に2016年7月から事前受付が開始されていて、各銀行でも簡単に登録が可能です。

インターネットが一般的に広く普及してきて、日本とはまた別の違った方向にサービスが進化しているのがタイの現状です。

アセアン ジャパン コンサルティング株式会社
代表取締役 阿部俊之

アセアンジャパンコンサルティング株式会社 代表取締役。
早稲田大学商学部卒業後、タイへ渡り、現在タイ国内で現地の経済情報を伝え、タイ企業のリサーチ、日系企業進出支援を行っている。タイ進出案件のコンサルティング、タイの企業支援、日系企業の海外進出支援等、精力的に活動中。アセアンの経済統合に備え、隣国の調査も開始している
『だからタイビジネスはやめられない!』等、タイ経済、タイ株式、タイ不動産に関する書籍5冊上梓。