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コラム|Column

日本で周辺機器の定番といえば、家電量販店を思い浮かべればUSBメモリー、ディスプレイ、プリンター、外付けHDD、無線LANルーター、デジタルカメラ、それに薄型ノートであればブルーレイドライブやDVD±RWドライブを持っている人もいよう。中国ではどうなのか。

家庭用のプリンターのニーズは低い

中国で最近目立つのはディスプレイだ。マルチディスプレイのニーズはヘビーゲーマーやパソコンマニアに限られていたが、他所でも局所的に高まったのだ。その理由はバブルがふたたびおきた中国株。中国株が連日上がる中、マルチディスプレイ化して株取引を行おうとする人が増えたのだ。株価上昇に伴い、淘宝網(Taobao)などでは、パーツを組んだマルチディスプレイのショップパソコンが発売された。中には6画面、8画面のものをパソコンとモニターをセットにして販売する店も。13億人も人がいれば、時代のニーズに対して素早く応える店もある。

中国での家庭内でのプリンター普及率は結構低い。携帯電話販売台数やインターネット利用者では10倍近い差が日本と中国であるが、プリンターについてはほぼ同数となっている。プリンターは電脳街のプリンター専門店やビジネス機器販売店で売られている。どちらもビジネス客向けだ。市場データにも出たが、去年はビジネス用途だろう、レーザープリンターが伸びている。ビジネス向けにビジネス機器販売店では、プリンターのほかにも、周辺機器ではないが、お札の枚数を数えつつ偽札を発見する「点鈔机」「験鈔机」という製品をはじめ、中国の国情にあった製品が売られていて面白いが、今回は家庭内の話。

まず写真を印刷しない。日本人がプリンターで写真印刷というと年賀状を思い浮かべるだろうが、年賀状を送る習慣がない。では写真印刷向けの用紙に写真を印刷するかというとそれもせず、中心街から郊外まで点在する写真屋で印刷すればいい。最近でこそ上海などの大都市で証明写真自動撮影ボックスが置かれつつあるが、中国全土の多数派は写真屋で店員にデジタル一眼レフで撮ってもらい、印刷してもらう。またCD-RやDVD±Rのブランクディスクに書き込んでくれるサービスもある。

文書はというと、これも家で印刷する必要がない。中国から日本に印鑑文化が渡ってきたが、当の中国では印鑑はあまり使われなくなった。もし文書を印刷したいなら、家族の誰かが会社に行ったときにでも会社のプリンターで印刷すればいい。もし会社が厳しくて無理ならば、プリンターを何台か備えたKinko'sのような印刷屋が、商業地から学生街から住宅街までいたるところにある。印刷屋というのは、中国に限らず、筆者が訪ねた南アジアや東南アジア地域においては多数あって、身近な存在だ。

山谷 剛史

1976年東京都生まれ。中国アジアITジャーナリスト。
現地の情報を生々しく、日本人に読みやすくわかりやすくをモットーとし、中国やインドなどアジア諸国のIT事情をルポする。2002年より中国雲南省昆明を拠点とし、現地一般市民の状況を解説するIT記事や経済記事やトレンド記事を執筆講演。日本だけでなく中国の媒体でも多数記事を連載。