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Internet Infrastructure Review(IIR)Vol.57
2022年12月26日発行
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目次

エグゼクティブサマリ

「IIR Vol.57」は2022年最後の発行となります。本年の我が国のICT業界における大きなトピックの1つとして、ICT事業者のサービス停止によって社会活動に大きな影響が出たことが挙げられます。旧来の電気通信事業者だけでなく、クラウドサービス事業者のサービス停止もテレビのニュースで取り上げられました。これは我が国に限ったことでなく、韓国においても利用者の多いスマートフォンアプリの障害で社会生活の広い範囲に影響が出たことが報じられています。

ICT事業者がサービス品質の向上に取り組むべきことは言うまでもありません。日本の移動通信においては、非常時における移動通信事業者間のローミングに関する議論が活発になっています。利用者が代替手段を用意するなど自衛策を講じるだけでなく、提供者である事業者側でも障害時には相互にバックアップしてサービスを継続すべきという考え方によるものです。

移動通信業界では、世界的にも効率性の追求のために設備供用が進んでおり、従来の設備構築によるエリア拡大競争という考え方から徐々に変化し、非常時におけるローミングも、設備構築が競争領域から協調領域に入りつつあると捉えることもできます。

インターネットの出現から、電気通信事業は大きな変化に晒されています。国際的なクラウドサービス事業者も含めて、新しいICT業界の秩序や考え方が議論・整理されるなか、基盤となる移動通信事業の枠組みが別の観点から問われていることの現れであろうと注視しています。

「IIR」は、IIJで研究・開発している幅広い技術を紹介しており、日々のサービス運用から得られる各種データをまとめた「定期観測レポート」と、特定テーマを掘り下げた「フォーカス・リサーチ」から構成されます。

1章の「定期観測レポート」は、IIJインフラから見たインターネットの傾向の2022年版です。インターネット上のIPv4及びIPv6経路数、利用者に提供しているフルリゾルバから得られるDNSのクエリの解析、IPv6及びモバイルのトラフィックを分析しました。インターネットは常に変化しており、変化のなかにいると見過ごしがちな絶対量や全体に占める割合などのデータを継続的に分析することで、多くの知見が得られると考え、定期的に定点観測しているものです。今年も興味深い結果が出ていますので、ぜひご覧ください。

2章の「フォーカス・リサーチ(1)」では、IIJの新しいバックボーンネットワークである「VX」を紹介しています。VXは本年リリースした新サービスで利用するために構築したもので、SDN、自動化、API連携などの機能を実装しています。その開発の背景や実装を説明するうえで、今までのバックボーンネットワークの歴史についても触れています。創業以来、IIJの事業基盤であるバックボーンネットワークに対する考え方も知っていただける内容になっています。

3章の「フォーカス・リサーチ(2)」では、社内で構築した情報分析基盤「illumino」を紹介しています。我々が運用するサービスシステムからは膨大なデータが生成されています。それらのデータを集約・分析し、お客様にとっても、我々自身にとっても有益な価値を創出する取り組みを進めています。データの集約・分析により、どのようなことが可能になるのか、どのようなことを実現しようとしているのか、その事例や効果を含めて解説しています。

IIJは、このような活動を通してインターネットの安定性を維持しながら、日々、改善・発展させていく努力を行っています。今後も企業活動のインフラとして最大限にご活用いただけるよう、様々なサービスやソリューションを提供し続けてまいります。

島上 純一

執筆者プロフィール

島上 純一 (しまがみ じゅんいち)

IIJ 常務取締役 CTO。インターネットに魅かれて、1996年9月にIIJ入社。IIJが主導したアジア域内ネットワークA-BoneやIIJのバックボーンネットワークの設計、構築に従事した後、IIJのネットワークサービスを統括。2015年よりCTOとしてネットワーク、クラウド、セキュリティなど技術全般を統括。2017年4月にテレコムサービス協会MVNO委員会の委員長に就任、2021年6月より同協会の副会長に就任。


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