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Internet Infrastructure Review(IIR)Vol.23
2014年5月28日発行
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目次

エグゼクティブサマリ

総務省が2014年3月14日に発表した資料によると、2013年11月時点での我が国のブロードバンドサービス契約者の総ダウンロードトラフィックは、推定で約2.5Tbpsとなり、前年同月比で33.2%増となりました。前回の本レポートでも報告しましたように、それらのトラフィックを運んでいるアプリケーションは、徐々にHTTP/Webへシフトする傾向を示しています。また、ガートナー社が2013年8月に公表した「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2013年」では、鍵となるテーマは人とマシン間の進化しつつある関係にあるとされており、ハイプ・サイクルにおいては、以下の6つの要因をサポートするテクノロジーに焦点が当てられている、とされていました。すなわち「テクノロジによる人間の能力の増大」「マシンによる人間の作業の代行」「人とマシンのコラボレーション」「マシンによる人と環境の認識力の向上」「マシンへの人の理解の高まり」「より賢くなる人とマシン」です。そして、それらの実現のためのキーテクノロジーである「ビッグデータ」は、ちょうどハイプ・サイクルの頂点に差し掛かっているとされていました。

個人のプライバシーに関わるデータのセキュリティを確保することは、インターネットを安心・安全に活用する際に不可欠となりますが、それとは並行して、よりコンピュータを活用し、人間の能力や社会を進歩させるトレンドを進めるのであれば、インターネットやクラウド上でやり取りされたり蓄積されたりしているデータを積極的に活用して行くことも必要とされている、ということになるのでしょう。

本レポートは、このような状況の中で、IIJがインターネットというインフラを支え、お客様に安心・安全に利用し続けていただくために継続的に取り組んでいる様々な調査・解析の結果や、技術開発の成果、ならびに、重要な技術情報を定期的にとりまとめ、ご提供するものです。

「インフラストラクチャセキュリティ」の章では、2014年1月から3月までの3ヵ月間に発生した主なインシデントを時系列に並べ、分類し、月ごとに概要をまとめると共に、期間全体での統計と解析結果をご報告します。また、対象期間中のフォーカスリサーチとして、PlugXの検体群を解析することで背後にどのような標的型攻撃グループが関与しているかを調査した結果の解説と、昨年末頃から増えてきているDrDoSと呼ばれる攻撃手法とその対策についての説明、及び、電気通信事業におけるサイバー攻撃への適正な対処の在り方に関する研究会について解説します。

「メッセージングテクノロジー」の章では、2013年4月1日から2014年3月30日までの52週分の迷惑メールの動向分析を、2013年12月30日から2014年3月30日までの直近13週にフォーカスを当てて実施した結果をご報告いたします。また、メールの技術解説では、送信ドメイン認証技術の導入状況や、2006年にExperimental RFCとして標準化されたSPFの改訂作業について解説します。

「技術トレンド」の章では、現在のビッグデータに関わる現状と、それに伴ってリアルタイム化を指向する解析基盤に関わる技術動向、更に時系列データからの知見を得るビッグデータ解析手法の多様化について概観します。また、ビッグデータの時系列に着目した分析の例としてWikipedia PVCを用いたトレンド分析の結果を解説します。

IIJでは、このような活動を通じて、インターネットの安定性を維持しながらも、日々改善し発展させて行く努力を続けております。今後も、お客様の企業活動のインフラとして最大限に活用していただくべく、様々なソリューションを提供し続けて参ります。

浅羽 登志也

執筆者プロフィール

浅羽 登志也(あさば としや)

株式会社IIJイノベーションインスティテュート 代表取締役社長。株式会社ストラトスフィア 代表取締役社長。
1992年、IIJの設立と共に入社し、バックボーンの構築、経路制御、国内外ISPとの相互接続などに従事。1999年より取締役、2004年より取締役副社長として技術開発部門を統括。2008年6月に株式会社IIJイノベーションインスティテュートを設立、同代表取締役社長に就任。2012年4月に株式会社ストラトスフィアを設立、同代表取締役社長に就任。


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