
海外拠点のセキュリティは経営リスク|グループ全体統制の最適解とは
2026/07/17
――IT人材不足・予算制約の中で進めるガバナンス強化とは――
「IT担当者がいない、予算がない海外拠点において、どのようにセキュリティガバナンスを強化すべきか」というテーマのもとIIJとKnowBe4 Japanの2社でウェビナーを開催し、グローバル企業が直面する現実的な課題と、その解決に向けた実践的なアプローチを共有しました。
日本企業のグローバル化が進む中で、海外拠点のセキュリティは経営インパクトに直結する重要なテーマとなっています。本記事ではウェビナーの内容をもとに、海外拠点を巡るリスク構造と、ガバナンス強化の考え方を整理します。
※本記事は2026年6月に開催された、IIJとKnowBe4 Japanによる共催ウェビナーの内容を抜粋したものです。下記リンクにてウェビナーを二か月間限定再配信しておりますので、ご興味ある方は併せてご視聴ください。
海外拠点が“攻撃の入口”となる構造
近年、サイバー攻撃の標的は企業の本社単体からグループ全体へと拡大しています。特に狙われているのが、本社と比べてセキュリティ対策が十分に行き届いていない海外拠点です。この点について登壇者の一人であるIIJグローバル営業部の井谷は、海外子会社のランサムウェア被害を起点に発生したセキュリティインシデントを挙げて、その懸念点を整理しました。
- グループ共通のファイルサーバーに不正アクセスされた事例
- 海外からの侵入によって、数百億円規模の損害と情報漏えいに発展したケース
これらの事例が示すのは、「最も弱い拠点が全体のリスクを決定する」という現実です。従来のように拠点ごとに対策の強度を変えるアプローチでは、どうしても手薄な拠点が狙われ、結果的に企業全体のセキュリティを脅かしてしまいます。
このため、拠点単位ではなく「グループ全体を俯瞰したガバナンス」が求められる時代へと移行しています。
なぜ海外拠点のリスクは見えにくいのか
海外拠点のセキュリティが脆弱になりやすい背景には、構造的な課題が2つあります。
- IT人材の不足
- 多くの海外拠点ではIT専任者が不在、あるいは兼任体制であることが一般的です。IT人材の不足により、本社と同等のセキュリティ運用が行われていないケースも少なくありません。
- IT環境のブラックボックス化
- 海外拠点は買収や新規進出など多様な経緯で設立されるため、IT環境の実態について本社が十分に把握できていない場合があります。さらに、現地ベンダーへの依存が強い場合には、構成や運用の詳細が共有されず、リスクの把握が難しくなるケースもあります。
この2つが重なることで、「見えていないリスクが蓄積する」状態が発生します。
ガバナンス強化に向けた実践アプローチ
こうした課題に対して、以下のような具体的な対応ポイントが提示されました。
- 本社主導か現地最適か、ソリューション選定のポイント
- 地域特性を踏まえたマネジメント
- 現地ベンダーの選定基準と本社連携
- 組織のセキュリティ統括機能の強化
- セキュリティ対策における費用負担
ウェビナー本編では、これら対応ポイントに沿って実践的なアプローチや具体的な事例などを解説しました。
システムだけでは解決できない「ヒューマンリスク」
ウェビナー後半では登壇者KnowBe4 Japanの広瀬氏が、セキュリティ対策における人的要素の重要性を解説しました。企業のサイバーインシデントの多くはヒューマンエラーに起因しており、個人の問題ではなく組織文化や業務環境に影響されます。セキュリティ文化を改善するには、単なる教育や訓練に加えて、組織として以下のような取り組みが必要です。
- アンケートやトレーニングによる従業員の意識や行動の数値化、リスクの可視化
- 教育や訓練を継続的に行い、組織全体のセキュリティレベルを底上げ
つまり、リスクを定量的に可視化したうえで、継続的な教育や訓練を実施することで、実効性のある改善につながります。
成功の鍵は「信頼」と「可視化」
地域の特性を考慮すべき海外拠点では、セキュリティガバナンスを機能させるための統制だけでは限界があります。アンケートなどを通じて従業員の意識を把握し、「7つの評価軸」を用いてセキュリティ文化を可視化するなど、現地の理解と協力を得ながら自律的な改善を促すことが重要です。
ウェビナー本編では広瀬氏が実際の利用企業の事例に触れつつ、「7つの評価軸」などによるセキュリティ文化の醸成や、現地の信頼関係を基盤としたアプローチ手法について解説しました。
海外拠点のセキュリティガバナンスを考えるヒントに
今回のウェビナーではIIJとKnowBe4 Japanの2社が、それぞれの視点と経験から「海外拠点のセキュリティガバナンスの強化」について語りました。ガバナンス強化の実践アプローチや、「7つの評価軸」を活用したセキュリティ文化の可視化などをもとに、
- 海外拠点のリスクをどのように把握すべきか
- 本社と現地の役割をどう整理すべきか
- セキュリティ文化をどのように可視化し改善するべきか
といった論点について解説していますので、ウェビナー本編にてどうぞご確認ください。





