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Internet Infrastructure Review(IIR)Vol.69
2026年3月
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目次

エグゼクティブサマリ

今年も3月3日から、スペイン・バルセロナでMWC2026が開催されました。筆者は現地を訪問できませんでしたが、MWC2026に関する各種ニュースやWebサイトを介した情報発信を追う中で、「AIネイティブ・ネットワーク」と「NTN(Non-Terrestrial Network:非地上系ネットワーク)」がキーワードとして印象に残りました。

AIネイティブ・ネットワークとは、これまで人が設計・管理・運用してきたネットワークを、AIがリアルタイムに状況を把握し、自律的に最適化していくという世界観を示すものです。

NTNに関しては、低軌道衛星を活用した通信インフラの進展が大きく取り上げられていました。SpaceXのStarlinkからは「Starlink Mobile」が発表され、スマートフォンを利用した衛星とのダイレクト通信サービスを商用展開していく方針が示されました。また、Amazonは低軌道衛星コンステレーション(Amazon Leo)の展開を加速させ、クラウドサービスとの連携を意識した構想を発表しました。MWC2026では、衛星通信が実験的な段階を脱し、いよいよ地上ネットワークと並ぶ通信基盤の一つとして現実味を帯びてきたという印象を持ちました。

インターネット基盤を取り巻くこうした環境変化を踏まえつつ、今号は、セキュリティ、時刻同期、バックボーンという3つの観点から、IIJの取り組みを紹介します。

第1章では、IIJのSOCが観測した2025年のセキュリティ動向を中心に分析しています。DDoS攻撃、フィッシング、ランサムウェアといった従来型の脅威が引き続き深刻な影響を及ぼす一方、ClickFixに代表される、人の操作を起点としたソーシャルエンジニアリング型攻撃が急増しました。また、これらの脅威への対策を進める中で、近年は脆弱性の公開件数が増加し、公開直後あるいは公開前から悪用されるケースも増えており、従来の評価指標だけでは対応のプライオリティがつけづらくなっています。EPSS、LEV、SSVCといった新しい評価指標を含め、限られたリソースの中でリスクの高い事象をどのように見極め、対応していくべきかについて、IIJのSOCにおける実践的な検討結果を紹介しています。

第2章では、高精度な時刻同期技術であるPTP(Precision Time Protocol)を取り上げています。通信、放送、金融、電力といった分野では、時刻同期がサービス品質や安全性の根幹を支えていますが、従来のPTPは閉域かつ安定したネットワークを前提としており、公衆網での利用には制約がありました。本章では、PTPの基本的な仕組みと課題を整理した上で、IIJが関与するRPTP(Resilient PTP)の取り組みを紹介し、公衆網上においても実用的な精度で時刻同期を成立させるアプローチを示しています。

第3章では、トラフィック増加が続く中でのIIJバックボーンの進化として、IP over DWDMの商用導入について、400ZR規格におけるベンダー間の相互接続検証や、既存環境との整合性に関する検証内容を紹介しています。大阪の新規コア拠点におけるIP over DWDMの商用導入では、様々な課題が認識(or 把握)されましたが、総合的にはコスト削減、リードタイム短縮、運用効率化、拡張性向上のいずれの点においても高い効果が得られることが確認されました。

今号は、セキュリティ、時刻同期、バックボーンといったインターネット基盤技術における喫緊の課題と、その解決に向けた取り組みを紹介しました。IIJは「技術で社会を支える」という使命のもと、安定したサービスを基盤として、変化の激しい時代にも対応できるよう、今後も進化し続けてまいります。

染谷 直

執筆者プロフィール

染谷 直 (そめや なおし)

IIJ常務執行役員 ネットワークサービス事業本部 クラウド本部長。
1998年、IIJ入社。直後にIIJテクノロジー(2010年にIIJに吸収合併)へ出向。IIJテクノロジーではSI事業の立ち上げに携わり、多くのインターネットシステムの構築やコンサルティングに従事。その後、16年よりIIJのサービス事業部門に異動し、クラウド事業の中期事業戦略を担当。19年、クラウド事業責任者に就任。今年度より「IIR」編集長に就き、IIJにおけるリアルな技術情報を横断的かつ積極的に読者の皆様へお届けしたいと考えている。


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