ページの先頭です
IIJでは創業以来、インターネットバックボーンを自ら設計・構築・運用してきました。これはISPとしてのサービス品質を確保する上で重要であり、トラフィック変動や技術選定において、設計・運用判断を自社内で完結できる点につながっています。
近年、国内外のインターネットトラフィックは増加の一途をたどっており、その伸びはかつて以上に速く、また突発的な要因によるピークも増えています。バックボーンはIIJのサービス基盤の中核であるため、輻輳させることは許されません。従って、需要に応じたタイムリーな帯域増強と、バックボーンの将来性を見据えた構成の検討が不可欠となっています。
しかし、従来の構成では課題も存在しました。バックボーンを構成する拠点間を接続するためのキャリア回線の追加調達には長いリードタイムが必要であり、コストも線形に増えていきます。更に、トランスポンダを用いたWDM(Wavelength Division Multiplexing:光波長多重)装置は運用の複雑性を伴い、増強の単位も大きく柔軟性に欠けるものでした。
こうした背景のもと、IIJでは次世代のバックボーン増強技術としてIP over DWDMを検討し、2025年に商用導入を開始しました。本稿では、導入前の検証プロセス、商用ネットワークでの構成とその効果、更に今後の展望について紹介します。
IIJのバックボーンは国内外の拠点間を大容量の回線を用いて接続し構成しています。その拠点間接続に利用される技術がWDMと呼ばれるものです。WDMは、1本の光ファイバーに複数の異なる波長の光信号を同時に流すことで、通信容量と伝送距離を大幅に向上させる技術です。
DWDMで主に使われる波長は、C-BandやL-Bandで、光ファイバーで伝搬ロスが少なく、EDFA(Erbium-Doped Fiber Amplifier)によって増幅しやすい波長帯であるため、大容量の長距離伝送に特に適しています。また、昨今ではIMDDより高度なコヒーレント通信方式を用いており、位相情報・偏波情報も利用することで、1波あたり100G、200G、400G、800Gといった高いビットレートと数百km〜数千kmの伝送距離を達成できます。NTTやKDDI、ソフトバンクといった自社で光ファイバーを所有するキャリアがWDM技術を用いた伝送装置を用いて専用線サービスを提供しており、IIJはそのサービスを利用して拠点間を接続することでバックボーンを構成しています。
図-1 従来のIIJバックボーンにおけるDWDMを用いた拠点間接続
IIJバックボーンでは2006年ごろから特に大容量の接続が見込まれる都内の拠点間接続にWDM技術を用いた伝送装置を自前で設計・構築・運用し展開を進めてきました。当時は10ギガビットイーサネットが主流かつバックボーンファブリック(BF)(注1)と呼ばれるバックボーンの構成を利用していたこともあり拠点間で大量の10Gリンクを必要としていたため、10G DWDM装置の導入を進めました。2010年代から100ギガビットイーサネットの導入及びWARPと呼ばれるMPLS L2VPN構成への移行と集約により回線利用率と回線数の集約が行われ、IIJバックボーンにおける10G DWDMの重要度は下がっていました。
その後トラフィックが成長し単一区間で100Gを超えるトラフィックを持つ統計多重が効かないL2VPNやMPLSルータ間に対して100ギガビットイーサネットに対応したDWDM装置を導入し巻き取りを進めていました。
このようにIIJではWDMを活用しながらバックボーンの増強を進めてきましたが、近年トラフィックの著しい成長により従来の方法では増強のスピード、コスト面で課題が出てきていました。そんな中、より柔軟なバックボーン構築を可能にするIP over DWDM技術に着目し、検証やバックボーンへの導入検討を始めました。
IP over DWDMとは、ルータやスイッチが伝送装置を介さずに、DWDMを利用できるようになる方式です。従来は、ルータとDWDMの光伝送網の間には専用のトランスポンダや波長フィルタ及びアンプによって構成されるOLS(Optical Line System)と呼ばれる機構が必要でしたが、IP over DWDMではこれらの装置のうち、トランスポンダの部分をルータに直接挿入できるPluggable Digital Coherent Optics(DCO) にすることで、ルータと物理レイヤーをより密接に統合します。その結果、ネットワーク構成はシンプルになり、バックボーンの大容量化および増強に要するリードタイムの短縮が期待できます。IP over DWDMがもたらすこれらの効果については、後段で詳述します。IIJではこの技術の商用導入に向けて様々な検証を実施しました。
近年、QSFP-DD/OSFPなどの形態で提供されるDCOが急速に普及し、ルータへ直接挿して長距離伝送が可能となりました。400ZR/OpenZR+といった規格が整備され、専用装置で高価であった従来のトランスポンダの代替技術として注目されています。
400ZR はOIF(Optical Internetworking Forum)(注2)、OpenZR+ (400G-ZR+)はOpenZR+ MSA(注3)により実装合意や共通の技術仕様で開発が行われています。しかし、規格化されているからといって「挿せば動く」わけではありません。現実には以下のような課題があります。
IIJでは2021年頃から段階的に検証を開始し、2024年には複数ベンダーのOLS /400ZRの実機試験を行いました。
JuniperとCiscoの400ZR/ZR+を組み合わせた検証では、以下のような事例が確認されました。
1.についてはDCOに限らずですが、トランシーバには相性問題が存在している場合があります。具体的にはトランシーバのベンダーにより許容される信号波形の品質に差異が存在しており、組み合わせによってはリンクが安定しないなどの問題があります。導入に当たっての検証では利用を想定しているルータとOSバージョンとDCOベンダーごとの結合試験を行いました。その中で特定ベンダーの組み合わせで相互接続した際にOSNR(Optical Signal-to-Noise Ratio)とPRS(Polarization Rotation Speed)と言う光信号品質の劣化が確認され、リンクが安定しない状況が発生しました。
2.についてはApplication Select Code(AppSel)が主に問題となりました。このAppSelと呼ばれるものは、DCOがルータへ対応しているデータレートや変調方式やFEC(Forward Error Correction)の方式をアドバタイズする仕組みです。これらはImplementation AgreementsやSpecificationに具体的な定義がなく、ルータベンダーやトランシーバベンダー実装に依存し期待どおりの変調方式が設定されない、変更できない問題が発生しました。
3.についてはDCOがルータのOS実装で成熟しきっていないなどの理由でタイミングイシュー的にチューニングが反映されない、リンクアップができないなどの事象に直面しました。
こうした挙動は商用導入時のリスクとなるため、IIJでは複数パターンを再現し、現象の切り分けと条件整理を行いベンダーへ修正の依頼や情報の提供などを行いました。
400ZRは20W前後の高発熱となることが一般的で、これらの発熱は機器前方から吸気が行われ、トランシーバのヒートシンクを経由し、機器背面のファンから排気されることで冷却されます。QSFP-DDの400ZR/ZR+ではType 2Aと呼ばれるヒートシンクが通常より分厚いモジュールが採用されることが一般的です。これらは機器前面の吸気を阻害し冷却性能に影響を与えることも分かりました。
図-2は実際に400ZRをルータへ挿入した写真で、ヒートシンクが前面の吸気口へ干渉している様子が見て取れます。これらの機器のエアフロー特性はルータ・スイッチベンダーよりアドバイザリーが出ている場合もあります。

図-2 400ZRの冷却機構の例
商用環境では上下以外にも左右へ他のトランシーバが挿入されるため隣接ポートの熱がDCOへ伝搬し高発熱となるためケアが必要です。
また、DCOベンダーによる性能差も顕著でした。図-3はDCO2社の温度性能を同条件で比較したものになります。両社で8℃ほどの差が生まれています。温度に関しては搭載機器のしきい値もしくはDCOのしきい値を超えると強制停止がトリガーされるため注意が必要です。
図-3 ベンダー2社のDCO温度性能比較
3.2節で述べたとおりIIJでは既存の100G DWDM網が存在しており、既存のOLSへの他社信号接続(Alien Wavelength)での検証を行いました(図-4)。
図-4 既存OLSを流用した他社信号接続(導入試験時)
この構成のメリットは追加投資が不要で、空き波長を有効活用できました。しかし、実際に結合試験を行ったところここでもいくつかの問題点が出ました。
まずTransponderの送信光パワーは+1dBm 〜+3dBm程度に対し、DCOは-10dBm程度の設計が多く見られます。波長ごとの光信号強度に著しく差が存在する場合、アンプの調整難易度が高くなります。
また、既存OLSではColorless Add/Dropを利用していました。Colorless Add/Dropでは挿入損失(Insertion Loss)が大きく、Degreeへの光がフィルタされないため合波された光信号がそのままDCOへ送信されます。DCOは自身の波長を処理するためリンクアップや動作は可能ですが、最大受光レベルがおおむね0dBm前後を受光上限とするDCOが多いため、DCOのチャネルの信号に合わせてチューニングをすると、多くの場合超えてしまいます。
そして、この2つのDCOの送信光パワーの低さとColorless Add/Dropの特性によりBooster Amplifier(送信機側の増幅器)に求められる性能が高くなる結果となってしまいました。同時期にHigh Tx output power(+/-0dBm)タイプについても検証を行っており、そちらであればアンプ調整難易度と最大受信レベルの問題は緩和が可能でした。
検証の結果、これらの課題により既存OLSを利用した400ZR 導入には高い壁があることが確認されました。そのため新たにIP over DWDMへ最適化されたOLSの選定を行いました。最終的に検証環境においては図-5のようなOLSを構成しました。この構成により先述のTransponderとDCOの共存が可能となりました。また、AWGの利用により利用チャネル以外の信号がフィルタされるため、DCOの最大受光レベルを超える問題も解消されました。
図-5 IP over DWDMを用いたOLS構成(導入試験時)
しかし、これらの構成で最終的な試験を行っていた際に新たな問題に直面しました。障害試験の一環で片端にてAWGへ光を折り返したところ、対象ではない隣接のチャネルの波長のリンクがflapしてしまう事象が発生しました。
図-6 IP over DWDMの問題点
調査したところAWGで本来フィルタされるべき信号が隣接チャネルへ想定以上に漏えいしている事象が確認されました。これにより漏えいしたチャネルが主信号のノイズとなり、品質の劣化が発生し、flapする事象が発生しました。この問題については利用者が1チャネル間違えた波長を設定し接続してしまった場合や、波長自動設定機能のついたDCOによる波長走査スキャンの際に、隣接のチャネルへの影響が発生することになります。そのため、同機種での商用利用の際には隣接チャネルのアサインを禁止するルールの作成や、隣接アイソレーションが十分に取れたMultiplexer/DeMultiplexerの利用を推奨することとしました。

図-7 隣接チャネルへの信号漏えい
本レポートのVol.58(https://www.iij.ad.jp/dev/report/iir/058.html)の「フォーカス・リサーチ(3)IIJバックボーン30年間の変遷」でも紹介したとおり、IIJのバックボーンは現在、国内外の主要都市に設置した複数の拠点を100ギガビットイーサネット主体で相互接続する構成となっています。これらの拠点間ではトラフィック量に応じて必要な区間へ100G回線を追加していくことで、これまで拡張を進めてきました。しかしながら、この方式にはいくつかの課題が内在していました。
第一に、キャリア回線の調達リードタイムが非常に長いことが挙げられます。キャリア回線の調達には増強計画の共有やファイバールートや価格の交渉、会社間での工事スケジュールの調整などが必要になり短くても数ヵ月、場合によっては1年近い期間を要することもあり、突発的なトラフィック増加に対して十分に迅速な対応ができない場面がありました。第二に、回線費用がトラフィックの増加に比例して増大するという課題もあり、より効率的な手段が求められていました。
冒頭でも述べたとおりこれらの課題に対する補完策として、IIJでは以前から自営の10G/100G DWDM伝送装置を活用し、特に大規模トラフィックが見込まれる区間においてはキャリア回線と自営伝送を併用する形でバックボーンの柔軟性を確保してきました。とはいえ、自営DWDM伝送装置の増強も決して容易ではありません。一度構築した帯域を使い切ってしまうと、装置の調達や構築には数ヵ月の期間を必要とし、また最小の増強単位が数百G単位と大きいため、直近需要だけでなく将来的なトラフィック予測を踏まえた慎重な投資判断が求められました。このように自営DWDM伝送装置を用いる従来手法だけではバックボーンを維持することが徐々に難しくなりつつありました。
このような背景のもと、IIJでは次のバックボーンの拠点間接続の手段としてIP over DWDMの導入を検討し始めました。
IP over DWDMは従来のDWDMシステムとは異なるいくつかの特徴を持ち、IIJが抱えていた課題の解決策として大きな期待が寄せられました。
最も大きな利点は、増強作業のリードタイムが短縮される点です。事前にOLSの整備が完了していれば、増強時にはトランスポンダと比較して短納期で調達可能な400ZRトランシーバをルータポートへ挿入し、必要な設定を施すだけで済みます。従来のように長納期となりがちなDWDM伝送装置のモジュールを新規に導入する必要がなく、部材調達や構築の期間を大幅に削減することが期待されます。
こうした構成上の変化は、バックボーンの運用コストにも好影響を与えます。従来型のDWDM装置と比較すると、機材コストの低減に加え、消費電力や設置スペースの削減が期待できるからです。た、運用面においてもメリットがあります。従来の光伝送装置は専用OSや独自の管理体系が必要であり、DWDM装置特有のノウハウを持つ運用要員を確保する必要がありました。一方、IP over DWDMでは光品質の確認や伝送状態の監視をルータ側で完結できるため、既存の運用プロセスとの親和性が高く、運用負荷の低減にもつながると考えられました。
こうした理由から、IP over DWDMはIIJが抱えていた課題を解決できるバックボーン構築手段と考え、検証を通してそれを商用ネットワークへ適用するための検討を進めました。
IIJがIP over DWDMの導入先として選定したのは、2025年に新たにコア拠点として構築した大阪北から既存拠点の大阪中央との間で用いるバックボーン回線です。この区間はフィールド検証の結果判明していた要件である、30km以内かつspan-loss 25dB以下という要件を満たしており、400ZRの導入に適した環境であることが確認されていました。また、新設拠点であることから、比較的自由度の高い機器選定・配置が可能であり、新技術の初期導入区間として最適でした。
導入に当たっては、2系統あるファイバー経路のうち片系を従来の100G DWDM装置で構築し、もう片系はIP over DWDMを用いる構成としました。これは導入初期で未知の不具合が発生する可能性を考慮したものであり、IP over DWDMで万一問題が発生したとしてもバックボーンを維持できるように冗長性を考慮した判断でした。
DCOの選定では、400ZRと400ZR+(OpenZR+)が候補として挙がり距離およびOSNR要件を満たすことからより安価な400ZRを採用しました。同時に、出力光レベルが0dBm程度のHigh Tx output power版と-10dBm程度のNormal Power版の比較検討も行いましたが、High Tx output power版ではルータメーカ純正品が存在せず障害切り分けが難しいという懸念があったことからNormal Power版を採用しました。
OLSの設計では、波長帯は一般的なC-bandを採用し波長多重に用いるPassive Filterには100GHz Gridのものを用いました。検証時に確認された隣接波長干渉のリスクを避けるため、本番環境では200GHz間隔でチャネルを使用する構成としました。また、今回のような2拠点間の単純な接続の構成において、ベンダーロックインとなる専用のコントローラを必要とせず、運用負荷を減らすためAmpの自動ゲイン調整機能を備えたOLSを選定するため、メーカエンジニアと密にディスカッションしながら最適な装置を決定しました。IIJでは、こうしたメーカやベンダーとの直接対話を重視し、導入後も技術的な疑問を迅速に解決できる体制づくりを重要視しています。
運用への組み込みにおいては、従来と異なる光品質の監視項目や、400ZR固有の品質しきい値の設定、障害切り分けプロセスの再設計など、新たな運用フローの確立が求められました。従来はバックボーンルータと光伝送装置を扱うチームが明確に分かれていましたが、IP over DWDMの導入によりルータ側が光処理も担うようになったため、使い慣れたルータで状態確認が可能となりハードルが下がった一方で、ルータ運用者にも光伝送の基礎知識が求められるという変化が生じました。このため、監視設定の標準化やトラブルシュート手順の整備が重要となりました。
このような検討・準備を経てIIJではIP over DWDMのバックボーンへの導入を行い、2026年1月現在安定して運用されています。これは事前の入念な検証と設計の検討があったからこそうまくいったものと考えています。
図-8 大阪新規コア拠点におけるIP over DWDM構成
今回の商用導入により、IP over DWDMがIIJバックボーンに対して多くの効果をもたらすことが確認できました。コスト面では、同じ800Gの帯域を従来の100G DWDM伝送装置で実現した場合と比較して、400ZR×2波を用いたIP over DWDM構成では約52%の削減が可能であることが確認されました。これは、400ZRトランシーバ自体の低コスト性だけでなく、伝送装置の構成要素を削減できることが寄与しています。
調達面でも、400ZRは従来DWDM装置より短納期での調達が可能であり、バックボーン増強のリードタイムを大幅に向上させます。また、今回構築したOLSは商用設計で最大22波長まで多重可能であるため、当面の間はトランシーバの追加のみで増強が可能となり、OLSの同区間での追加構築はしばらくは不要と考えています。また、今回は初期から大きいトラフィックが見込まれる区間であったため400ZRを導入しましたが、直近では100G単位の増強が可能なDCOも登場しており、今後は400G未対応なルータや100Gで十分な区間での適用も期待できます。
消費電力の観点でもメリットがあり、800Gの帯域を従来のDWDM伝送装置で構築した場合と比較して、IP over DWDM構成では約10%の削減を実現しました。OLS側の消費電力は使用帯域に依存しないため、今後使用する波長数が増えると省電力化の効果は更に高まることが期待できます。
一方で省スペース性については課題も残りました。今回選定した構成は従来装置と比較して、ややラックスペースを要しましたが、これは機器選定において信頼性や機能性、検証実績を重視した結果でした。今後、既存拠点での導入に際しては設置スペースが限られることも考えられるため、より省スペースな装置選定が重要になると考えています。
総合的には、コスト削減・リードタイム短縮・運用効率化・拡張性向上のいずれにおいても高い効果が得られ、IP over DWDMがIIJバックボーンの拠点間接続を担える技術であることが確認できました。
現在IIJでは、400ZR対応ルータへの移行が進んでおり、今後IP over DWDMを適用可能な区間は更に拡大していく見込みです。特に東京や大阪内の主要拠点間のトラフィックは増加傾向にあり、大容量トラフィックを効率良く処理するためにこの技術の活用は不可欠になっていくと考えられます。
また、今回の商用導入では中継アンプを必要としない短距離区間を対象としていましたが、今後は中継アンプを導入することで30kmを超えるような中・長距離区間への適用も検討していきます。これにより、より多くの区間でIP over DWDMのメリットを享受できるようになります。
IIJはキャリアではないため光技術に特化した運用部隊は持っていませんが、今回の導入を通じて得た知見をもとに、検証環境の拡充化や社内情報展開を進めることで、光技術にも強いISPとしての基盤を作っていきたいと考えています。また、今回のような光技術のノウハウは今後のネットワークのあり方にも深く関わります。AI需要の拡大に伴い、データセンターが地理的に分散し、都市部と郊外・地方間を低遅延で結ぶ必要性が高まっています。近年検討が進んでいるAll Photonics Network(APN)のように柔軟な光パスを構築できるインフラが普及すれば、例えばお客様の装置からサービス設備までを電気信号へ変換することなく光のみでつなぐ超低遅延サービスの実現なども考えられます。
今後も最新技術を積極的に取り込みつつ、安定性と品質を両立したバックボーンを維持し、社会インフラとしてより良いネットワークをお客様に提供してまいります。
執筆者プロフィール

菅原 淳 (すがはら じゅん)
IIJ ネットワークサービス事業本部 基盤エンジニアリング本部 ネットワーク技術部 企画開発課 課長。
2014年に入社して以来、インターネットバックボーンや IX(JPNAP)の設計・構築・運用に携わってきました。現在は企画開発課でバックボーン設計や運用効率化に向けた取り組みを進めており、特に光伝送技術に強い関心を持っています。

竹﨑 友哉 (たけざき ともや)
IIJ ネットワークサービス事業本部 基盤エンジニアリング本部 ネットワーク技術部 ネットワーク技術1課。
2020年4月、インターネットイニシアティブ(IIJ)に新卒入社。入社以来、バックボーンネットワークの運用に携わり、国内外拠点における物理・論理設計および構築プロジェクトの主任として業務に従事。2023年頃よりピアリングコーディネーターとして事業者間相互接続の交渉を行うほか、バックボーンにおける物理設計の改善、新技術の検討、光トランシーバをはじめとする機器検証に従事している。趣味は旅行と、通信設備やマンホールなど、通信インフラに関わる構造物を探して見て回ること。
ページの終わりです