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Internet Infrastructure Review(IIR)Vol.53
2021年12月24日発行
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目次

エグゼクティブサマリ

現代社会は情報通信技術で動いているといっても過言ではありません。どんな社会活動においてもコンピュータや通信ネットワークが介在しないことはなく、情報通信技術による高度化・効率化の恩恵を受けています。社会活動を支えるインフラとして、エネルギー・運輸・行政サービス・金融などが挙げられますが、いずれも情報通信技術なくして機能しません。そうしたなか、我が国においても主要な金融機関や電気通信事業者の設備が障害により停止し、金融・通信サービスに影響が出るという事故が発生しています。高度情報化社会では、情報通信に対する信頼性がますます求められるようになり、その信頼性を担保するための事業者のガバナンスに対する要求も高まっていると認識しています。インターネットが社会を支えるインフラであることは疑う余地もなく、IIJの運用するネットワークもその一部として、社会を支えていることを常に意識し、事業者として信頼性の高いサービスを提供し続けるため、日々、技術開発に努め、社会の期待に応えていきたいと考えています。

「IIR」は、IIJで研究・開発している幅広い技術を紹介しており、日々のサービス運用から得られる各種データをまとめた「定期観測レポート」と、特定テーマを掘り下げた「フォーカス・リサーチ」から構成されます。

1章の「定期観測レポート」は、IIJインフラから見たインターネットの傾向の2021年版です。インターネット上のIPv4及びIPv6経路数、利用者に提供しているフルリゾルバから得られるDNSのクエリの解析、IPv6及びモバイルのトラフィック、東京オリンピック期間中のトラフィックを分析しました。インターネットの拡大により、各種リソースやトラフィックの伸びが継続すると共に、DNSにおけるAAAAレコードやHTTPSレコードの問い合わせの増加、IPv6トラフィックの絶対量の増加など、プロトコルの着実な移行が観測されています。

2章の「フォーカス・リサーチ(1)」では、2021年10月にリリースしたIIJのクラウドサービス「IIJ GIOインフラストラクチャー P2 Gen.2」で新しく開発したネットワークにおけるチャレンジと、今後の展望について解説します。VMware NSX-Tを利用しつつも、インフラを効率的に運用する仕組みは内製で作り込み、モニタリングやキャパシティプラニングに活用しています。現在は、データセンター内、あるいは、データセンター間のネットワークを構築していますが、将来的にはエッジに分散配置されるリソースとの接続にも拡張すべく、開発を進めています。

3章の「フォーカス・リサーチ(2)」では、「カーボンニュートラルに向けたデータセンターの取り組み」と題して、IIJの松江データセンターパークと白井データセンターキャンパスでの取り組みを紹介します。松江における日本初の商用外気冷却方式モジュール型データセンターと三相4線の給電方式、白井における直接外気冷却方式、システムモジュール、AI制御、リチウムイオン蓄電池など、IIJが実際に導入した技術に考察を加えており、カーボンニュートラルが求められる昨今、興味深く読んでいただけると思います。

4章の「フォーカス・リサーチ(3)」は、IIJグループのBCR(Binding Corporate Rules:拘束的企業準則)への取り組みについてです。IIJグループでは、EUの個人情報保護法であるGDPR(General Data Protection Regulation)に対応するためBCRを制定し、2021年8月5日にドイツの主任監督機関から承認を受けました。本章では、BCRやGDPRに加えて、世界の個人データ保護の動きを解説したうえで、IIJグループのBCR承認までの経緯を紹介しています。2016年にイギリスでBCRを提出した後、イギリスのEU離脱もあり、最終的にはドイツで承認された貴重な記録です。

IIJは、このような活動を通してインターネットの安定性を維持しながら、日々、改善・発展させていく努力を行っています。今後も企業活動のインフラとして最大限に活用いただけるよう、様々なサービスやソリューションを提供し続けてまいります。

島上 純一

執筆者プロフィール

島上 純一 (しまがみ じゅんいち)

IIJ 取締役 CTO。インターネットに魅かれて、1996年9月にIIJ入社。IIJが主導したアジア域内ネットワークA-BoneやIIJのバックボーンネットワークの設計、構築に従事した後、IIJのネットワークサービスを統括。2015年よりCTOとしてネットワーク、クラウド、セキュリティなど技術全般を統括。2017年4月にテレコムサービス協会MVNO委員会の委員長に就任。


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