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Internet Infrastructure Review(IIR)Vol.47
2020年6月25日発行
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目次

エグゼクティブサマリ

前回の「IIR」エグゼクティブサマリの冒頭で新型コロナウイルス感染症について触れました。それから今日に至るまで、新型コロナウイルスのことを意識しない日はなく、多くの国でロックダウンが行われるなど、まん延防止に向けた努力が世界中で続けられています。

そのような状況のなか、情報通信技術の利活用が脚光を浴びています。外出自粛を強いられた人々に対して動画ストリーミングなど自宅での娯楽を提供するための情報通信技術、人と人の接触機会を減らしながらも仕事を継続するためのリモートワークを支える情報通信技術、学校閉鎖によって登校できなくなった生徒や学生の遠隔学習を実現する情報通信技術、経済的に困窮した人へ円滑に援助を届けるための情報通信技術など、新型コロナウイルス禍における私たちの生活を支える上で大きな役割を果たしています。一方、端末や監視カメラを介した公的機関による感染者の監視など、情報通信技術の利活用に関する個人のプライバシーと公益のバランスをどのように考えるべきかという課題や、前回の本稿でも指摘したようなインターネットで流通する情報の信頼性に関する課題も指摘されています。この危機を乗り越えるために、行政、医療、エネルギー、運輸、流通など、多くの産業の従事者による懸命の取り組みがなされています。情報通信産業も社会を支える重要なインフラの1つとして、今まで以上の役割を果たすべく、技術の開発に励んでいきたいと思っています。

「IIR」は、IIJで研究・開発している幅広い技術の紹介を目指しており、私たちが日々のサービスの運用から得られる各種データをまとめた「定期観測レポート」と、特定テーマを掘り下げた「フォーカス・リサーチ」から構成されています。

1章は定期観測レポートです。ここでは1年で4つのテーマを順番に取り上げていますが、本号は電子メールを中心とするメッセージングテクノロジーの回となります。IIJでは、メールサービスにおいて、メール受信時にSPF、DKIM、DMARCの送信ドメイン認証機能を提供しており、その認証結果を継続的に観測しています。そして、普及が進んだSPFやDKIMに対して、DMARCの普及率が依然として低いという観測結果が得られており、引き続き普及活動を継続していく必要があることが分かりました。また、送信ドメイン認証技術のフィッシングメールへの活用やJPAAWG 2nd General Meetingについても触れていますので、ご一読ください。

2章のフォーカス・リサーチでは、IIJの農業IoT分野におけるLoRaWAN®の活用事例を取り上げています。LoRaWAN®は、LPWA(Low Power Wide Area=低消費電力・長距離)を実現するIoT向けの無線通信ネットワークで、通信事業者に頼らず自営で構築・運営できることから、注目を集めています。我々が実際に取り組んだ事例として、水田で基地局やIoTデバイスを設置することで得られた知見や課題など、興味深く読んでいただけると思います。

3章のフォーカス・リサーチは、新型コロナウイルス禍のなかで情報通信が果たした役割の検証でもあります。日本では2月以降、政府による学校の閉鎖要請、都道府県による外出自粛要請、政府による緊急事態宣言など、社会活動を制約する要請が、異なるタイミングで発出されました。その際、それぞれのタイミングでの固定ブロードバンドのトラフィックパターンの変化を分析することで、各要請によりインターネットの利用がどのように変わったのかを推測できます。これらはインターネットのインフラ整備の重要性を再認識する上で貴重なデータになると考えています。

IIJでは、このような活動を通して、インターネットの安定性を維持しながら日々、改善・発展させていく努力を続けています。今後も、お客様の企業活動のインフラとして最大限に活用していただけるよう、様々なサービス及びソリューションを提供し続けて参ります。

島上 純一

執筆者プロフィール

島上 純一 (しまがみ じゅんいち)

IIJ 取締役 CTO。インターネットに魅かれて、1996年9月にIIJ入社。IIJが主導したアジア域内ネットワークA-BoneやIIJのバックボーンネットワークの設計、構築に従事した後、IIJのネットワークサービスを統括。2015年よりCTOとしてネットワーク、クラウド、セキュリティなど技術全般を統括。2017年4月にテレコムサービス協会MVNO委員会の委員長に就任。


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