ページの先頭です


ページ内移動用のリンクです

  1. ホーム
  2. IIJの技術
  3. セキュリティ・技術レポート
  4. Internet Infrastructure Review(IIR)
  5. Vol.38
  6. インターネットトピック:JANOG 41 Meeting IIJ初のホスト

Internet Infrastructure Review(IIR)Vol.38
2018年3月30日発行
RSS

目次

インターネットトピック

JANOG 41 Meeting IIJ初のホスト

2018年1月24日~26日に広島で開催されたJANOG 41 MeetingでIIJは初めてJANOG Meeting(※1)のホストを務めました。会期中は小雪がちらつくこともありましたが、おおむね天候にも恵まれ、最終的な参加者数は、本会議1,171名、懇親会725名と、JANOG Meetingはじまって以来過去最高の人数を記録し、盛況のまま無事に終えることができました。ここでは、JANOG 41 MeetingにおいてIIJがホストとして行った取り組みについて紹介します。

ホストとしての役割

JANOG Meetingは、日本のインターネットを運用する技術者による団体JANOG(JApan Network Operators' Group)が主催する会議です。年に2回JANOGに集う技術者達が集まって開催されるJANOG Meetingは、会議の運営自体はJANOGのメンバーから選出された実行委員会が行いますが、会場の準備やそれにまつわる諸事をホスト企業が持ち回りで実行します。ホスト企業は各地から集まる参加者をもてなすため、趣向を凝らし快適な会場を用意します。今回、IIJがホストを務めるにあたり重視したのが会場ネットワークの提供です。JANOG Meetingはインターネットに関する実践的な会議ですから、会議中にインターネットを利用するのは自然なことです。また、会場に集まる技術者は現役の運用担当者でもあります。各社のオフィスには留守番を務める技術者も残ってはいますが、時には会場から臨時の作業を行うという局面もあります。そういった需要に応えるためのネットワーク環境が必要になりますが、実際にはその実現に高いハードルがありました。

高い密度と短い構築期間

JANOG Meetingへの参加者数は年々増加しており、ここ数年は600名を超える開催回が続いています。また、IIJがホストを務めた今回は結果的に1,000名を超える参加者が集まりました。会場に集まるほぼすべての技術者がノートパソコンを利用しており、更にスマートフォンやタブレットなど1人で2台以上の端末を利用しているケースも少なくありません。そして会議場という狭い空間にこれだけ高密度に利用者が集まるのもめずらしいことです。

また、ネットワークの規模に反して準備にかけられる時間はあまり長くはありません。1,000名を収容できるホールの利用料は高額なため、JANOG Meetingとして借り受けているのは会期中の3日間のみ。そのため、会場ネットワークの準備には会期初日の午前中しか充てられないという大きな制約がありました。また、会期終了後は速やかに機材を撤収しなければなりません。

会場内におけるインターネット環境の提供

このような制約の中でIIJが目指したのは、高い性能をもったピュアなネットワークです。

IIJは日本全国にバックボーンネットワークを張り巡らせており、広島にもその拠点であるNOCがあります。当地の通信事業者であり、JANOGに参加する仲間であるエネルギア・コミュニケーションズの協力のもと、会場の広島国際会議場には、IIJ 広島NOCに直結する光ファイバを引き込みました(図-1)。本ファイバはIIJが設置したWDM装置により10Gbpsの帯域で運用しています。

図-1 JANOG 41 Meeting ネットワーク構成図

また、会場内のネットワークはIPv4・IPv6のデュアルスタックとし、特にIPv4アドレスは日本のネットワーク資源を管理するJPNICの協力のもと、各端末にグローバルアドレスを配布する形にしました。IPv4アドレスの節約、ネットワークセキュリティの確保という観点からLANの中ではプライベートアドレスを利用するのが一般的ですが、改めて大規模なIPv4グローバルアドレスによるLANという環境にチャレンジするという意図によるものです。

会場無線LAN機器

多くの利用者が入れ替わり利用するネットワークですので、会場内では無線LANによるネットワークの構築が必須となります。今回はIIJ自身が開発する無線LAN対応機器であるSA-W2を多数利用しました。SA-W2はIIJが開発・運用する機器マネジメントシステムSACM(Service Adapter Control Manager)と連携が可能な機器で、ネットワークケーブルと電源を接続するだけで稼働状態をマネジメントサーバに自動通知するなど、運用負担を軽減する仕組みが取り入れられています。こうした機器を利用することで、短時間でネットワーク構築を完了させることを目指しました。また、今回は無線LANの提供にあたり当地の広島市立大学と共同研究を行いました。同大学では無線LANネットワークの利用効率改善を目指して、無線アクセスポイントの通信品質を推定するための手法について研究しています。そこでJANOG 41 Meetingにおける無線LANを対象に、同手法のための計測を行うデバイスをメインホールに設置し情報収集を行いました。この収集作業には特別版のファームウェアを導入したSA-W2を利用しています。IIJは今までにもいくつかのイベントで無線LAN提供を行っており、提供内容についての評価を行ってきましたが、今回広島市立大学と共同研究を実施することで、無線LANネットワークにおける通信品質推定手法に新たな知見が得られるものと期待しています。

今後に向けて

本稿執筆時点において、JANOG 41 Meetingは閉会しており、IIJによるネットワーク提供も終了しています。現在これらの取り組みにより得られたデータの評価を行っており、その成果について4月より順次IIJのエンジニアブログ(※2)において報告を行う予定です。

  1. (※1)JANOG:JApan Network Operators’ Groupを意味し、インターネットにおける技術的事項及びそれにまつわるオペレーションに関する事項を議論、検討、紹介することにより、日本のインターネット技術者及び利用者に貢献することを目的としたグループ(https://www.janog.gr.jp/blank)。
  2. (※2)IIJ Engineers Blog(http://eng-blog.iij.ad.jp/blank)。開発・運用の現場エンジニアが執筆する公式ブログ。

堂前 清隆

執筆者プロフィール

堂前 清隆 (どうまえ きよたか)

IIJ 広報部 技術広報担当課長 兼 MVNO事業部 事業統括部 事業統括課 シニアエンジニア。


ページの終わりです

ページの先頭へ戻る