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Internet Infrastructure Review(IIR)Vol.32
2016年8月29日発行
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目次

3.6 研究開発用コンテナデータセンター:co-IZmoSD

「ITシステムと親和性の高いデータセンター」の研究開発目的に運用されているデータセンター設備がco-IZmoSD(図-2)です。co-IZmoSDは2013年に一体型の小型コンテナデータセンターとしてIIJで開発されたco-IZmo(※3)をベースとしており、研究開発に必要な機能を付加した上で2014年に設置されました。co-IZmoSDのSD部分は「software defined」を示しており、既存のデータセンター設備に対してソフトウェア制御できる要素を最大化することを目的とした実験設備であることを示しています。

図-2 co-IZmoSDの外観図(左)と透視図(右)

ベースとなったco-IZmoとco-IZmoSDの概略仕様を表-2に示します。co-IZmoSDはco-IZmoの2号機として設計されたため、co-IZmoの実装及び運用経験による様々な改良が施されています。IIJではcoIZmoSD以降もコンテナデータセンターの研究開発を続けており、間接外気空調方式を用いたモジュール型データセンターであるco-IZmo/I(※4)が最新のアーキテクチャとなります。

表-2 co-IZmoとco-IZmoSDの基本仕様と差異

co-IZmoSDのスペックは表-2に示したとおりで、基本的なアーキテクチャはco-IZmoと変わりません。co-IZmoSDはベースのISOコンテナの高さが低く(標準サイズ)なり、太陽電池パネルや外部電源ユニットなどの各種付帯設備が付属している程度の違いです。一方で、内部構造は大きく異なり、高い自由度を持つ制御機構が実装されています。co-IZmoSDの内部構造の概略図を図-3に示します。

図-3 co-IZmoSDの内部構造

図-3に示したように、データセンター内部の各種環境センサー、アクチュエータ(ファンや空気取り入れ口のダンパーなど)、電力設備の制御機構(配電盤内系統切り替えスイッチや電力系センサー)はPLC(プログラマブルロジックコントローラー)のネットワークを介して集約されています。PLCには必要最低限のロジックがプログラムされており、通常のデータセンター運用や非常時の機器保全動作などが単体で可能です。co-IZmoSDでは更にPLCのプログラムを拡張して、外部からの制御とPLC内部の制御ロジックの双方を組み合わせるハイブリッド動作が可能な設計になっています。PLCは高い信頼性を持ちますが、内部のプログラムの規模を大きくすることや開発サイクルを短くすることは困難です。しかし、このように外部システムと連携できる機構を実装しておくことで、通常のPLCでは実現できないより高度な制御が可能となります。

他にも、付帯設備(太陽電池パネルPVとPCSや大型バッテリシステム)やラック内のPDUやUPS、空調制御などには用いられない各種センサーユニット群などがネットワークに接続されており、ほぼすべての要素を内部のITシステムやco-IZmoSDの外部からネットワーク経由でアクセス可能となっています。電源系統に関しても、複数の電源ソースからの給電や、各種バッテリユニットとの連携をサポートするための機能が実装されており、ソフトウェアによるデータセンターの部分停止や一時停止といった機能を実行することができるようになっています。

  1. (※3)IIJ、「通年外気冷却を利用したコンテナ型データセンターモジュールの実証実験を開始」(http://www.iij.ad.jp/news/pressrelease/2013/0408.htmlblank)。
  2. (※4)co-IZmo/I(http://www.iij.ad.jp/datacenter/tech/iijdc/coizmoi.html)。
3.技術トレンド

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