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インターネットでは通信の遅延が日常的に発生しています。
インターネットでは通信の遅延が日常的に発生しています。ブラウザでWEBサイトを見るくらいならあまり気になりませんが、オンラインゲームのようにタイミングのシビアな使い方をしている場合、遅延の大小は大きな問題となり、ゲームプレーヤーのあいだでは「ping値(ピングち)」などといって議論の対象になります。
遅延が発生する要因は大きく分けて2つあります。1つは光の速度です。光ファイバの中を進む光の速度は、真空中の2/3程度とされ、東京~大阪間400kmを光が往復するには、4ミリ秒程度の時間がかかります。もう1つの要因は、通信機器がパケットを受信し、宛先を確認して送信するための時間です。実際の遅延はこの両者の合計値になり、インターネット上で実測すると、東京~大阪間で往復10ミリ秒程度の遅延が発生していることが観測されます。
実は、この遅延も常に変動しています。そもそもインターネットのようなパケット交換網では、遅延時間が一定であることは保証されておらず、常時、微妙に変動しています。また、通信が増えて回線の利用率が上昇すると、通信機器のパケット転送が滞り、遅延が増加する傾向が見られます。
インターネットでは、こうした遅延時間のミクロな変動とは別に、マクロな変動が発生することもあります。インターネットは「AS」と呼ばれる多数のネットワークが寄り集まって構成されていますが、どのASとどのASが接続されるか、どのようにトラフィックを流すかは、各ASの事情によって決められ、AS間の都合によって、接続が変わったり、一時的にトラフィックを流さなくなったりします。その結果、通信経路が大きく変わり、遅延が変動することがあります。
AS間の接続が変化しなくても、遅延に変動が生じることがあります。その一例が、ケーブルルートの変化です。ある地点から他の地点を接続する際、「冗長化」のために複数のケーブルルートを用意することがあります。事故や災害によるケーブルの切断に備える対策ですが、安全性を高めるためには、これらのケーブルは地理的にできるだけ離れたところを通すことになり、そうすると、同じ地点を結んでいるケーブルでも、経路によって距離が違うといったことが生じます。
これが太平洋を横断する日米間のケーブルのように非常に長距離になると、数字として観測できる場合もあります。日米間のケーブルルートには、北極寄りの北回りと、赤道寄りの南回りの経路があります。ケーブルシステムによって違いはありますが、北回りのほうが距離が短く、日米間約1万kmに対して500km程度の差が出るそうです。このため、冗長化として南北両周りのケーブルを用意した場合、北側のケーブルから南側のケーブルに切り替わると、往復の遅延時間約100ミリ秒に対して、5ミリ秒ほど遅延が大きくなります。こうした切り替えは時々発生しており、海底ケーブルを含む区間の遅延を注意深く観測していると、時間が変化している様子が確認できます。
遅延が変動することは、ネットワークや回線の変化にインターネットが自動的に追随している証であり、ネットワークのロバストネス(頑健性・堅牢性)を示すものとして、ポジティブにとらえることもできます。しかし、大陸間をまたぐライブ映像の伝送など遅延に敏感な使い方では、意図しないタイミングで遅延が変化することは避けたい局面もあります。そういった要求に応えるうえでも、物理的なケーブルルートからネットワークの経路制御のレイヤまでを俯瞰した情報収集と計画立案が重要になります。
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