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詳解!Streaming Technology 動画配信スタジオ IIJ Studio TOKYO

IIJ.news Vol.175 April 2023

IIJは2022年10月、「IIJ Studio TOKYO」を開設。
稼働開始から3カ月で、すでに50以上のイベントの配信を手がけている。

執筆者プロフィール

IIJネットワーク本部 コンテンツ配信サービス部 配信ビジネス課長

渡辺 文崇

動画制作の流れ

① 打ち合わせ

動画制作においては、主催者の配信イメージを汲み取ることが重要。イベントの内容、参加人数、資料の有無など必要項目をヒアリングし、会話にはどんな並びが最適で、資料はどう配置すべきかなど、配信画面のイメージのすり合わせを行なう。さらに、リモート参加者がいるか、視聴者参加型にするか、BGMの使用など、複数の要件をもとに、スタジオの配置、カメラの台数、リハーサルの実施、必要素材の収集作成などを精査する。そして最終的に、イベントの流れをまとめ、進行台本を用意して、主催者と確認を行なう。

② セッティング

本番までにスタジオのセッティングを行ない、スイッチャーと呼ばれる機材をイベントの内容に沿って設定する。どのカメラで誰を映すか、その時の背景はどうするか、資料を参照しながら話す際のレイアウトはどうするか、といったことを主催者、スタジオスタッフ双方の意見をまとめて調整する。また、配信プラットフォームには細かな差異があるため、映像や音声が想定通りに配信されるかも事前にチェックする。

スタジオ
スタジオは完全浮床の防音構造。壁は若干グレーが入った白壁で、カーテンを引くことで黒い背景にも、合成用のグリーンバックにもでき、縦/横どちらのレイアウトでも利用可能。広さは「縦9m×横7m×高さ2.8m」で、同時に5名程度の話者が並ぶことができる。

スタジオサブ
映像を整える作業部屋がスタジオサブ。複数のカメラからの映像を切り替えるスイッチャー、音を調整するミキサー、スタジオ内のカメラの向きや画質を操作するコントローラーなどが並ぶ。

③ リハーサル

リハーサルを経ることで、クオリティは向上する。スタジオ側はもとより、主催者や話者も進行速度や全体の流れを把握しやすくなり、課題が明らかになったり、話者の振舞いも洗練される。一方、リハーサルの時間を確保できず、いきなり本番に突入せざるを得ないケースもある。収録であれば撮り直しもできるが、ライブ配信では不可能なので、トラブルが発生しても及第点を確保できるよう(特にライブ配信では)最低1回、できれば2回程度のリハーサルを勧めている。

④ 本番

本番が始まると、スタジオ側の司令塔であるディレクターと主催者が密にコミュニケーションをとりながら進行していく。同時に複数のメディアに収録も行なう。万が一、想定外のトラブルが発生した場合、速やかに主催者に説明し、その後の対応を協議する。

録音ブース
スタジオと同様に防音構造になっており、映像を見ながらナレーションを収録したり、ここから音声のみでの出演も可能。(定在波を抑えるために)部屋の形が台形になっていたり、テーブルの上に布が敷かれていたり、音に配慮した設計になっている。
マシンルーム
全ての映像・音声が集約・分配されるスタジオのハブがマシンルーム。専用線接続10Gbpsに加え、外部から映像を取り込む際に利用するフレッツIPv6を利用したVPN機器(SEIL)、モバイル回線を複数束ねて伝送できる映像中継装置(LiveU)、多様な配信プラットフォームに映像を送出するエンコーダ(Elemental Live)などを備えている。
控室・試写室
メイクアップライトを備え、着替えなどもできる「控室」(左)や、100インチのスクリーンが設置された「試写室」も完備。各部屋に設置されたディスプレイで、スタジオ内の様子を確認できる。

⑤ 編集

ライブ配信後は、見逃し配信用に録画映像を整える。配信中に映像が乱れたり、音声が止まってしまった場合、見逃し配信では、収録した素材を用いて可能な範囲で映像を整えて配信する。

⑥ 反省会

主催者からのフィードバックやコメントをもとに、スタッフ一同で反省会を実施し、次のイベントに活かしていくサイクルを日々重ねている。

スタジオ機材
カメラ
PanasonicのPTZカメラ(AW-UE100K)を4台導入。リモート操作が可能で、カメラマンがスタジオ内に入らなくても画角を変更できる点が導入のポイント。ほかにもSONY FXシリーズが3台あり、目的に応じて使い分けている。

スイッチャー
複数台のカメラからの出力映像は、スイッチャーで切り替える。映像を合成する機材(TriCaster 2 Elite)により、資料を大きく映しながら話者の顔も重ねて表示したり、複数のカメラ映像を画面分割で表示したり、テロップや動画素材を差し込んだり、グリーンバックで背景を合成してバーチャルな空間にしたり……等々を実現できる。

マイク
手持ちのハンドマイク、襟元につける小型のピンマイクをはじめ、天井から吊るしてスタジオ全体の音を収音するマイク、カメラにつけるガンマイクなど、ノイズのない音を収録するために複数のマイクを使用。音声は一度マシンルームに集めて、音を制御するミキサーに入力し、各マイクの音量、ノイズリダクション、BGMの挿入などを行なう。マイクの音は無線でマシンルームへ送られるが、そこから先は映像と同様にアナログ/デジタル信号の両方で送出できる。

配信用PC
CPUスペックを重視する一方、GPUは抑えるなど、細部にこだわって調達。通常の業務用PCと異なるのは、映像信号のキャプチャーデバイスカード(SDIやHDMI入力)が必要な点。CPUを使用中でもキャプチャーデバイスの帯域を減らすことなく増設できるよう、「intel Core i10」世代の48レーン対応CPUと16レーン対応CPUを3本同時使用できるマザーボードを選択。また、ネットワーク経由の映像信号(NDI)も複数本受信できるよう、10G NICをオプションで追加した。


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