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Internet Infrastructure Review(IIR)Vol.56
2022年9月30日発行
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目次

エグゼクティブサマリ

2019年末から新型コロナウイルスの感染拡大が始まって、もう3年近くになります。その間に感染拡大予防のための行動制限もあり、仕事から娯楽まで人の生活全般がインターネット上で行われ、世界的にインターネットのトラフィック量の増加が観測されています。多くの国では行動制限が解かれつつありますが、ウイルスの変異は続いており、予断を許さない状態であると認識しています。

また、国際的な民主主義と権威主義の緊張は高まるばかりで、ロシアのウクライナへの軍事侵攻が始まって半年が経過しました。経済安全保障の観点から、インターネットを支える通信インフラに関しても、サプライチェーンリスクの重要性がクローズアップされています。

2020年秋以降に顕在化した世界的な半導体不足は、出口がまだ見えていません。不足に陥った原因は、新型コロナウイルスのまん延、民主主義と権威主義の対立、ウクライナ侵攻など、様々な事象が複合的に影響していると言われています。今年後半からは解消に向かうとの見方もありますが、一部の要因は解消の目途が立っておらず、引き続き状況を注視する必要があると考えています。

このように世界全体が不透明感を増すなか、社会生活を支える基盤であるインターネットの役割はますます大きくなっていると感じています。1960年代から開発が始まったインターネットは、今なお新しい技術開発が進められると共に、利用に関するルール作りやガバナンスの議論が続いています。

2023年にはインターネットに関する2つの重要な会合が日本で開催されることになっています。技術開発のための「IETF 116」が3月に、ガバナンスのための「IGF 2023」が11月もしくは12月に予定されており、インターネットに関わる者として大いに注目しています。

「IIR」は、IIJで研究・開発している幅広い技術を紹介しており、日々のサービス運用から得られる各種データをまとめた「定期観測レポート」と、特定テーマを掘り下げた「フォーカス・リサーチ」から構成されます。

1章の「定期観測レポート」は、IIJの固定ブロードバンドとモバイルのトラフィックに関する定期的な分析です。過去から継続的に分析しているものですが、トラフィックの増加、固定ブロードバンドのPPPoEからIPoEへのシフトが続いていることが数字に現れています。ポート別使用量の分析においては、http(TCP/80)→ https(TCP/443)→ QUIC(UDP/443)へのシフトが数字から読み取れます。

2章の「フォーカス・リサーチ」では、IIJが協賛している「東京・春・音楽祭」のライブ配信の取り組みについて紹介します。同音楽祭は2005年から開催されていますが、2020年以降は新型コロナウイルスの影響により公演が開催できなくなったり、来場者数を制限するといった措置がとられています。そこで1人でも多くの方に音楽を楽しんでいただけるよう、インターネットでライブストリーミングを行っています。複数の会場から効率的に中継するための仕組みや、視聴者に楽しんでいただくための工夫など、実際に取り組んだメンバーによるリアルなレポートになっています。

IIJは、このような活動を通してインターネットの安定性を維持しながら、日々、改善・発展させていく努力を行っています。今後も企業活動のインフラとして最大限にご活用いただけるよう、様々なサービスやソリューションを提供し続けてまいります。

島上 純一

執筆者プロフィール

島上 純一 (しまがみ じゅんいち)

IIJ 常務取締役 CTO。インターネットに魅かれて、1996年9月にIIJ入社。IIJが主導したアジア域内ネットワークA-BoneやIIJのバックボーンネットワークの設計、構築に従事した後、IIJのネットワークサービスを統括。2015年よりCTOとしてネットワーク、クラウド、セキュリティなど技術全般を統括。2017年4月にテレコムサービス協会MVNO委員会の委員長に就任、2021年6月より同協会の副会長に就任。


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