サンデン・リテールシステム株式会社 様
大手キャリアのIP-VPN網から多拠点WANを移行
IIJ Omnibusで可用性向上とコスト低減の両立を実現
Topics
課題
導入の決め手
すべての課題を解決できる「IIJ Omnibusサービス」を選定
ネットワーク再構築について、どのような検討をしましたか。
志塚氏
仮想基盤などの利用で付き合いがあったIIJに相談を持ちかけました。回線を提供してもらっていたキャリアと、仮想基盤関連のIIJの双方とお付き合いをする中で、IIJの迅速で親身な対応を評価していたためです。IIJからはIP-VPNに代わるネットワークとして、SD-WANの「IIJ Omnibusサービス(以下、IIJ Omnibus)」を利用する提案を受けました。
IIJ Omnibusを利用することで、課題は解決できる見込みがありましたか。
志塚氏
IIJ Omnibusへの移行により、アクセス回線にはキャリアの縛りがなくなります。主要拠点では有線の専用線とインターネットVPNを、その他の拠点はインターネットVPNとIIJ Omnibus用のルータが備えるモバイルバックアップ回線を使うことで、異なるキャリアで冗長化しつつ各拠点のトラフィック量に応じた最適な回線を選択できるようになりました。この構成により可用性の向上に加え、コスト低減も見込めます。また、IIJ Omnibusで拠点からの回線をプライベートバックボーンに集約し、IIJの仮想基盤に相互接続することで、キャリアのIP-VPN網からIIJの仮想基盤をつなぐ専用線が不要になることも魅力でした。
阿久津氏
コスト削減と同時に、回線の容量もIIJの協力を得て最適化することで、ネットワークの遅さを解消できることにも期待しました。
IIJに仮想基盤からネットワークまで一元化することのメリットとデメリットについては、どのように評価しましたか。
志塚氏
これまでの経験から、IIJの対応には満足していましたので、ネットワークも含めて提供元を一元化することで、窓口を統一できたら安心感があると考えました。一方で、IIJにベンダーロックインされるなどのリスクもあるのではという意見もありました。この点については、コストや性能、冗長性、窓口一本化といったメリットのほうが大きいと判断して、IIJに依頼することにしました。
大木氏
個別最適を見れば、いろいろな手段があり、ベンダーも数多くあります。しかしIIJが魅力的だったのは、ワンストップで様々なソリューションを提供しているところです。今後、ネットワークのクラウド化やセキュリティのオンライン化など、様々な変化に対応しようとしたとき、個別のベンダーに依頼していたら、私たちの負担は大きくなるでしょう。IIJは多様なポートフォリオを持っているので、今後も技術的・経済的に最適な提案をしてもらえることを期待しました。
導入と効果
安定稼働かつ回線監視の安心感 今後はローカルブレイクアウトも活用予定
移行のステップを教えてください。
阿久津氏
2024年10月からパイロットケースとして規模や役割の違う4拠点の構築を先行し、その後に約60拠点への展開を進める段取りで取り組みました。大きなトラブルは発生しませんでしたが、回線の切り替えには現地調査などが必要で、IIJの尽力だけでは対応できないことも分かってきました。そこで当初よりも前倒しでパイロット4拠点と他拠点の処理を並行して進めるようにしました。IIJには柔軟に対応してもらい、想定よりも1カ月ほど早いカットオーバーにこぎつけられました。2025年3月には回線の切り替えが完了しています。
どのような効果が出ていますか。
阿久津氏
移行後も、何事もなく過ごせているというのが最も大きな効果です。IIJの回線は状態が監視されていて、何かあるとメールでアラートや状況の通知があります。障害が起きたことはメールを見ていれば分かりますし、多くは業務に影響が出ていない状態で復旧を知らせるメールが届くので、運用面でも安心しています。また何か起きてもIIJにはすぐに連絡できる安心感もあります。
志塚氏
コスト面では、仮想基盤の接続回線が廃止できることで、年間数百万円の削減効果を見込んでいます。まだ運用開始から数カ月しかたっていないため、費用の最終的な評価はこれからです。それでも個別の明細を見る限りでは、想定通りのコスト削減効果が得られると考えています。
ネットワークの遅さについては、改善されていますか。
志塚氏
これまでは全社的に遅さを感じることがあったのですが、現行のネットワーク構成になってからはほとんどの問題は解決できています。ただし、工場などもある主要拠点の赤城事業所だけ、連休明けなどのソフトのアップデートのトラフィックの負担が多く、30分から1時間ほど業務に支障が残っています。帯域保証回線の帯域を拡張すれば解決できるとはいえ、コスト対効果を考えると踏み切れません。そうした中で、Windows Updateなど特定の通信を直接インターネットに振り分けるローカルブレイクアウトの手法を知りました。
阿久津氏
IIJに依頼して、ローカルブレイクアウトを可能にする「IIJクラウドナビゲーションデータベース」導入の段取りを付けています。Google WorkspaceやWindows Updateだけでなく、ブラウザのChromeやEdge、コミュニケーションツールのSlackなどでも、こまめにアップデートする仕組みが採用されているので、今後はローカルブレイクアウトの導入が不可避だと考えています。
今後の展開について教えてください。
大木氏
情報システム部として少人数で動いているにもかかわらず、システムが回っているのは、IIJのサービスをうまく使えているからだと感じています。今後、サービスのIT化など事業の課題に向き合う必要があるとき、IIJには最適なサービスの探索と提供に期待しています。
導入したサービス・ソリューション
お客様プロフィール
サンデン・リテールシステム株式会社
東京本社:東京都墨田区錦糸1-2-4アルカウェスト8F
設立:2019年7月29日
資本金:1億円
売上高:760億円(2024年度:連結)
従業員:約1,530人(2024年度:連結)
※ 本記事は2025年5月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

WAN回線の冗長化やコスト見直しが必要に
貴社の社内情報システムの既存構成について教えてください。
サンデン・リテールシステム 大木哲秀氏
サンデンから独立するタイミングで、自前のネットワークや情報システムに移行する必要がありました。そうした中で、ネットワークは大手キャリアのIP-VPNを核にWANを再構築し、情報システムはオンプレミスのVMware環境から、IIJの仮想基盤にクラウドリフトしました。
常務執行役員 CTO&CIO
R&D本部・IT本部
本部長
大木 哲秀氏
ネットワークについてはどのような状態だったのでしょうか。
サンデン・リテールシステム 阿久津貴文氏
従来利用していたキャリアのIP-VPNは安定稼働していて、大きな問題は発生していませんでしたが、一方で懸念もありました。例えば回線の契約速度との兼ね合いから、Windows Updateなどが集中するとネットワークの遅さを感じることが少なくありませんでした。
IT本部 情報システム部
阿久津 貴文氏
サンデン・リテールシステム 志塚俊樹氏
また、キャリアのIP-VPNサービスでは、アクセス回線がそのキャリアのサービスに限られます。すなわち、キャリアにトラブルがあったときには、当社のネットワークが止まるのです。キャリアをまたいだ冗長構成の必要性は常に考えていました。
IT本部 情報システム部
志塚 俊樹氏
その他にもネットワーク再構築を推進するような課題はありましたか。
志塚氏
業務システムのほとんどは、IIJの仮想基盤上のVMware環境にリフトしていました。IIJの仮想基盤に、約60拠点からのWAN回線をIP-VPNで集約する形です。トラブルが起きたときには、IIJとキャリアの双方に確認を取らなければなりません。窓口を一元化したいという思いはありました。
阿久津氏
コスト面でも、環境変化が激しい中で経営層から削減を求められていました。ネットワークの再構築を機に、従来のコスト構造から脱却したい思いもありました。