上村建設株式会社 様
分断されていた建設・不動産データを統合し、内製活用を推進する基盤を構築
データ連携により提案型営業への変革を推進
Topics
導入前の課題
選定の決め手
IIJの相談会参加によりデータ利活用の実現に向けた進め方や必要な取り組みを整理できたほか、将来的な内製化を見据えながら段階的な拡張性を総合的に評価
IIJクラウドデータプラットフォームサービスは、どのようなプロセスで採用に至ったのでしょうか。
吉川氏
サービス選定は、第2次中期経営プランを推進する業務部門のメンバーが中心になって進めました。ただし、システムの専門家というわけではなく、「統合データベースを構築する」という方針は定まっていても、具体的な進め方までは見えていない状態でした。そうした中で、IIJには無償の相談会を通じて、中経メンバーとともにインタフェース設計、データ配置などを整理していただきました。実現したいことを具体化しながら、どのように進めるべきかを明確にできたことは、とてもありがたかったです。
社内ではなく、外部のIIJが関わったことの意味は大きかったのでしょうか。
吉川氏
非常に大きな意味がありました。社内のシステム部門が説明する場合と、外部のIIJが説明する場合とでは、受け止め方が変わります。第三者の視点だからこそ、業務部門のメンバーも納得しやすかったのだと思います。
相談会は月に1回、全4回実施しました。一方的な説明ではなく「一緒に作っていきましょう」というスタイルで議論を深めていきました。議論を重ねる中で、業務部門から「こんなものが欲しい」という具体的な要件が、彼ら自身の言葉で語られるようになりました。そうした声を引き出せたことが、何よりの成果だったと思います。相談会を経て、第2次中期経営プランのメンバーが「この方針で進める」と意思決定できたことで、その後のIIJクラウドデータプラットフォームサービスの導入もスムーズに進みました。
最終的に選定の決め手になったのは、いきなり大規模なシステムを構築するのではなく、スモールスタートで始め、将来的な内製化を見据えて段階的に育てていける点です。また、設計情報や仕様を管理しやすく、属人化を防げる点も、当社のシステム部門の方針に合致していました。
導入後の効果
「建物カルテ」で建設・不動産の情報連携を実現し、提案型営業を推進
導入後、どのような効果が表れていますか。
吉川氏
本格的な活用はこれからですが、すでに大きな手応えを感じています。以前は、データ連携の必要が生じるたびに手法をゼロから検討していましたが、今は「IIJクラウドデータプラットフォームサービスで連携する」という前提から議論を始められます。仮に「このデータが欲しい」と急に言われても、対応の見通しを立てやすくなりました。
すでに動き出している具体例はありますか。
吉川氏
「建物カルテ」という構想です。これは、建設時の情報、管理の過程で蓄積されるデータ、その建物にまつわる商談などの情報を一元化し、営業現場で横断的に確認できるようにするものです。業務システムのデータをIIJクラウドデータプラットフォームサービスで連携してSnowflakeに蓄積し、Salesforce上で参照できるよう日次で反映しています。
建物カルテには、当社がこれまで建てた約4,000棟分の建築データが集まっています。これにより、これまで見えなかった新たな営業機会が可視化されてきました。例えば「上村建設が建てたのにハッピーハウスが管理していない物件」を把握できるようになりました。これは不動産管理受託の新たな商談につながります。一方で、ハッピーハウスが管理している物件についても、築年数や管理状況から修繕・建て替えのタイミングを把握できるようになり、建て替えの提案につなげられるようになりました。このように両社の間で建設と不動産それぞれの情報が連携されることで、お客様との新たな接点が生まれ、提案型営業を実践しやすい環境が整いつつあります。IIJにはデータを利活用するための構想整理から実装、活用までを一貫して伴走支援いただき、大変感謝しています。
データ連携フローの開発代行も利用されたそうですね。
吉川氏
はい。導入初期にQ&A対応を含めたサポートを受けながら、複数の業務システムと連携するためのデータ連携フローのひな形を納品していただきました。現在はそのひな形をベースに、社内のチームが項目追加や修正を行いながら、内製で開発を進めています。最初の一歩を支えてもらえたことが、内製化を進める上で大きかったですね。
社内の反応はいかがですか。
吉川氏
IIJクラウドデータプラットフォームサービスは表に見えるものではないので、詳細を知らない社員も多いと思います。ただ、営業現場の事例のように「データが活用できる」という実感は確実にグループ内に広がりつつあります。実際に「この情報も見られるようにできないか」といった相談も徐々に増えてきました。
また、問い合わせに対する回答の質も変わりました。以前は曖昧な回答になることも多かったですが、現在は「できるかどうか」や「どのくらいの手間がかかるか」など具体的なところまで、はっきり答えられるようになりました。そうした見通しを示せるので、経営側もいつまでに何ができるかを見据えて計画を立てやすくなったと思います。
今後の展望を教えてください。
吉川氏
まずは建物カルテの更なる拡充に取り組みます。同時に、建設・不動産それぞれの基幹システムの刷新も進めていますが、これはIIJクラウドデータプラットフォームサービスによるデータ連携を前提に設計しています。データがつながるほど活用の幅は広がりますし、その先にはAIの活用も見据えています。建設・不動産業界において、データ活用はもはや競争力を高めるというより、事業の持続的成長において不可欠なものになりつつあります。だからこそ、この基盤を生かして、活用を一歩ずつ広げていきたいと考えています
導入したサービス・ソリューション
お客様プロフィール
上村建設株式会社
本社:福岡市博多区住吉4丁目3番2号 博多エイトビル7階
設立:1959年2月18日
資本金:1億円
従業員数:328名(2025年10月31日現在、取締役を除く)
※ 本記事は2026年6月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

建設・不動産などそれぞれの個別システムにデータが分断され、グループ横断での活用ができていなかった
今回のデータ連携基盤の整備には、どのような経営課題が背景にあったのでしょうか。
上村建設 秋山渉氏
ウエムラグループは、第2次中期経営プラン(2024~2028年)で「グループ力の強化」を重点戦略に掲げています。その具体策の1つが、ワンストップ・ソリューション提供体制の強化です。グループ売上高を2023年の394億円から、2028年には15%増の455億円へ引き上げる計画です。当グループでは、当社が建設を担い、ハッピーハウスが不動産管理などを担うほか、保険やサブリースなど複数の事業を関連会社で展開しています。これらの事業がデータでつながり、グループ一体でお客様に価値を届けることを目指していました。
しかし当時は、グループ各社がそれぞれ独自にシステムを構築しており、データ連携はほとんど考えられていませんでした。この状態では、グループ全体でのデータ活用はできません。そのような中で、IIJ Omnibusサービスを活用したネットワークの統合に続く次のステップとして、必要なデータを統合データベースに集約し、データに基づいて経営や営業を進められる体制構築に取り組みました。
執行役員 DX推進本部副本部長 兼 システム部長
秋山 渉氏
データ統合には、具体的にどのような課題があったのでしょうか。
上村建設 吉川学氏
当社とハッピーハウスは活用しているシステムも異なり、データそのものも分断されていました。建設領域では建物の設計・施工に関する情報、不動産領域では管理情報や入居者からの問い合わせなどが別々のシステムに分散していて、横断して見る手段がありませんでした。
システム部 システム課 課長代理
吉川 学氏
それは、業務にどのような影響を与えていたのでしょうか。
吉川氏
グループ間で情報が十分に共有されていなかったため、商談や提案の機会損失が生まれていました。例えば、上村建設が建設した建物をハッピーハウスが管理する際、建設時の情報が連携されていなかったのです。各システムのデータを連携できれば、そこから新たな提案につなげられます。そのための基盤として期待していたのが、「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」でした。