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株式会社あじかん 様株式会社あじかん

WAN回線の品質やBCP対策の課題を一挙に解決
わずか1カ月で移行したクラウド型ネットワークの効果

多くの拠点を持つ企業では、業務システムの運用に安定したWAN(広域通信網)が欠かせない。広島市に本社を構える食品メーカーの株式会社あじかんでは、拠点間を結ぶWAN回線が時間帯によって品質低下することや、バックアップ回線の準備ができていないことを課題と感じていた。さらに将来のクラウド移行と親和性の高いネットワークも求められた。そこで出会ったクラウド型ネットワークサービスは、課題解決に加えて多くの効果を生み出しつつある。

課題

  • 通信速度の低下や遅延など時間帯によって回線品質が安定しなかった
  • WAN回線のバックアップ体制が整えられていない拠点が多く、自然災害などで通信障害が起こると業務に支障を来していた
  • 今後のクラウド活用を見据えたときに、マルチクラウドの対応に親和性の高いネットワークを構築する必要を感じていた

効果

  • 51拠点のIIJ Omnibusへの移行をほぼ1カ月の短期間に実現
  • モバイル回線も活用して全拠点のWANのバックアップ体制を整備
  • 約30拠点のNAS廃止でコスト削減。拠点のWi-Fi対応やMicrosoft 365対応などでも効果

導入前の課題

Bフレッツの終了でWANの課題が噴出

業務用の玉子焼きやかに風味かまぼこ、ごぼう茶などの製造販売を手掛けるあじかん。広島市の本社とデータセンターに加え、全国に51の事務所、工場、営業所の拠点を持つ。そのネットワークに1つの課題が生じた。WAN回線として多くの拠点で利用していたNTTの「Bフレッツ ベーシックタイプ」のサービス終了である。

後継サービスであるフレッツ 光ネクストの中でコスト的に見合うものは、家庭向けのファミリータイプだけだった。情報システム課の石井孝徳氏は「ファミリータイプに回線を切り替えたところ、時間帯によって回線の速度低下や遅延が発生して、業務に影響が及びました」と話す。

原因は、通信プロトコルに従来型のIPv4を使うネットワークを経由するため、一般利用者の通信の増減の影響を受けてしまうこと。IPv4後継のIPv6を使えば他の通信の影響を受けにくいが、システム全体のIPv6対応が必要で実現は難しかった。

さらに、情報システム課課長の岸本利則氏は「バックアップの回線がない拠点も多く、事業継続計画(BCP)の面で課題がありました。また、今後のクラウド対応に親和性が高いネットワークの構築をコストダウンと両立させていくことも課題でした」と語る。

2018年夏、これまでもネットワークやセキュリティ対策の構築で関係があったIIJとの打ち合わせがあった。「そこでネットワークの課題を話題にしたところ、クラウド型ネットワークサービスのIIJ Omnibusで解決できるのでは? と話がありました」と情報システム課の樋岡幹司氏は振り返る。ここから話は急速に進む。

選定の決め手

多様な回線の収容とマルチクラウドへの閉域接続が可能

Omnibusを使うと、既存の足回り回線を使いながらWAN内の通信をIPv6化できる。これならば機器やシステムはそのままで空いているIPv6インターネットを利用でき、回線品質の向上が期待できる。また、全国各地に拠点があるあじかんでは、コストと性能の双方の観点から地域系通信事業者を含めたさまざまな回線を使っている。Omnibusでは多様な回線を収容できる上、IIJのモバイル回線も含めたバックアップ回線を低コストで用意できることも分かった。

さらに、OmnibusにするとWANが高速化・低遅延化されることで、約30拠点に配置されていたNAS(ネットワークアタッチトストレージ)をクラウド化できる。NASは拠点に実機を設置していたが、更新やメンテナンスには手間とコストがかかる。岸本氏は「拠点のNASをクラウドのストレージに置き換えれば、コストと手間の大きな削減につながります」と語る。

Omnibusは、IIJ GIO以外にも、AWS(Amazon Web Service)やMicrosoft Azureなど多様なクラウドサービスに閉域接続が可能で、今後のクラウドサービスの利用拡大にも十分な準備になることも決め手の1つだった。

導入後の効果

わずか1カ月で移行、全拠点のバックアップも整備

あじかんのネットワークのOmnibus化は、まず広島市の本社とデータセンターの2カ所をOmnibusに接続。その後、2019年10月から51拠点の移行に取り掛かった。

拠点にはOmnibusのWANユニット対応ルータ(サービスアダプタ)のSA-W2を配置した。拠点の通信の重要度によって、回線とSA-W2をいずれも二重化する形態と、1台のSA-W2にメイン回線とバックアップのモバイル回線の2つの回線を収容する形態の2つを使い分けている。

SA-W2は回線に接続するだけで設定が完了するが、バックアップへの切り替え試験や現地でのトラブル対応を考えて、全国に拠点を持つUSEN-NEXT GROUPの株式会社 USEN ICT Solutionsの現場力を活用。同社がIIJのサポートの下、設置から開通までを担当した。

それでも、営業中の拠点のネットワーク更新には苦労が多かったという。情報システム課で拠点の工事スケジュール調整に当たった波夛順子氏は次のように話す。「12月の繁忙期を控え、10月から11月に入れ替えを終えるスケジュールを立てました。最多で1日6拠点の工事を並行して進める作業になりましたが、IIJ様による密なフォローにより、11月には調整しきれなかった数拠点の作業が残るだけというスピード移行が実現できました」

Omnibusへの移行後の回線品質は安定しており、回線の負荷が格段に減ったことも社内調査から明らかになった。2020年の正月明けに静岡の拠点でメイン回線が不通になったが、バックアップのモバイル回線に切り替わって事なきを得た。樋岡氏は、「バックアップ回線の重要性をすぐに実証することになりました」と語る。

グラフ

実際の回線負荷状況を示したグラフ。11月の移行のタイミングで、大幅に減っているのが分かる。

約30拠点のNASのクラウド上のファイルサーバへの移行は、2020年度にかけて順次進めている。「NASの廃止だけでも年間180万円のコスト削減が見込めることから、トータルで大幅なコスト削減が実現できます」(岸本氏)。さらに、想定していなかったメリットが拠点のWi-Fi対応だった。石井氏は「SA-W2のアクセスポイント機能を使うことで集中管理できる拠点Wi-Fiが簡単に実現できます。拠点をまたいでも同じSSIDで接続でき、利便性も高いです」と評価する。

クラウド型ネットワークとしてのクラウドとの閉域接続では、Microsoft 365との連携構想を持っているほか、マネージドファイアウォールやWebゲートウェイ、メールゲートウェイなどIIJのサービスを利用したインターネットゲートウェイのクラウド化も検討を始めている。IIJのOmnibusは、「期待を超えて100%以上の評価です」(石井氏)というように、あじかんの新しいネットワーク基盤になっている。

株式会社あじかん様へ導入したシステム概要図

導入したサービス・ソリューション

お客様プロフィール

株式会社あじかん
本社:広島県広島市西区商工センター 7-3-9
創業:1962年
連結売上高:443億7,181万円(2019年3月期)
従業員数:815名(パートタイムを除く)
厚焼玉子などの鶏卵加工品、巻寿司食材、かに風味蒲鉾といった業務用食品を、主に中食市場向けに製造・販売する食品メーカー。近年は、一般消費者向けとして開発したごぼう茶の販売や、世界の和食ブームに対して、海外での日本食の食材販売が伸張しており、事業を拡大している。

株式会社あじかん

※ 本記事は2020年1月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

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