IIJ.news Vol.193 April 2026
「IIJ IDガバナンス管理サービス」を導入し、煩瑣なID管理を自動化。
業務負担の軽減、作業の正確性の向上に加え、「精神面での安心感」が実現された。
執筆者プロフィール
なないろ生命保険株式会社 事務システム企画部 アシスタントマネージャー
赤藤 央伸 氏
執筆者プロフィール
なないろ生命保険株式会社 事務システム企画部 アシスタントマネージャー
上道 しおり 氏
[導入前の課題]
──IIJ IDガバナンス管理サービス(以下、IGA)導入以前は、どのようにIDを管理していましたか?
赤藤:
Microsoft 365を中心にMicrosoft Entra IDやExchange、Garoon、HENNGE OneといったSaaSのほか、複数の自社開発システムを利用していました。加えて、親会社(朝日生命保険相互会社)が利用しているレガシーシステムを当社でも使用しています。2021年の創業時からID管理・運用を担当していますが、新入社員が入社するたびに各システムへ個別にID登録を行なう必要がありました。
上道:
入社や異動のたびに各SaaSや業務システムごとにIDの作成・変更・削除を、権限を意識しながら手作業で行なっていました。
──ID管理で感じていた課題を教えてください。
上道:
Microsoft Entra IDも利用していましたが運用は最低限で、属性値やグループ管理は十分とは言えませんでした。人事名簿をもとに個別対応していたため、システム増加にともない設計が複雑化し、設定漏れや想定外の挙動が起きることもありました。
赤藤:
特に負担が大きかったのが期末や年度替わりの異動対応です。100人規模の異動が発生し、複数システムで情報更新が必要でした。ID数も業務委託先や派遣社員を含めると約900まで増え、手作業での運用には限界を感じていました。
──ID管理で特に注意すべき点は何ですか?
上道:
当社には厳しい情報セキュリティ要件があり、権限にかかわるID管理は「間違ってはいけない」業務です。退職者IDの残存や不要な権限付与は、セキュリティリスクにつながります。また、組織再編が毎年のように行なわれ、部署が分割されたり統合されたりすると、数100人規模のID情報を1度に見直す必要が生じます。そうした避けられない変化に、いかに正確・確実に対応するかが課題でした。
赤藤:
ID登録に必要な情報は、多方面から集まります。情報が揃いにくいなかでも、人事発令日に合わせて対応しなければなりません。対応漏れから情報セキュリティが崩れる可能性もあり、業務負荷の軽減だけでなく、先回りして管理できる仕組みが必要だと感じていました。
[選定の決め手]
──IGAの導入を検討したキッカケは?
上道:
社員数の増加にともない、IDが倍々のペースで増える一方、管理の整理や効率化は後手に回っていました。そして「このままで良いのか?」という課題意識が強まり、2023年夏、IIJに相談しました。
赤藤:
IGAなら、将来を見据えたIDの統合管理が可能である点が導入の決め手となりました。また、入社日や異動日に自動反映できる予約登録機能を一元的に利用できる点も魅力でした。
──IIJの提案について感想を聞かせてください。
上道:
IIJは「Microsoft Entra IDだけでなく、ID管理全体で困っていないか?」という視点から、何度もヒアリングを重ね、Garoonや自社開発システムを含めて管理できる仕組みを提示してくれたことが大きかったです。将来像を共有したうえで段階的に進められたことで、社内説明もしやすかったです。
──IGA導入にあたって、社内システム全体との連携はどのように進めましたか?
赤藤:
2024年10月にPhase1としてIGAを導入し、IDマスタを整備するとともに、Microsoft Entra IDへの自動連携を実施しました。
上道:
Phase2では、IGAに登録したID情報を、複数システムのデータを連携するiPaaS「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」を介して各システムに展開し、APIを使って自社開発システムやGaroonとの連携を進めています。自社開発システムについては、IIJの同サービスで連携情報を取得・加工してCSVを作成し、Microsoft SharePoint Onlineを介して受け渡すことで、日々の運用を自動化しました。段階的に連携範囲を広げられた点も実運用の面で現実的でした。
[導入後の効果]
──IGAの導入効果を教えてください。
上道:
「こんなに楽になるのか!」と感じました。以前は9月末や3月末など人事異動が集中する時期は、1日作業が遅れるだけでID変更が滞って業務に影響が出るため、常に緊張感を持って対応していました。IGA導入後は作業が自動化され、本来の業務に時間を割けるようになりました。作業時間の削減以上に、精神的な負荷が軽減されました。
赤藤:
年度末にExcel資料と各システムの管理画面を突き合わせながら確認作業を行なっていたのが、導入後はそうした作業が減り、1日あたり2〜3時間ほど短縮されました。とにかく自動的に処理されるため、間違いが起きにくいという安心感が大きいです。
──ガバナンスや可視化の面での効果はありましたか?
上道:
IGAでは、社員一覧や組織図のマスタ情報を過去日指定で参照でき、退職者が当時どの組織に所属していたかを遡って確認できます。これはガバナンスの点で「かゆいところに手が届く」機能だと感じています。
赤藤:
過去日や未来日を指定して人や組織情報を確認できる点は、人事部門からも評価されています。

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──導入後のサポート体制はいかがですか?
上道:
ID管理は業務の変化に応じて対応が必要です。当社では、全てを一気に自動化するのではなく、「今年はここまで」と段階的に進めていますが、その判断はIIJと一緒に行なっています。
赤藤:
急な案件にも柔軟に対応してくれて、新たな職位ができた際には、具体的な進め方を提案してもらえました。
上道:
開発経験がなくても、マニュアルと画面を見ながら理解でき、自分でも対応できそうだと感じました。当社の環境を理解したうえでサポートしてもらえています。
──IGA導入を通じて、提供していきたい価値を教えてください。
赤藤:
情報システム部門の役割は、営業や現場の社員が気持ちよく仕事ができる環境を支えることだと考えています。業務効率化はその土台であり、情報セキュリティの重要性も年々高まっています。ID管理やガバナンスがしっかり効いていれば、営業がお客さまから情報セキュリティについて問われた際も「当社は大丈夫です」と自信を持って答えられます。そうした安心感が社員を通じてお客さまに伝わればいいですね。
──同様の課題を抱える企業へメッセージをいただけますか。
赤藤:
当社のニーズを丁寧にくみ取り、提案から導入、フォローまで一貫して対応してもらえました。ID管理に悩んでいる方には「信頼できるパートナーと一緒に進めることが大切だ」ということをお伝えしたいです。
※ 本記事は2025年12月に取材した内容をもとに構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。
本社:東京都新宿区四谷1丁目6番1号 YOTSUYA TOWER 16階
開業:2021年4月1日
資本金:550億円
朝日生命グループの一員であるなないろ生命は、人々の多様化するニーズやライフスタイルに対応できる生命保険会社として、2021年4月に誕生。同社の特徴ある“あきらめないで、いい保険。”は多くの方に選ばれている。
