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グローバルに展開し、ローカルに攻める——IIJグループの国際戦略 複雑化する欧州のIT事情――国ごとに異なる商習慣と歩むプロジェクト

IIJ.news Vol.193 April 2026

イギリス

ドイツ

執筆者プロフィール

IIJ Europe Limited. Managing Director

山本 学

IIJ Europe Limited. Senior Manager, Professional Services

高村 昌利

欧州日系企業を取り巻くIT環境

欧州で事業を展開する日系企業のITオペレーションは、バイリンガルIT人材の慢性的な不足や加速度的に短くなる技術革新サイクルといった外部要因により、複雑さを増しています。そうした状況に加えて、安定した通信環境の確保、クラウド活用、ERPの海外展開、DX/AI、セキュリティ対策、さらには日々のシステム運用の効率化や迅速かつ柔軟なユーザサポート体制の構築など、多くの課題が同時並行的に押し寄せています。

特に欧州は、EUという共通の枠組みはあるものの、40数カ国から構成され、国ごとに異なる文化や商習慣への対応が求められます。その結果、複数拠点が必要となることも多く、事業運営コストの増加の一因となっています。

これまでは日本本社からIT統括担当者を駐在員として派遣し、各拠点のITを管理する体制が一般的でしたが、近年では人材確保やコスト面の制約から、大手企業であってもIT人材の派遣がむずかしくなっています。

こうした背景のもと、欧州各地の現場に即したITマネジメントを担えるパートナーを求める声が高まっています。そこで当社では、20年以上にわたりITマネジメントサービスを提供してきたノウハウを活かして、運営の安定化・効率化を通じてお客さまの事業拡大を支援しています。昨年からは某日系商社の欧州統括ITマネジメントを開始したほか、100名体制の構築と多言語エンジニア採用により、迅速かつ柔軟な対応力強化を進めるなど、従来の枠を超えた取り組みにも踏み出しています。

製造業向けインフラ構築支援の取り組み

製造業では中国や東南アジアに拠点を構える日系企業が多く見られますが、欧州においても(特に東欧を中心に)新工場の建設や製造業に関連したインフラ構築を支援するプロジェクトが多数存在し、そこでは独自の課題も散見されます。

当社の拠点は都市部にありますが、実際の工場建設は郊外や東欧諸国で進められることが多く、プロジェクトの受注には現地での情報収集が欠かせません。そのため、各国の商工会議所への登録を通じた情報収集に加え、過去のプロジェクトで築いた人脈を活用して新工場建設などの情報をいち早く把握したうえで、適切なタイミングで提案を行なえるよう努めています。

実務では、日本との商習慣の違い、予期せぬトラブル、仕様変更によるコスト増などで、現地ベンダのコントロールに苦労されているお客さまも多く、日本本社とのコミュニケーション負荷が高まるケースが頻発しています。実際、東欧の工場建設案件では、工事遅延によりサーバルーム完成が遅れ、電力制限もあるなかでのIT構築が求められたことがありましたが、現地の状況に応じた柔軟な対応により、納期内の引き渡しを完了しました。また、こうした実務にもとづいた知見・提案が評価され、新たな受注につながるケースも多くあります。

品質確保の面では、提案段階から現地パートナーを開拓すると同時に、必要に応じて雇用代行サービス(EOR=Employer of Record)を活用して要員を確保し、現地の事情や現地語に精通したエンジニアと日本の品質基準を理解したメンバーが連携することで、高品質なプロジェクトの提供を実現しています。

スコットランド出張中に訪れたエディンバラ・ウェイヴァリー駅前


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