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IoTで足場固め 共創を生み出す IoT×ファイナンスの力

IIJ.news Vol.192 February 2026

「IoTフォークリフトサービス」を展開する三菱HCキャピタルは、IIJとの協業のもと、効果的なデータ利活用を実践し、現場課題の解決や新たな価値創出に取り組んでいる。
本稿では、同社が目指す「IoT×ファイナンス」の未来像について紹介する。

三菱HCキャピタル
執筆者プロフィール

三菱HCキャピタル株式会社
セクター営業本部
日立グループ営業部 部長

髙山 巌 氏

1998年、日立リース(現・三菱HCキャピタル)に入社。茨城支店で大手メーカー向けファイナンス営業などに従事。法人営業推進部で戦略策定や新規事業の立案を担当。ライフ事業本部にて地域創生を起点とした新規事業、PPP・PFI組成など自治体連携でまちづくり事業を推進。2023年4月より現職。

リース業界の変化

当社は2021年4月、三菱UFJリースと日立キャピタルが経営統合して誕生しました。商社・銀行資本を背景とした広範なお客さまネットワークと財務知見に加え、メーカーをバックボーンに持ち、IT領域のノウハウを融合したユニークな企業として事業を展開しています。

リース業界は、2008年の会計基準変更や2027年施行予定の新リース会計基準など、国際基準との整合が進むなか、従来のメリットが薄れ、サービスのコモディティ化が進行しています。つまり、単なる「モノの提供」としてのリースでは差別化が困難な時代が訪れているのです。

こうした環境変化を踏まえ、当社は2025年度を最終年度とする中期経営計画において「ビジネスモデルの進化・積層化」を掲げ、パートナー企業との連携による付加価値の高い「ファイナンス×サービス」の提供に注力しています。その中核を担うのが、IoTを活用したサービス・スキームの構築とデータ利活用です。

IoT×ファイナンスによる新たなかたち

IoTは機器・通信・クラウド・データ分析など複合的な要素から構成されますが、お客さまの真の関心は「機器そのもの」ではなく、IoTから得られる「データ」と、その先の「価値」にあります。当社はIIJと協働し、IoT環境構築のハードルを下げることで、稼働監視を通じたCO₂の可視化を支援する「省エネIoTパッケージ」を提供しています。可視化環境の構築を起点に、生産合理化やカーボンニュートラル実現に向けたソリューションをパートナー企業と連携して展開し、導入後の運用フェーズにおいてもデータ分析や改善提案を通じてお客さまの価値創出を後押ししています。

産業用IoTの具体事例

当社ではIoTを活用した自社サービスとして、パートナー企業と協働し「IoTフォークリフトサービス」を展開しています。センシングデバイス、クラウドダッシュボードを一貫提供し、危険運転の検知や稼働状況の測定、データ分析を通じた安全管理や作業効率の改善を支援しています。将来的にはデータ利活用により、保有台数の適正化や運用効率化を図り、現場改善と経営効率化の両面で価値を提供することを目指しています。

IoTフォークリフトサービスの開発

当社は永らくフォークリフトリースを提供してきましたが、サービスとしての付加価値はほとんど強化できていませんでした。そこで、IoTを絡めて安全管理や効率化に踏み込むことで、新たな価値を提供できるのではないかと考え、開発に着手しました。最初は、フォークリフトリースを利用いただいている倉庫業を営むお客さまに対して、本サービスの提供を開始しました。現場での課題を踏まえて「収集必要なデータ」を特定し、それを取得できるセンサを設計するところから始めました。そして、試作機を取り付け、データ取得のためにお客さまに運転していただきながら、試行錯誤を重ねました。

センサは何でも検知すればいいというわけではなく、「どんなデータを取り、どう生かすか」が重要です。実際に取得したデータを分析すると、体感でしか語られなかった運転の粗さや事故リスクが数値として可視化され、説得力を持って現場改善につながることが見えてきました。また、特定エリアでの滞在時間など、当初は意図していなかったデータから新たな気づきも得られました。さらには、閉じ込め事故のリスクや職場改善の必要性など、人的環境に直結する課題も浮き彫りになりました。当社では、危険運転のパターンを分析するプロセスを繰り返し、検証を重ねることで、他のお客さまへの展開を進めています。

従来のリース営業では、お客さまとの接点が契約・検収などに限られていることも珍しくありません。他方、IoTフォークリフトサービスでは、現場に入り込んで潜在的なニーズを引き出し、お客さまとともにサービスをかたちにする過程で、価値を感じていただくことのむずかしさや重要性を痛感することもあります。こうした取り組みは、IIJをはじめとするパートナー企業の支援なくしては実現し得なかったものです。

IIJの強みは、複数キャリア対応による冗長性の確保やクラウド環境構築の柔軟性です。現場ごとに異なる通信条件に対応できる安定性は、IoTサービスの信頼性を支える根幹であることから、IIJは当社にとって不可欠な共創パートナーとなっています。

IoTは、データを取って終わりではなく、その先の価値創出こそが重要です。IoTフォークリフトサービスから得られたデータは、適正台数の分析、動線可視化による車両運用の効率化やレイアウトの見直し、無人搬送の代替など、多様な価値を生む可能性を秘めています。今後はパートナー企業との協業により、データを利活用したサービスの高度化も進めていきます。

協業による新たな価値創造と今後の展望

IIJが掲げる「データ利活用事業の開拓」は、当社も志を同じくするところです。IIJとの協業を通じ、データ利活用を基盤とした新たなビジネスモデルを創出し、産業用IoTの可能性を最大化していきます。さらに、生成AIと連携した予測保全や脱炭素経営に資するデータ活用など、「IoT」と「ファイナンス」を掛け合わせてアセットの潜在力を引き出し、社会価値を創出することで、持続可能で豊かな未来に貢献します。


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