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IoTで足場固め 産業IoTの最新動向とIIJのIoT事業戦略

IIJ.news Vol.192 February 2026

ここでは、まず産業IoT市場のトレンドを整理し、パートナー企業との協業やIoTの具体的な導入事例を見たうえで、IIJのIoT事業の戦略を紹介する。

執筆者プロフィール

IIJ ネットワークサービス事業本部 IoTビジネス事業部長

岡田 晋介

IoT市場の変化、単一のIoT市場は存在しない

IoTがバズワードとしてピークの時期にあった2020年前後、IoT市場は単一の巨大市場として捉えられていましたが、現在は個別市場の集合体であると考えられます。個別市場を見ると、製造、物流、建設、モビリティ、農業や、モバイル通信をはじめとしたテクノロジー別のコンポーネントといった区分になります。

IoTは当初、ペーパーレス化や機器のネットワーク化など導入しやすい基盤整備から始まりました。次にDX推進へとシフトし、単に“つながる”段階から“データを活用して価値を生み出す”段階に入りました。そして現在では、業務プロセスの再設計、ビジネスモデル変革に向けたユースケースが産業別に成熟し、より具体的な活用へと進んでいます。もはやIoTという言葉単体では、そうした取り組みや価値を説明するには不十分であり、産業別のDX市場として捉えるべきです。

IIJのIoT事業は、産業IoT分野をターゲットに絞って展開しています。具体的には、工場IoTを筆頭に、IoTで製品に付加価値をもたらしビジネスを展開する(モノ売りから)コト売りへの転換、コネクテッドプロダクトやサービタイゼーション(Servitization)といった分野です。

産業IoT分野における取り組みとビジネスのステージ

工場IoTでは、特に新工場建設や工場刷新にあたり、業務プロセス改善を目的に生産設備やセンサからデータを収集・活用可能にすることは一般的になっており、IIJでも多くのお客さまをサポートしています。

コネクテッドプロダクトやサービタイゼーションの分野でも、例えば、建物向け耐久財メーカでは遠隔監視・制御を自社保守ビジネスの付加価値として展開し、業務用ヘルスケア製品メーカでは新たなサブスクリプションビジネスを展開する、といった動きが進展しています。

こうしたプロジェクトに共通するのは、システム導入やデータ活用など目的が比較的明確である点です。また、経営レベルで意思決定と事業推進がなされ、IT部門と事業現場が近い距離で取り組みを推進している点も共通しています。

他方、IoTへの取り組みは、導入直後から効果が得られ、投資を回収できるモデルではなく、データ収集から価値を生み出すまでには継続的な運用が必要で、ビジネス効果を得るまでに一定の時間を要します。

そうしたなか、取り組みを進めるお客さまの課題は、IoT化により現場の効率は上がったが、そこで得られたデータを売上・利益に結びつけて、ビジネスをどう拡大していくのか、といった段階に移行しています。

データでビジネスは拡大するか?

先述したサブスクリプション化の事例のように、データによって製品自体に付加価値を生み出すビジネスモデルはすでに成立しており、本業拡張によるビジネス成長という第1段階は達成されたと言えるでしょう。ビジネスのさらなる拡大を目指す第2段階としては、取得したデータによる「2次収益化」が考えられます。売ったら終わりではなく、日々積み上げられていくデータを“強み”とすることで競合他社が容易に模倣・対抗しにくい状況を作り、自社の競争優位性を拡大し、勝ち続ける構造を樹立するモデルです。これは難度が高いように見えますが、実際、こうした段階へ歩みを進めているIIJのパートナー企業も存在します。

本特集で紹介する「三菱HCキャピタル」は「IoT×ファイナンス」をテーマに本業の拡張に取り組み、フォークリフトリースビジネスをアップデートしています。加えて、取得したデータを2次的に活用して、稼働監視を通じたCO₂の排出量を可視化してカーボンニュートラルを実現するソリューションの展開にも着手しています。

「村田製作所」は、交通量のリアルタイムデータを販売するビジネスを展開しています。IoTにより創出されたデータに価格を設定して販売する試みはこれまであまりありませんでしたが、新しい取り組みが採用されやすい東南アジアをフィールドとすることでビジネス化に成功しました。今後は、潜在的なニーズを掘り起こして、データバラエティとユースケースを増やしつつ、顧客やビジネスパートナーが利用できるプラットフォームを整備することで、データ価値の2次的な拡張を目指しています。

こうした先駆的な取り組みを紐解いていくと、IoTデータによるビジネス拡大は着実に進んでいることがわかります。

IoTの問題は技術ではない

IoTを技術的側面から見ると、新しい技術を必要としているわけではありません。データを価値に変えるために必要な技術やサービスはすでに出揃っており、目下の課題は、それらを用いてビジネスをどう実現していくのかということになっています。

技術やサービスがコモディティ化するなか、IIJは、具体的な活用方法をお客さまと一緒に考える“顧客伴走型”のサービスおよびソリューションの提供者として差別化を図っていく考えです。

これはつまり、単一サービスや技術の提供はもちろん、それらを組み合わせてシステムを構築し、どのようにビジネスに活かしていくのかをサポートするといった内容になります。さらには、これまでITサービス事業者として培ってきた運用経験やIoT事業で蓄積した知見を活かして、ビジネスの変化に合わせたシステム運用をいかに継続していくのかといったご提案も含まれます。

インターネットの技術があらゆるビジネス活動の土台になるまでの全過程を走り抜けてきたIIJの経験を駆使して、「技術をどう活かしていくのか」という本質的な点に関して、お客さまのビジネスを実現する伴走者であり続けたいと考えています。

IoTの今後とIIJ

IoTは単なる技術導入にとどまらない、産業構造やビジネスモデルを変革する経営課題になっています。そして、今後を考えるうえで不可避なのが「AIとの融合」というテーマです。IoTデータをAIが解析して、予測や自律的な意思決定を行なうことで新しい価値を創造する――換言すると「データ活用の部分をAIで変革する」という課題です。そうした未来を踏まえると、AI自らが生み出すことができないIoTデータの価値は、今後ますます重要になってくるでしょう。

IoTは“つながる”段階から“価値を生み出す”段階へと進み、さらにAIと融合して“考える”時代を迎えようとしています。IIJは、その変革をお客さまとともに実現し、産業IoTの進化に寄与してまいります。


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