ページの先頭です


ページ内移動用のリンクです

  1. ホーム
  2. IIJについて
  3. 情報発信
  4. 広報誌(IIJ.news)
  5. IIJ.news Vol.168 February 2022
  6. topic05 エッジコンピューティング

IT Topics 2022 topic05 エッジコンピューティング

IIJ.news Vol.168 February 2022

本格的なIoT時代の到来を前にエッジコンピューティングが注目を集めている。ここではその基本を解説したうえでIIJの取り組みを紹介する。

執筆者プロフィール

IIJ クラウド本部 クラウドサービス1部
基盤サービスデザイン 課長

山本 岳洋

クラウド関連サービスの企画・開発・運用を担当。

エッジコンピューティングとは?

近年、エッジコンピューティングへの期待が高まっています。昨年10月にガートナー社が発表した「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2021年」において、エッジコンピューティングは「過度な期待のピーク期」にある一方、今後は活用が進む、とされています。

エッジコンピューティングは分散コンピューティングの活用手法であり、全てのものがインターネット、ネットワークにつながるIoT時代において重要な技術です。文字通り、ネットワークの末端(エッジ)で処理されるアーキテクチャであり、パソコンやスマートフォンといった従来の端末だけでなく、IoT(Internet of ings)という言葉の通り、ネットワークにつながる全てのものがエッジデバイスであると言えます。

クラウドの普及以降、広帯域なネットワークを介してデータをデータセンターへ"集中"させて処理することが一般化しました。一方、端末や利用者に近い場所で処理したいというニーズも存在します。"分散"させることで応答・処理速度の向上や負荷の低減などを図れるからです。

例えば、ミリ秒単位で出力される膨大なデータの処理や、ネットワークで転送しきれない大量のデータの処理などです。光ファイバの伝搬速度は約20万キロメートル/秒であり、いくら広帯域化しても物理的に離れていたら、通信経路の伝搬遅延をゼロにすることはできません。また、秘匿性が求められるデータを外部に出したくないといったセキュリティ要件や、データの保管・保護規則を明確に定めたGDPRなど個人情報の保護規則下もクラウドをフル活用できない状況と考えられます。

このように、クラウドでの集中処理だけでなく、エッジと連携した分散処理もしくは一次処理を行なえることがエッジコンピューティングのメリットです。

さらなる発展と進化への期待

Docker や Kubernetes などのコンテナ技術の普及により、エッジコンピューティングの実用が現実的になってきました。コンテナ化されたアプリケーションは可搬性が向上しており、開発者の手元のパソコンでもクラウドでも、環境の違いを問わず稼働できます。それをエッジにもデプロイすることで、クラウドで行なっていた処理をそのままエッジに実装できます。つまり、迅速かつ効率的にエッジロケーションにアプリケーションを展開可能になり、エッジコンピューティングのメリットを最大限に発揮できるのです。

IoTの普及により、AIに適したGPUやFPGAなどのプロセッサを搭載する、エッジロケーションの利用を前提としたデバイスも注目されており、今後のさらなる発展と進化が期待されています。

IIJの取り組み

IIJは昨年、第三世代のクラウドサービス「IIJ GIO P2 Gen.2」をリリースしましたが、そこで作り上げた技術スタックをデータセンターのなかだけでなく、エッジコンピューティングのプラットフォームとして活用するプロジェクトを進めています。

IIJ白井データセンターキャンパスでは、マイクロデータセンターを屋外に設置し、ローカル5GやIoTでのユースケースを想定した、クラウドとエッジを連携して活用するための実証実験を行なっています。こうした試みを社外の方にも体験していただける展示も、データセンターキャンパス内に開設する予定です。

クラウドとエッジ間のネットワークをIIJが"つなぐ"ことで、高品質なサービスをユーザ(エッジ)により近いところでお届けできるようになります。そのためのネットワークは従来のものだけでなく、5Gのモバイルネットワークなども積極的に活用してプラットフォームを進化させることで、IIJならではの、IIJにしかできないITインフラをお届することを目指しプロジェクトを実行していきます。また、そのプラットフォームや技術は特定の事業者に依存・ロックインするのではなく、インターネットのようにオープンで自律分散型のエコシステムでありたいと考えています。


ページの終わりです

ページの先頭へ戻る