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グローバル・トレンド ASEANクラウド事情

IIJ.news Vol.166 October 2021

今回は小誌編集部が、インドネシア、ベトナム、タイのクラウドに関するトピックを、IIJグループの現地拠点で働く人に聞いてみました。

執筆者プロフィール

PT. IIJ Global Solutions Indonesia
President Director

延廣 得雄(インドネシア・ジャカルタ)

IIJ Global Solutions Vietnam Company Limited
General Director

松元 涼(ベトナム・ハノイ)

IIJ Global Solutions(Thailand)Co., Ltd.
Managing Director

松永 宏之(タイ・バンコク)

インドネシア・ジャカルタ

2020年6月、グーグルのクラウドサービスであるGoogle Cloud Platform(GCP)が他のハイパースケーラに先駆けて Jakarta region を稼働させました。グーグルは進出にあたって、当地の有望なスタートアップに初期段階から出資しており、GCP稼働に合わせて、すでにユニコーンとなっていたそれらアンカーテナントが利用を開始するなど、長期間にわたる投資・事業戦略を通して、その巨大なエコシステムを構築しています。これはグーグルが展開戦略を実行するなかで、スタートアップと単なる出資者、株主としての関係性ではなく、まさにビジネスパートナーとして良好な関係を築いてきたからこその結果だと言えます。

IIJは、2015年から当地の大手通信事業者である Biznet と合弁で Biznet GIO というクラウドサービスを提供し、現地系としては大きなシェアを獲得して、順調な事業運営を行なっています。こちらは当初からグーグルだけでなく、アマゾン、マイクロソフトなど、ハイパースケーラが早晩進出してくると想定し、ターゲット顧客として設定している小規模事業者、最初期のスタートアップ、エンタープライズ向けなど、それぞれにサービス構成を最適化しており、GCPなどと比べても特定分野では優位性を保てるよう取り組んできました。

特にインドネシアは1万3000もの島々から成り、経済中心地である首都ジャカルタを含むジャワ島も広大で、隅々まで快適な通信環境が提供されているわけではないため、Biznet 社の全土をカバーする光ファイバ網はGCPを使う際にも利用されるケースがあります。つまり、その相互接続性を一つの優位性として、競争ではなく、共創するような仕組み作りがIIJの大きな役割だと考えています。

ロックダウン中のジャカルタのローカルマーケット。店主はノーマスク!

ベトナム・ハノイ

ベトナムでは電子決済が急速に普及しています。もともと与信が発達しておらず、現金決済比率が高く、クレジットカードの保有率も低いといった事情がありました。そのため、スマートフォンを用いた電子決済への期待が高く、多数の電子決済サービス業者が競い合うようになっています。店舗や公共料金の支払いに加えて、ユーザ同士の送金、保険料の支払、オンライン決済、映画チケットや宝くじの購入などに、電子決済機能が広がってきました。その結果、特に都市部での利用が飛躍的(前年比300~400パーセント)に伸びています。

電子決済サービスの多くは、クラウドサービスを利用しています。柔軟にシステムを拡張できるクラウドサービスは最適なシステム基盤です。フィンテックを支えるAIやeKYC(オンライン本人確認)などのアプリケーションを稼働させるために、GPU搭載クラウドサーバやコンテナの稼働環境が必須です。

IIJがベトナムで運営するFPT HI GIO CLOUDサービスも、そうしたフィンテック企業のニーズに対応できるようサービス機能を拡張しています。2021年4月からは Kubernetes(コンテナを運用管理し、自動化するためのオープンソース・プラットフォーム)環境をオンデマンドで提供するサービスも開始しています。

かつて出張時に見たダナン市の夜景。

タイ・バンコク

タイでは2017年時点においてINETをはじめとする少数のクラウドベンダがIaaS を提供し、急速な市場の拡大が期待されるなか、当社でもLEAP GIOをスタートさせました。しかし現時点では、サーバなどは自身の手の届く環境に置いておきたいというタイの人たちのニーズもあって、期待していたほどの拡大には至っていません。

そうした状況ではありますが、直近はプレーヤーも変わりつつあります。現地の大手キャリアが Huawei のOEMクラウドを開始したり、AISという日本でいうNTTドコモに相当する国内最大の携帯電話会社がクラウドサービスを持つローカルの大手ISPを買収し、VMware やマイクロソフトといったベンダと協業を打ち上げて、エンドユーザへのアピールに注力しつつ、IaaS の価格攻勢に出ています。

一方、当初はタイ最大のクラウドベンダだったINETは顧客離れが進んでおり、直近では競合会社として名前が出ることも少なくなりました。一方、タイ国内に基盤はなくとも、グローバルブランドであるAWSを利用する顧客もいます。我々としてもこの層を取り込むべくAWSの資格取得を進めています。

LEAP GIOの販売ということでは、今後の大きな伸びを期待して、IaaS のみの展開から Lan Scope Cat on GIO をはじめ、エンドユーザにもわかりやすいサービスの開発を目指し、ベトナム現地法人の支援のもとバックアップサービスの拡充や、NECとの協業でSAP-B1用基盤構築といった取り組みも進めています。

今後もLEAP GIOを活用してエンドユーザに浸透していけるサービスを開発するために、パートナリングを進めていきたいと考えています。

コロナ禍以前は、いつも渋滞していた道路と市民の憩いの場として賑わっていた公園。


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