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新クラウドサービス「IIJ GIO P2 Gen.2」誕生 クラウド活用の課題を解決する“マルチクラウドのハブ”

IIJ.news Vol.166 October 2021

外資系クラウドサービスが主導権を握っている日本のクラウド市場にあって、IIJ は改めて「自社開発のクラウド事業に力を入れる」という方向に舵を切った。
本稿では、その背景と新サービスの概要を語る。

執筆者プロフィール

IIJ 執行役員 クラウド本部長

染谷 直

1998年にIIJに入社。入社後、子会社であるアイアイジェイテクノロジーへ出向、SI事業の立ち上げに関わる。2016年よりクラウド本部に転属、副本部長としてクラウド領域における中期戦略の立案、実行を担当。2017年にIoT事業の立ち上げを行う。2019年より同本部長に就任。

外資系サービスが先行する日本のクラウド市場

昨今の日本国内のクラウド市場では、アマゾンのAWSや Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)といった外資系クラウド事業者のサービスが大きくシェアを伸ばしていることが、さまざまな調査会社のレポート、多くの事例、他社の動向などから明らかになっています。

現在、大半の企業の情報システム部門において、既存システムのクラウド化を検討する際、AWSやAzure が候補に挙がるのではないでしょうか。また最近では、デジタルトランスフォーメーション(DX)の流れやコロナ禍に対応するリモートワーク環境として、AWS PaaS やMicrosoft 365 などの活用もかなり増えてきました。

IIJ もマルチクラウドの観点から、自社 IaaS(IIJ GIO)に加えて、2015年の Microsoft Azureを皮切りに、AWSや Oracle Cloud Infrastructure(OCI)、グーグル、VMware On Public Cloud などとパートナー契約を結び、外資系クラウドサービスを取り扱ってきましたが、ここにきて改めて「自社開発のクラウド事業に力を入れる」という判断に至りました。今回は、その背景と狙いについて触れたいと思います。

クラウド化の課題はオンプレミス

IIJは先進的なネットワークサービスやクラウドサービスを開発し、お客さまに提供することを生業としていますが、一方で、我々自身の業務効率化のためのアイデアという意味で比較的自由な発想・行動が許容されており、実は随所で社外のクラウドサービスを取り入れています。

例えば、1万社を超える弊社の得意先に対して効率的な営業活動を支援するSFAには salesforce が導入されており、サービス運営における主要業務の一部でも社外のパブリッククラウドが活用されています。

こうした取り組み自体、IIJ らしいとも言えますが、パブリッククラウドを利用する各担当者にヒアリングすると、データ活用やシステム連携の複雑さに関して課題があると言います。いずれのケースにおいても、業務やそれを実現するシステムは、契約したパブリッククラウド単体で完結することはなく、契約情報や関連情報を管理しているオンプレミスにある基幹システムとの連携が不可欠になります。

この基幹システムは情報システム部門が管理しているのですが、クラウドサービス毎に連携方式が異なったり、業務毎に必要なデータが異なるため、連携に際してシステム改修が必要で、対応するエンジニアのリソース不足によるスケジュール遅延や、SI会社へ委託する際に開発コストが発生するといった問題が起こっています。

弊社で実施したアンケート「全国情シス実態調査2021」によると、八割を超える企業が「50パーセント以上のシステムがオンプレミスに存在する」と回答しており、AWSや Azure といったクラウド活用が進んでいる現在の国内企業でも、クラウド化を100パーセント遂行した企業は少なく、多くの場合、我々と同様にオンプレミスに資産を残しつつ、ハイブリッド形態で業務実装しているという実態が見てとれます。

つまり、スピード感やAIなど先進技術の活用という観点で外資系クラウドサービスは魅力的ですが、実装面でオンプレミスに課題が残っているというわけです。

「マルチクラウドのハブ」

IIJは2009年から「IIJ GIO」ブランドで自社 IaaS を展開しています。同サービスは当初から、パブリック型 IaaS(AWS EC2と同様に仮想サーバを選択するモデル)と、プライベート型 IaaS(VMware プライベートクラウドの環境を提供するモデル)の二つのタイプを基本としてきました。

特にプライベート型 IaaS は、オンプレミスの資産の移行先として現在も堅調に伸びていますが、IIJが提供するクラウド接続ネットワークサービス(IIJ クラウドエクスチェンジサービス)を経由して、AWSや Azure といった外資系クラウドサービスとのハイブリッド接続形態をとるシステムも増えています。

そこで我々は次のフェーズとして、先に述べた「クラウド活用の課題はオンプレミスにあり」に改めて丁寧に向き合い、課題解決に必要な機能をサービスで実現することにしました。

オンプレミスに代わって「マルチクラウドのハブ」となる機能を提供することで、さまざまな制約・縛りから解放され、もっと自由なクラウド活用が進み、やがては「日本企業の全てのシステムがクラウド上にある世界を実現していきたい」と考えています。

この「マルチクラウドのハブ」は、すでに提供しているサービスを含め、具体的に次の4つをコンセプトとして掲げ、サービスの準備・開発を進めています。

四つのコンセプト

インフラのハブ(IIJ GIO インフラストラクチャー P2 Gen.2)

IIJ GIOとして開発・提供してきたパブリック型 IaaS とプライベート型 IaaS を完全統合し、それぞれの特徴を活かした新しい IaaS を2021年10月1日にリリースしました。VMware プライベートクラウドの特徴を活かしながら、パブリック型 IaaS で実現している設備運用から完全に脱却しています。ハードウェア更改や場所にとらわれることなく、小規模(1vCPU)から利用できるプライベートクラウドです。

ネットワークのハブ(IIJクラウドエクスチェンジサービス)

AWS、Azure、GCP、OCIといった主要パブリッククラウドと、オンプレミスもしくはIIJ GIOとを結ぶクラウド間接続ネットワークです。「インフラのハブ」となる「IIJ GIO インフラストラクチャー P2 Gen.2」には、このIIJ クラウドエクスチェンジサービスがプリセットされており、契約内容に応じて各パブリッククラウドとの接続を即時実現できる環境を整えます。

オペレーションのハブ(IIJ MMP:マルチクラウドマネジメントプラットフォーム)

これまで提供してきたマルチクラウド対応の統合運用管理サービス(UOM:Unified Operation Management)を拡張して、AWS、Azure、VMwareなどのクラウド環境に対応した構成管理機能と、ITILベースのチケット管理機能を加え、MMP(マルチクラウドマネジメントプラットフォーム)として去る10月1日にリリースしました。MMPは実績のある各種テンプレートを備えており、マルチクラウド環境を運用する情報システム部門の業務効率化を実現します。

データのハブ(来年度リリース予定)

オンプレミスに存在する既存データのキャッシュをクラウド上にセキュアに保管し、あらかじめ準備された各パブリッククラウド向けインタフェースを介して、データの加工・連携を容易に実現します。オンプレミス環境に影響を与えることなく必要なデータを抽出できるため、安価で迅速なデータ活用が可能です。なお、本サービスは現在開発を進めており、来年度のリリースを予定しています。

IIJ は創設当初からインターネットの可能性を見出し、「あらゆる情報がネットワークの先にある」世界の実現を目指してきました。これからも引き続き、日本企業のみならず、世界の企業の進化を支えるサービスを開発していきたいと考えています。ぜひ、ご期待ください。

マルチクラウドのハブ 4つのコンセプト


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