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インターネットがよくわかる通信のしくみ スマートフォンの進化を支える技術とインフラ

IIJ.news vol.163 April 2021

周波数帯別 電波の到達距離(イメージ)

普段、使っているスマートフォンは
どのような仕組みで通信しているのか?
MVNOとしてIIJが提供しているサービスの裏側を紹介する。

執筆者プロフィール

IIJMVNO事業部 コンシューマサービス部サービス企画課

春日 健人

2018年新卒入社、現在は「IIJmioひかり」などのブロードバンドサービスやモバイルサービスを中心にサービス企画を担当。
趣味:飛行機、旅行、ネットワーク(好きなルーターはSEILです。)

MNOとMVNOの違い

まず日本の携帯電話の「キャリア」を整理してみましょう。日本にはMNO(移動体通信事業者)であるNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4社があります。これらのMNOは、スマートフォンなどの携帯電話で音声通話やデータ通信を行なうための基地局をはじめとした通信網を自社で保有し、通信サービスを提供しています。

これ以外に、MNOから一部の通信設備を借り、独自の付加価値を加えて通信事業を行なっているIIJのようなMVNO(仮想移動体通信事業者)が存在します。MVNOは、低容量から大容量まで幅広いユーザ層の要望に応える独自の料金プランを用意したり、MVNOが有するネットワーク基盤と連携した閉域網やSIMカードを用いた認証機能などセキュアな通信サービスを提供しています。

MNOとMVNOのおもな違いは、通信を実現するために必要な設備のうち、無線基地局と電波・周波数を保有しているか否かという点です。電波・周波数は地球上の限られた資源であり、無限に存在するものではありません。さらには、「プラチナバンド」と呼ばれる800MHz帯の低周波数帯と、4Gや5Gで使われる2.1GHz帯から4.5GHz帯の高周波の周波数帯では、利用者一人が使える帯域も異なるため、MNOは総務省から割り当てられた周波数を、電波の特性に応じて場所や環境に合わせて使い分け、利用者が快適に通信を行なえるよう通信環境を整備しています。

周波数帯別 電波の到達距離(イメージ)

マクロセル方式からマイクロセル方式へ

2010年代前半、スマートフォンが普及し始めた頃、「パケ詰まり」という言葉が世の中に広まりました。皆さんも動画再生中に画面が固まってしまう経験をしたことがあると思いますが、これはスマートフォンの普及にともない、SNS、動画、ゲームといった比較的データ容量の大きいコンテンツがモバイル環境で使われるようになったことが一因です。

一つの周波数帯で同時に通信できるキャパシティは限られており、当時は基地局の整備状況や通信技術が利用者の増加に追いついていませんでした。限られた電波を有効に使うために携帯キャリアは、一つの基地局でより広範囲かつ多くの利用者をカバーできるマクロセル方式から、小さい範囲に多くの基地局を設置して一つの基地局が受け持つ利用者を少なくするマイクロセル方式の基地局展開へとシフトしていきました。これにより、街中で無線基地局のアンテナを見かけることが多くなったわけですが、単に基地局を増やすだけでなく、人が混み合う地域では、アンテナや通信設備を小型化し、設置場所として電柱を利用した「ピコセル」と呼ばれる基地局を開設して、電波干渉が生じないよう緻密なエリア設計も合わせて行なっています。

無線技術に関しては、スマートフォンが登場した当初から利用されていた3G方式から、LTEと呼ばれる4G方式に切り替わり一つの周波数帯における通信容量が増加したことや、基地局の増設、無線通信の技術革新などによって「パケ詰まり」は徐々に解消されていきました。

マクロセル方式とマイクロセル方式

POIの役割

MVNO利用者が通信を行なう際、必ず通る設備にPOI(Point Of Interface)があります。固定通信ではNTT東日本/NTT西日本が提供するフレッツサービスのように、通信局舎と個人宅などインターネットを利用する場所をつなぐ区間を「ラストワンマイル」と呼びますが、モバイル通信においては、MNOが有する基地局とスマートフォンがつながる無線区間がラストワンマイルに相当します。

MVNOはMNOからラストワンマイルと必要な設備を借り、MVNO設備を経由してインターネットへのコネクティビティを提供しています。このMNO設備とMVNO設備の接続点がPOIです。

POIは日本全国にある設備ではありません。IIJの場合、東京と大阪にPOIを設置しています。POIを二箇所設置する理由としては、トラフィックの東西分散化と冗長性の確保が大きな要因として挙げられます。

スマートフォンの通信が基地局などMNO設備を経由してMVNO設備へ接続されるのがPOIですが、IIJ のPOIは東西2箇所であるため、北海道から通信する場合、いったん東京または大阪を経由し、沖縄から通信する場合も東京または大阪を経由します。接続先POIは地理的に利用者に近い場所ではなく、東西POIの混雑状況によって、最適な接続先を選択しています。万が一、災害により東京のPOIが使用できない状況に陥った時は、大阪のPOIを経由させることで通信環境を継続的に提供します。

スマートフォンの通信環境が混雑する要因として、電波・基地局の混雑に加えて、MNOとの接続点であるPOIの混雑も通信速度が変動する要因の一つになっています。MVNOはPOIをはじめとするインターネット接続に不可欠な設備を日々整備して、利用者が快適に通信できるよう努めています。

MNO~POI~IIJのインフラ~インターネットにつながるスマホの通信

スマートフォンがもたらす新しいインターネットのカタチ

スマートフォンが普及した現在、インターネットのカタチが大きく変化しています。これまで動画配信と言えば、HuluやNetflixなどのVODサービスで映画、ドラマ、アニメなどを視聴することが比較的多かったと思います。それが昨今では、著名人ではない一般ユーザがInstagramやYouTubeを用いてライブ配信を行なったり、テレビ番組のインターネット同時配信により、時間や場所に縛られないリアルタイムな動画視聴の機会が増えるなど、新たな鑑賞スタイルが注目されています。

このようなリアルタイムな動画視聴を実現するうえで重要な通信設備にCDNがあります。インターネットを介してスマートフォンでどこかのサーバにアクセスする際、サーバのロケーションが近ければ近いほど、低遅延な通信になります。ライブ配信によるリアルタイムな動画視聴では、どこか一箇所に集中的に設置されたサーバにアクセスするより、CDNによって利用者に近いロケーションに設置されたサーバへアクセスするほうが、タイムラグの少ない快適な動画配信が実現されます。近年は動画配信だけでなく、利用者が多い人気のWEBサイトやECサイトでも、利用者のロケーションにより近いサーバと通信を行なえるようCDNが活用されています。

2020年に提供が始まった5Gは、超高速・低遅延・多数同時接続を特長としています。5Gにより、一つの基地局で同時に接続可能なスマートフォンの台数が増えることに加え、スマートフォンがインターネットを介して通信していたサーバを、より利用者に近い場所で運用する「エッジコンピューティング」が今後数年で拡大すると予想されます。これにより、低遅延が求められるクラウド・ゲーミングサービスなど、従来はモバイル環境では実現がむずかしかったサービスをスマートフォンでも気軽に楽しめるようになると期待されています。

用語解説
POI(Point Of Interface)
通信事業者の回線網同士の相互接続ポイントで、大手通信事業者の局舎などにあり、各社の責任分界点でもあります。POI は全ての電話局などの施設にあるわけではなく、事業者の指定した大規模な中継施設に設置されます。POI には、回線網を所有する大手事業者間の接続点だけでなく、エンドユーザへのアクセス回線を所有する大手事業者(例えば、NTT 東日本やKDDI)と、その回線網を経由して通信サービスを提供する事業者(IIJのようなISP)のあいだの接続点などもあります。
CDN
「Content Delivery Network」(コンテンツ配信ネットワーク)の略。オリジナルのWEBサーバの代わりに、エンドユーザにもっとも近い経路にあるキャッシュサーバからコンテンツを配信する仕組みで、ネットワークの負荷を軽減しつつ、より高速にコンテンツを配信できます。世界中のエンドユーザにコンテンツを配信できるようサポートするベンダは CDN 事業者と呼ばれ、Cloudflare(クラウドフレア)やAkamai(アカマイ)が有名です。IIJのグループ会社にも、放送事業者や動画配信事業者向けに高品質なCDNサービスを提供するJOCDNがあります。

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