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“熱闘の夏”を
どこでもリアルタイムで!
「バーチャル高校野球」
ライブ動画配信の裏側

今年も日本の夏の風物詩ともいえる、高校野球の季節がやってきましたね。毎年高校球児たちの活躍を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。

今回紹介する「バーチャル高校野球」は、朝日新聞社と朝日放送テレビが共同で運営する夏の高校野球の総合情報サイト(無料)。北海道から沖縄まで 全9地区の抽選会と地方大会、そして全国大会をライブ中継するほか、各地方大会ページでイニング速報なども行っています。

本日は(株)インターネットイニシアティブ(以下「IIJ」)ネットワーククラウド本部の柄沢さんに、「バーチャル高校野球」におけるIIJの技術サポートの裏側についてお聞きしました。

地方大会、全国大会あわせて約930試合を配信!
各球場と視聴者をつなぐIIJのネットワーク

IIJでは、「バーチャル高校野球」のサービスの中で、どの部分を担っているのですか?

(柄沢さん:以下略)IIJでは、「バーチャル高校野球」のメインコンテンツともいえる、試合動画のリアルタイム配信を担当しています。

全国高校野球選手権(地方大会)ネット配信概要図

まず、各都道府県の放送局で撮影された生中継映像が「ライブエンコーダー」という装置を通じてインターネットで送信可能なフォーマットに変換され(IP変換)、IIJのネットワークに送られます。IIJでは、そのデータを「トランスコーダー」という装置でパソコンやスマホなど、さまざまな機器に最適なフォーマットに変換し、配信サーバを通じて、視聴者の皆さんにお届けしています。

放送局から送られてきた映像と、高校野球ファンの間をつなぐ役割をしているんですね。今年は何試合くらいをライブ配信するんですか?

2019年は、過去最大となる約930試合を配信予定です。

930試合!年間のプロ野球の全試合よりも多いのではないでしょうか…。

IIJでは、高校野球のライブ配信に、2011年から技術協力してきました。

  • 2011年 全国大会(甲子園)での準々決勝以降の7試合配信を開始
  • 2012年 全国大会の全試合配信を開始
  • 2015年 地方大会配信を開始
  • 2019年 各都道府県の抽選会配信を開始

と、今年は夏の高校野球のほぼすべてのシーンを、IIJのネットワークを通じて皆さまにお届けできることになりました。

地方大会のライブ映像が遠く離れた場所からスマホで見られるなんて、少し前なら考えられなかったですよね。
この10年足らずで、映像の視聴方法が大きく変わったのがわかります。

沖縄大会の抽選会に密着!?ライブ動画配信の現場とは

先ほど約930という試合数が話に出ましたが、それほど大量の生中継の映像をトラブルなく配信するというのは、簡単なことではないですよね。

この3年間で地方大会の配信が増えたこともあり、配信事務局でのスケジュール管理や、試合の進捗にあわせて関係各社がスムーズに連携できるように調整するのはけっこう大変ですね。昨年は25試合同時に配信を行ったこともありました。

地方予選が佳境に入ってくると、同時配信の数が増えていくわけですね。ところで、現地からの映像はどのようにIIJに送られるのでしょうか?

各地の放送局様には映像をライブ配信のためのフォーマットに変換してもらいます。局によって機材や環境が少しずつ違うため、配信前のテスト期間で入念に準備を行い、確実にライブ配信ができるようにきめ細かくチェックを行います。
特に過去にトラブルがあった機材などについては事前に詳細なマニュアルを用意するなど、万全を期しています。

IIJでの作業はどのようなものなのでしょう?

実はちょうど今日、全国に先駆けて沖縄大会の抽選会が始まるんです。配信の現場を見てみますか?

ぜひお願いします!

試合開始1時間~2時間前には、球場から映像が入ってきます。IIJで映像を確認後、関係各社と連携してWebサイトへ映像への導線を開く、試合が終わればその導線を閉める、といった一連の流れもIIJが主体となって行っています。ここで、連絡漏れなどがあると、Webサイト運営のトラブルにつながりますので、気を抜けないポイントです。

全国から映像が集まり、インターネットを通じて世界に配信される高校野球のライブ配信が、ここで運用されているわけですね。

間もなく沖縄大会の抽選会配信がスタートします。ぜひスマホでチェックしてみてください。

あ!高校生たちがトーナメント表の前に集まっているのが見えます。高校球児たちの真剣な表情を見ると、「いよいよ始まるんだな」って熱気が伝わってきます。ライブ映像ってやっぱり心を動かされますね。

今日の配信は屋内ですが、実際の試合になると、スケジュールは試合展開や天候にも左右されます。雨で中止順延されると、試合は翌日に振り替えられますから、その後のスケジュール管理を全て見直すというケースも珍しくありません。全ての試合をチェックしておくことは難しいのですが、全国の雨雲レーダーを見て、「どの地方の試合で雨が降りそう」といった状況を確認して、スムーズな対応ができるようにしています。

配信環境を用意して終わり。ではなく、試合状況や天候を見ながら、フレキシブルかつ迅速に対応するのもIIJの仕事なんですね。

今年は現地から送られる映像の品質を、従来の2Mbpsから2.5Mbpsに改善しています。よりクリアな映像をお楽しみいただけますので、そのあたりも注目していただけたらと思います。

50万ユーザーが同時接続
大規模トラフィックを支えるIIJのバックボーン・ネットワーク

今年もいよいよ高校球児たちの熱い戦いが始まるわけですが、「バーチャル高校野球」経由で試合を観戦される方々は、どのくらいいらっしゃるんですか?

2018年はピークで同時50万接続以上の視聴がありました。これは決勝戦の金足農業vs大阪桐蔭での数字です。甲子園球場の収容人数は約47,000人ですから、そのおよそ11倍の方が同時にご覧になっていたことになります。

50万人の熱い視線が、ネットを通じて甲子園に注いでいたんですね。そうなると、IIJのネットワークを行き交うデータも、ものすごい量になりそうですが…。

50万接続時には、550Gbpsというトラフィック(転送データ帯域)を記録しました。2012年の決勝戦では30Gbpsだったことを考えると、6年間で18倍にも増えているんですね。
当時はPC端末がメインでしたが、スマホなどのモバイル端末が急増したことも、トラフィック増加の一因です。また、モバイル環境では、とくに移動中など、通信状態が一定に保てないことが想定されるため、複数の品質(ビットレート)の映像を用意し、高画質であったり、少し粗い画質であったりと、視聴環境に合わせてデバイスが映像を自動選択できるような仕組みも必要になってきました。

そのような工夫があるからこそ、年々増え続けるスマホ視聴などのニーズに対応できるんですね。

IIJは、国内外にあるNOC(ネットワークオペレーションセンター)間を大容量の高速デジタル回線で接続した、高品質な自前の「バックボーン・ネットワーク」をもっています。このバックボーン・ネットワークを活かすことで大規模な映像データを安定的に配信でき、さらに配信データが混雑しないよう、他社ISPとのネットワーク接続設計・トラフィック調整も行っています。

ところで、トラフィックはどのような時に増えるのですか?

先ほどもご紹介したように、やはりトラフィックが増えるのは、全国大会(甲子園)の決勝戦ですね。550Gbpsというトラフィックも、2018年の決勝戦で記録したものです。
最近は地方大会でどれだけトラフィックが出るのかを楽しみにしています。地方大会の決勝戦の日はトラフィックが多く、盛り上がりが伝わってきます。印象に残っているのは、2017年の清宮幸太郎選手の時でしょうか。地方大会にもかかわらず、その日のトラフィックは200Gbpsを超えたと記憶しています。

トラフィックには直接現れないかもしれませんが、遠く離れた地元の高校生たちの躍動する姿が、手元のスマホで見られることには、本当に感動します。自分の母校だとしたらなおさらですよね。
高校野球のライブ配信は、故郷への思いや、家族の絆もつないでいるんですね。
本日はありがとうございました。

バーチャル高校野球とは

バーチャル高校野球は、株式会社 朝日新聞社と朝日放送テレビ株式会社が共同で運営する高校野球の総合情報サイトです。2018年より運動通信社が運営するインターネットスポーツメディア「スポーツブル」上で展開をしています。地方大会から甲子園の決勝まで、動画中継や試合速報に加え、都道府県別のニュースや写真特集など、高校野球に関する様々な情報を掲載しています。IIJでは、2011年より夏の高校野球のインターネット配信にCDN(Content Delivery Network)サービスを提供しており、2015年からはバーチャル高校野球の配信インフラをサポートしています。昨年は、本大会55試合および一部地方大会の694試合、合計749試合のライブ配信を行い、本大会の決勝戦では同時接続数約50万ユーザ、最大550Gbpsの高トラフィックを記録しました。


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