Global Reachグローバル展開する企業を支援

MENU

コラム|Column

IIJ が実現するシンガポールのクラウド

2014/02

日本企業の東南アジアへの進出が加速している。そこで IIJ では、同地域でビジネスを展開する日系企業に最適な IT ソリューションを提供するために、アジアのハブであるシンガポールにおいて IIJ GIO Singaporeサービスを開始する。

生産拠点を設けるための進出、新規マーケット開拓のための進出、あるいはチャイナ+ 1 としての進出など、成長を続ける東南アジア諸国はそれぞれに魅力があり、ビジネスの高いポテンシャルを備えていて、いつの間にか数ヵ国に拠点を持っていたということが少なくありません。

こうした複数の国における事業展開を支えるため、各国に IT 設備を構築する場合、重複して構築コストがかかるだけでなく、日々運用していくためのサポート要員の確保や諸作業が設備ごとに発生します。さらに言語・通貨・慣習・人材レベルが異なる国々でシステムを構築するとなると、構成や設定、運用ルールなどの標準化がむずかしく、場合によっては担当者の知識・経験に依拠してしまうブラックボックス化が進んだり、情報流出などセキュリティ事故が発生するリスクも高まります。

そこで、単独の総括拠点を設け共通の設備を配備し、そこに IT 系のシステムを集約すれば、一括管理によってコストを抑えると同時に、運用基盤の共通化・明確化によりIT ガバナンスを確立し、情報漏えいなどに対するセキュリティも強化できます。

シンガポールの特長

シンガポールは、1.地理的に東南アジアの中心に位置し、周辺国へのアクセスが容易で、2.高速インターネット網、安定した電力インフラ、安定した国政など、ビジネスインフラが発達しており、3.税制面での複数の優遇措置があり、4.高い教育レベルとビジネス言語として英語が重視されている…といった様々な要因から、アジアでの統括拠点の役割を担ってきました。さらにシンガポールは世界のデータ・ハブになることを目指して、データがシンガポールへ集約されるよう、国家がいち早く個人情報保護法を制定するなど、IT の拠点として最適な条件が揃っています。

クラウド活用のメリット

グローバル化が進み環境・市況の変化が加速するなか、海外でのビジネス展開に際しては、必要なときに必要なぶんだけリソースを投入できる、柔軟かつ身軽な体制を作っておくことが重要です。

市場へのエントリーは、業務立ち上げのスピードが事業の成否を決める大きな要因となる一方、マーケット環境の急変に際しては、迅速な撤退も想定しておく必要があります。こうした柔軟性の確保には、ビジネスのスケールに応じて必要なリソースのタイムリーな投入を可能にするクラウドサービスの利用が最適です。

ちなみに、シンガポールではオフィスの賃料が高騰しており、スタッフの増減などによる引っ越しが頻発します。そのようなときも、IT システムや情報資産をクラウドに集約しておけば、事業への影響や負担を軽減できます。

また災害対策の観点からも、シンガポールは活断層から離れているため、アジア域内においては自然災害のリスクが低く、日本国内の IT システムのディザスタリカバリ対策やバックアップサイトとしても活用可能です。

IIJ GIO Singapore サービスの概要

2014 年3 月に提供を開始する IIJ GIO Singaporeサービスは、日本の No.1 クラウド「IIJ GIO」の技術やノウハウを活かした、高品質なクラウドサービスです。豊富なサーバラインナップとアドオンサービスを組み合わせることで、最適なシステムをクラウド上に実現できます。

サーバは、仮想化タイプ(V シリーズ)、専有タイプ(Xシリーズ)、そして国外では初めて VMware 仮想化基盤(VW シリーズ)を提供します。

Vシリーズは、システム規模や用途に合わせて CPUとメモリを選択し、システムの拡張・縮小時にサーバグレードのアップダウンやスケールアウトが可能で、Web サーバやアプリケーションサーバとして活用できます。Xシリーズは、物理的に独立したサーバリソースを提供するために、高速なディスクI / O を必要とするアプリケーションサーバやデータベースサーバに適しています。VWシリーズは、ESXi がインストールされた占有サーバ、データストア、および vCenter を含む vSphere 環境の管理者権限を提供します。こうしたラインナップにより、従来はオンプレミス環境でなければ構築できなかったシステムを、アセットレスで迅速に実現できます。

そのほか、サーバと組み合わせて多様なシステム構成を実現するためのアドオンとして、インターネット接続、ファイアウォール、ロードバランサ、プライベート接続を提供します。

インターネット接続は IIJ の大容量バックボーンに直結し、ファイアウォール/ロードバランサは仮想化アプライアンスによるサービス提供で、ニーズに合ったネットワーク構成を実現します。また、IIJ はクラウドサービスの展開に先駆けて、シンガポールにデータセンターを開設しており、IIJ GIO Singapore サービスのプライベート接続機能を利用すれば、このデータセンターに設置したお客さまの機器と接続して、クラウドとオンプレミスのハイブリッド利用が可能になります。さらに、同データセンターに閉域網ネットワークを引き込むことで、お客さまの拠点とIIJ GIO Singapore サービスを専用線で接続して、プライベートクラウドとしても利用できます。もちろん、インターネット VPN 接続の終端を IIJ GIO Singapore サービス設備の仮想環境上に設置する、インターネット VPN 接続をオプションで利用することもできます。

クラウド上に構築したシステムの監視は、SaaS 型のエージェントレス監視システムを活用することで、安価かつ早期に導入できます。運用についても豊富なシステム運用の経験を持つ IIJ と、シンガポールの現地法人(IIJ Global Solutions Singapore Pte. Ltd) との連携により、シームレスで強固なサポート体制を築いています。

以上のような特長を備えた IIJ GIO Singapore サービスを活用することで、思い通りのシステムを資産を持つことなく利用し、監視・運用を含めてトータルにアウトソースできます。

IIJ バックボーンの国際展開

IIJ はバックボーンの国際展開を推進することで、世界各国からの到達性の向上に努めています。2013 年4 月には日本とアメリカからバックボーン回線をイギリスに延伸して世界一周を実現しましたが、今後はシンガポールにも2 経路でバックボーンを延伸し、日本とアジア地域との接続性をさらに向上させる予定です。

一般的にシンガポールから日本へのアクセスはストレスフリーですが、他のアジア地域から日本へのアクセスはまだ十分とは言えません。一方、アジア地域からシンガポールへのアクセスにはさほどストレスを感じないため、アジア圏向けの IT システムは IIJ GIO Singapore サービスへ集約して、日本〜シンガポール間の良好なアクセスを確保・活用することで、アジア諸国のユーザもストレスフリーのネットワーク環境を利用できます。

IIJ グローバル事業本部 大導寺 牧子

本記事は、弊社広報誌のVol.120 (2014年2月発行)に掲載されています。
Technical Now: IIJ GIO Singapore サービス
IIJ グローバル事業本部 グローバル統括部 大導寺 牧子
https://www.iij.ad.jp/news/iijnews/2014/pdf/vol120.pdf