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長生村 様 長生村 様

自治体がMCAアドバンスの代替で「IIJ公共安全モバイルサービス」を選択
使い勝手の向上やコスト削減を実現し災害時のみならず平時でも活用

導入前の課題

災害時はいつでも・どこでも繋がり誰にでも使いやすい通信手段が不可欠

貴村は「長生村地域防災計画」や「長生村地域防災力向上計画」をベースに防災体制の一層の充実と地域防災力の向上を図っています。

河野氏:

当村は南北に海岸線が続く九十九里浜の南端に位置し、地形は平坦で、南側を一宮川、中央を内谷川が流れ、村内全域に浸水区域が広がっています。また、南海トラフ特措法及び日本千島海溝特措法による津波の対策推進地域に指定されている状況にあります。こうした想定される大規模災害から住民の生命を守るためには、デマや噂でパニックが起き避難が遅れることを防ぐ情報伝達体制の強化が重要です。
特に長生村地域防災力向上計画においては、自助・共助の取り組みや災害対応のデジタル化を促進するとともに、地域防災力の向上を図るため、2025年度に「千葉県地域防災力充実・強化補助金」を活用して通信ネットワークの再構築を進めてきました。

河野 真治 氏
長生村役場 総務課
消防防災係
主査(消防防災係長事務取扱)
河野 真治 氏

その上で、災害発生から復旧復興の過程における“通信手段のあるべき姿”についての考えをお聞かせください。

河野氏:

災害時の通信手段には次の2点を必須の要件と考えています。1つは、いつでも・どこでも遅滞なく繋がること。もう1つは、専門スキルが不要で、誰にでも使いやすいことです。有事の際は村役場の全職員が災害対応に当たります。活動の範囲や内容も多岐にわたることから、被災現場や村民の避難所で活動する職員が、いつでも役場内の災害対策本部と連絡が取れ、誰でも負担なく運用できることが非常に重要です。

田邉氏:

また、電話では1対1のコミュニケーションになり、伝えられる情報に限界があります。有事の際には地図情報や画像、テキストが情報共有に有効な場合も多くありますし、データ通信であれば1対1に限らず大勢へ同時に情報を発信することも可能です。データが扱えれば情報がより正確かつ多様になるため、災害時にこそデータ通信がつながりやすい環境を構築できるサービスが必要だと感じていました。

田邉 寛人 氏
長生村役場 総務課
消防防災係
主任主事
田邉 寛人 氏

これまではどのような手法を用いていて、それにどんな課題や問題点があったのでしょうか。

河野氏:

以前は、2021年度に導入した業務用無線サービスのMCAアドバンスを、平時と災害発生時両用の無線として運用していました。端末は総務課に7台、現場担当課に7台、各避難所に6台の合計20台を配備し、風水害などが発生した際には現場に急行する職員が携行するほか、平時は村が主催するイベントでも職員間の連絡などに使用していました。しかし、インターネットや外部との通信に対応していないため、平時の利活用には制限がある上に、UI(ユーザインタフェース)の使い勝手が悪く、使いこなすのに慣れが必要なこと、各種コストが高額であることなどが課題でした。また、MCAアドバンスは2027年3月にサービス終了が予定されているため、急ぎ代替手段を探す必要も生じていました。

選定の決め手

設備混雑や通信集中の影響を受けにくい「公共安全モバイルシステム」に注目

そうした背景がある中で、どのような代替手段を検討されたのでしょうか。

河野氏:

総務省が提唱する「公共安全モバイルシステム」には、「公共安全LTE」構想の段階から注目していました。デジタルMCAやMCAアドバンスが災害時を想定したサービスだとはいえ、MCA通信網内でしか無線を使うことができないのは大きな弱点といえます。それを解消する仕組みが国主導で環境構築されるのならば、有力な代替候補になりえるし、通信手段の更改を各部局に提案する上でも非常に有効だと考えていました。
IP無線機もいくつか検討しましたが、多くは携帯電話の通信網を使っているため、それが災害時には弱みになる可能性もあるとの判断もありました。その点を補完して、災害時の設備側混雑や通信集中による影響を受けにくいなどの強みを持った情報通信手段のひとつが「公共安全モバイルシステム」でした。

貴村は2025年8月に公共機関専用「IIJ公共安全モバイルサービス」を導入されましたが、調達過程における検討の要件や注目された機能などについてお聞かせください。

田邉氏:

「公共安全モバイルシステム」に完全準拠したサービスが2024年4月にIIJから提供開始されることをプレスリリースなどで知り、私たちはすぐに調査を開始しました。ポイントはMCAアドバンスの弱点を解消することにあったため、主に次の3点を確認しました。
第1に、アプリケーションや端末の選択自由度が高く、使い勝手が良いこと。
第2に、外部との連絡が取れるとともに、平時の利活用を見据えて一般的なスマートフォンとしても利用できること。
第3に、導入及び運用コストが比較的安価であること。
これらの条件を、2024年11月から2025年7月までの検証期間にIIJへ詳細にヒアリングし、全ての要件を満たす仕様にて導入できると確認したことで、役場の関係部会に更新を提案しました。

河野氏:

「IIJ公共安全モバイルサービス」以外にも有力候補は存在しました。ともにスマートフォン上で運用するアプリの機能に遜色はなく、料金プランも柔軟でしたが、最終的な決定は、総務省が進めてきた公共安全モバイルシステムに準拠する「IIJ公共安全モバイルサービス」が、信頼性やサービス継続の面で適切であるという判断でした。また、IIJは私たちの度重なる問い合わせや質問にもよく対応し、検討開始から途切れることなくサポートいただけたことも導入後の安心材料として考慮しました。

一方で、職員用フィーチャーフォンの置き換えも検討されました。

田邉氏:

フィーチャーフォンは各課の業務用携帯電話として配備していました。課ごとに用途は様々ですが、基本的には福祉の包括支援や税の徴収など、庁舎外で活動する職員が課と連絡するために使用します。しかし、通話に偏った料金プランで運用コストが割高になっていたほか、スマートフォンに比べて機能や拡張性に限界があったため、「IIJ公共安全モバイルサービス」への更新も同時に検討することになったのです。
料金プランを見直せば運用コストが抑えられる上に、機能が拡大することで使い勝手も改善します。職員が日常的に活用していけば、災害発生時も使い慣れた端末をそのまま非常用無線機として運用できるメリットもあります。そうした分析から、MCAアドバンスの置き換え分20台に加え、フィーチャーフォンの更新分として10台の追加導入を申請し、必要な職員に配布することを決めました。

長生村地域防災力向上計画では「千葉県地域防災力充実・強化補助金」を活用して通信ネットワークの再構築を進められましたが、補助金の有効性についてお考えをお聞かせください。

河野氏:

これは千葉県が市町村の防災力向上を目的として、令和5~7年度に実施した短期の補助事業で、補助率は2分の1となります。その中の「災害対応に係るデジタル技術の導入」の活用を申請したところ、1)災害対策本部の情報管理体制の一元化と、2)災害対応現場から音声、映像、文字等の複数メディアによる伝達、共有が可能となることが災害対応力の向上につながるという評価を受け採択されました。
当村は財政難が続く自治体のため、単独予算支出での新規事業は難しく、100%ではなくても補助や財源は必要でした。防災に関しては国も地方創生の新しい地方経済・生活環境創生交付金の支援メニューの中に地域防災緊急整備型を創設していますが、それ以前から千葉県は継続的に地域防災力補助を行っており、県にも事前に相談はしていました。

長生村様の利用イメージ

導入後の運用

平時は業務用スマートフォンとして活用し有事は災害対策本部や避難所に配備

2025年11月から「IIJ公共安全モバイルサービス」の本格運用を開始されました。現在の活用状況や具体的な運用方法についてお聞かせください。

田邉氏:

総務課内に10台、その他各課・施設に数台ずつ配備しています。平時は配備先の業務用スマートフォンや、各種イベント時のIP無線機として利用しています。災害発生時は、基本的に災害対策本部の各班長及び避難所に配備する予定で、小・中学校、福祉・保健センターなどには端末のマニュアルも兼ねた専用の緊急連絡先名簿も配置しています。運用方法は部局によって異なります。例えば、福祉課の包括支援センターでは保健師や看護師など村民から相談を受ける専門職員が多く、土日も相談業務を行う場合があるため1人1台の保有となります。一方で、まちづくり課や産業課などの事業系の部局では、災害時に道路の冠水や強風による倒木などの連絡があれば即座に対応する必要があるため、課に数台配備しておき、現場に出動する担当者が端末を携行するようにしています。また、避難所に指定されている小・中学校では、教頭先生が渉外担当を兼務される場合が多いため、教頭先生に平時から所持いただき、災害時に学校が避難所となる際は教頭先生に連絡窓口になっていただくようにしています。

既にご利用いただいている方からの評価はいかがでしょうか。

河野氏:

運用開始後、幸いにも災害対応での活用は行われていませんが、毎年秋に尼ケ台総合公園で行われる村最大のイベント「ながいきフェスタ」や年始の賀詞交歓会、選挙などで実際に使用したところ、使いやすく便利だという声が多く聞かれました。

田邉氏:

以前のMCAアドバンス端末は、通信網構築にあたり通話ボタンを押して着信があるとつながるという方法で、最初の一言目が聞き取れない、通信が長時間継続できない、誤発信があるといった悩みがありました。「IIJ公共安全モバイルサービス」を運用開始した現在は、長時間安定して通話ができるようになったほか、音声も聞き取りやすくなりました。端末本体をポケットに入れたままイヤホンマイクで運用してもコミュニケーションがスムーズにできるため、現場で両手が使えて便利になったという声や、文字起こし機能により仮に音声が聞き取れなかった場合でもチャットのテキストを確認できるのはとても便利だという声もあります。
今後はスマートフォンであることを活かし、村の公式SNSの運用に「IIJ公共安全モバイルサービス」を活用するアイデアも出ており、可能性は広がりを見せています。

災害に強い社会の実現に向け、「IIJ公共安全モバイルサービス」のような通信の信頼性・冗長性を高めるシステムの重要性についてどのようにお考えかご意見をお聞かせください。

河野氏:

今後国内で起きると想定される未曽有の災害に対応する手段として、なくてはならないものになると考えています。自治体へのさらなる普及・拡大のためには、他のIP無線機と比べて秀でている業務用通信サービスであることを分かりやすく示していくことが重要です。当村も総務省ホームページの「公共安全モバイルシステム」のモデル事例集を見て導入に踏み切れた側面もあるため、さらに多くの事例を紹介いただくことが大切ではないかと思います。

導入したサービス・ソリューション

お客様プロフィール

長生村
所在地:千葉県長生郡長生村本郷1-77
設立:1953年11月3日
1953年11月3日に八積村、高根村、一松村の3村が合併して誕生した、千葉県内で唯一の村。千葉県房総半島九十九里浜に面し、28.25平方キロメートルの村域に人口13,065人(2026年2月1日現在)を抱える。比較的山が少なく平坦な上に、黒潮の影響を受け年間を通して温暖で過ごしやすい気候が特徴で、人口減少傾向にある長生郡の中で最も人口が多く安定した規模を維持している。令和7年度に県内唯一となる「地方創生伴走支援制度」(国の職員が中小規模自治体の地方創生を支援する制度)の対象自治体に選ばれ、実効性のある地方創生(地方創生2.0)の実現を目指している。

長生村

※ 本記事は2026年2月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

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