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ユビ電株式会社 様 ユビ電株式会社

急成長するEV向け充電サービスにIIJのSIMが採用
保守・運用負荷低減と信頼性維持に貢献しコストを抑えたサービス提供を実現

IoT技術を活用したEV(電気自動車)向けの充電サービス「WeCharge」を展開するユビ電株式会社(以下、ユビ電)は、駐車場に設置される数多くの充電スポット(専用コンセント)を管理するインターネットゲートウェイ(以下、ゲートウェイ)がクラウドサービスにアクセスするための手段にLTEを選択し、サービスの必要条件を総合的に満たしていた「IIJモバイルサービス/タイプI パケットシェアC」(以下、IIJモバイルタイプI)を採用した。IIJは、ユビ電の保守・運用負荷を低減するとともに、パケットシェアでコストを抑えたサービス提供や、SIMライフサイクル管理による利用料金の低減を実現し、同社のビジネスを強力に支援している。

導入前の課題

専用線の敷設が難しいゲートウェイとクラウドの間はLTE網を利用

貴社が提供するEV向け充電サービス「WeCharge」の概要と、開発目的、独自性・業界での強みなどについてご紹介ください。

山口氏

WeChargeは、弊社と提携する充電スポットにおける充電を主体としたEV充電特化型IoTサービスです。具体的には、充電スポットに掲示されたQRコードをスマートフォンで読み取ると充電が開始され、使った充電サービス料は登録したクレジットカードで簡単にお支払いいただける仕組みです。主にマンションなど集合住宅の居住者向けEV・PHEV充電サービスとして、敷地内の駐車場の全車室にWeChargeスマートコンセントを設置するスタイルでの導入を提案しています。受益者負担の観点から、EV利用者(電気を使った人)に課金をし、マンション管理組合や賃貸オーナーなどの施設側(電気を使わせてたあげた人)に返戻する仕組みと、比較的安価な充電スポット(コンセントのある車室)を多数設置し、駐車したら必ず電気にアクセスでき、かつ施設としては電力負荷を抑えながら電力消費のピークをコントロールするソリューションが他社にない独自性や強みとなっています。既に、大手デベロッパーの新築マンションにも採用が決定しました。
また、これからEV社会が加速することを想定し、自宅マンションだけではなく、外出先の商業施設や公共施設などにもWeChargeの充電スポットを拡大して、どこでも充電ができるようにすることを目標としています。その一例として、2022年7月に、多数の社用車・公用車を保有している法人・公的機関に向けて、WeChargeの機能拡充を行った法人向け充電サービスの「WeCharge for Business」と、公的機関向けの「WeCharge for Gov」を提供開始しました。法人や公的機関の事業活動におけるカーボンニュートラルの実現に向けた具体策を提案していくことで、さらなる利用拡大を進めているところです。

ユビ電株式会社
CEO & Co-founder
山口 典男 氏

WeCharge開発時の特に通信機能について、なぜ無線を必要としたのか、どのような課題があったのかをお聞かせください。

山口氏

WeChargeのサービスでは、充電スポット群の電力計測と充電制御を行うため、課金運用デマンドコントローラーとしての役割を担うゲートウェイを用い、充電スポットの近傍に設置した分電盤内に配置しています。1台のゲートウェイで充電スポットを数台~数十台まで管理し、それらは有線で接続されています。一方、ゲートウェイはモバイル通信でインターネットを経由してAWS上の弊社クラウドサービスにアクセスしています。現在のところは充電スポットを開閉するブレークポイント管理がメインですが、機能的にはゲートウェイや充電スポットの死活監視、電力量・電流・電圧の監視などの分析も可能なアーキテクチャです。
従来は専用線で接続していたゲートウェイとクラウドの間の通信ですが、最近はセキュアでかつ私どもの利用形態ですとコストが安いLTE網を利用することにしました。

ユビ電株式会社
CTO
池田 仁司 氏

池田氏

ゲートウェイ用のSIMを選ぶ上で、いくつか条件がありました。1つ目は、サービスエリアのカバー率が高く、安定した通信が可能なこと。WeChargeは地下駐車場や地方の山間部などにも展開するため、モバイル通信に厳しい場所や状況でも安定したサービスの提供と維持が求められます。2つ目は、ゲートウェイに適したSIMであること。ゲートウェイは高温多湿な炎天下や氷点下にもなる屋外駐車場の分電盤内に設置されるため、汎用的なゲートウェイの中でも特に耐環境性に優れた製品を選定しました。そのゲートウェイと相性が良く、信頼性の高いSIMを選ぶ必要がありました。3つ目は、拡張性の高いモバイルサービスであること。将来的にWeChargeのゲートウェイはセキュリティの高い閉域網を活用するとともに、適正なコストでウェルマネージドな(管理の行き届いた)IoT化も視野に入れています。現在用いているNAT(パブリックなインターネットとプライベートなLANの間のパケット転送)からパブリックなインターネットとの接点を持たない閉域網への移行が容易で、IoTプラットフォームとしてのマネジメントが可能な柔軟性の高いモバイルサービスであることが必要でした。

選定の決め手

WeChargeの必要条件を総合的に満たしていたIIJのSIMを採用

IIJモバイルタイプIを選定した理由についてお聞かせください。

池田氏

IIJモバイルタイプIは、WeChargeが必要としていた条件を総合的に満たしていました。1つ目のサービスエリアのカバー率については、IIJモバイルタイプIがNTTドコモのネットワークを活用しているので、サービスエリアの広さ、カバー率の高さは非常に魅力的でした。電波の届きにくい地下駐車場においても、ゲートウェイの外部アンテナを工夫することでつながりやすさを確保できる確率が最も高いと考えました。
2つ目のゲートウェイに適したSIMについては、その汎用ゲートウェイの推奨SIMがIIJモバイルサービスであり、相性の良さと安定性は実績で保証されていました。また、弊社でも試験運用してみたところ、IIJモバイルタイプIが最も安定して接続でき、コマンド1つでつながる使い勝手の良さも際立っていました。
3つ目の拡張性の高いモバイルサービスについてですが、IIJからはIIJモバイルタイプI以外にも、IIJのネットワークサービスやクラウドサービスと相互に接続する閉域ネットワーク「IIJプライベートバックボーンサービス」と、IoT化に必要な機能をワンストップで提供される「IIJ IoTサービス」も合わせて提案されていました。同じIIJのサービスならば、将来的には閉域ネットワークに乗り換えることも容易なほか、クラウドによるデータ収集・蓄積・可視化やデバイスの監視・制御・メンテナンスなど、IoT管理で必要な要件を備えることも可能な点に注目しました。

山口氏

IIJは携帯電話のネットワークとIoTプラットフォームを分離した形で提供しており、その両方に対してIIJ自身が責任を持って提供してくれるので、弊社のようなユーザにとっては安心で好都合なのです。そんなモバイルサービスベンダーは国内でも非常に希な存在です。弊社にとってはそれこそが求めているサービスの形態であり、抜け・漏れがない形で高度にサービス化していることに魅力を感じました。

池田氏

また、IIJの営業担当は問い合わせに対するレスポンスが非常に早く、困った時はいつでも手厚くサポートしてくれました。そうした顔が見える対応もIIJが信頼できる企業だと認識した理由です。

利用イメージ

導入後の効果

通信障害が発生することがなく高品質なサービスを安定して提供

IIJモバイルタイプI活用のメリットについてお聞かせください。

池田氏

WeChargeには複数のサービスが並行して運用されており、IIJモバイルタイプIを活用したWeChargeサービスは2022年4月から本格運用を開始しました。ゲートウェイと相性の良いIIJモバイルタイプIによるネットワークアクセスは、ほとんど通信が途切れたり障害が発生したりすることがなく、高品質なサービスを安定して提供できています。また、1回のコマンド入力だけで接続開始するので、保守・運用の負荷は格段に低くなっています。更に、IIJから提供されるLTE通信レポートやIoTコンソールは、障害情報などを調べるため非常に分りやすく便利です。これはIIJモバイルタイプIを活用したWeChargeサービスにとって信頼性維持の要になっているほどです。
大口のお客様の中にはSLA(サービス品質保証)契約を結んでいる企業もあり、サービスレベルを落とすことができません。今のところ全く不具合は発生していないためIIJにサポートを要請したことはありませんが、万が一の場合、IIJならば迅速に対応してくれると安心しています。

山口氏

WeChargeにとってIoT通信インフラは弊社ビジネスの命であり、サービスの本質の一部です。通信が切れてしまうとビジネスが成り立ちません。そんな事業の根幹的なシステムにIIJモバイルタイプIを採用したことは大正解だったと思っています。

他に効果を感じられた機能はございますか。

池田氏

パケットシェアプランもWeChargeビジネスでは不可欠な要素でした。もし稼働中のゲートウェイ全体でパケットをシェアできなければ、最も利用頻度の多いゲートウェイの通信量に合せて高額なプランを選択しなければなりません。パケットシェアプランCを選択したことにより、ゲートウェイ利用率の差異を平準化することができ、結果的にコストを抑えたWeChargeサービスを提供できるようになりました。スタートアップの弊社にとって、その効果は非常に大きく影響しました。
また、フルMVNOのIIJが持つ加入者管理機能を活用したSIMライフサイクル管理も有効に利用しています。ゲートウェイのテスト時に一時的にアクティブ化するものの、在庫保管中はサスペンド状態にして利用料金を低減させておき、駐車場に設置後に再アクティブ化しています。このようにSIMの開通や休止をクラウドの管理画面から行える機能は、しっかりとした技術が土台にないと実現が難しいものです。このサービスがなければ一時停止や開通をするたびにNTTドコモの法人窓口に申請しなければなりません。充電スポットを数多く設置する弊社のビジネスにおいては非常に重要な機能だと認識しています。

今後のWeChargeの拡大計画やビジネスの展開予定などの見通しをお聞かせください。

山口氏

今後は、WeCharge全体で充電スポットを年間1万台増設していく計画です。また、閉域網化とIoTサービス化については検討中で、具体的な導入時期も未定ですが、IIJモバイルタイプIは今後も活用していく予定です。

最後に、IIJモバイルタイプIの総合的なご評価をお聞かせください。

山口氏

IIJモバイルサービスは世界最高で唯一の存在ではないかもしれませんが、国内でEV向け充電サービスを展開するには最適なサービスだと考えています。営業対応やサポートも含めてとても満足しています。NTTドコモ網を使った安定性や信頼性も強みですが、むしろ弊社が評価しているのは、その上で提供されるIoT機能などIIJ独自のサービス群の価値です。様々なビジネスに対応した柔軟性と、非常に良く考慮されたIoTプラットフォームとの接続性こそが他社にないアドバンテージなのではないでしょうか。だからこそ使い続けていくつもりです。IIJにはこれからも安定的な通信サービスの運用を強く期待しています。

導入したサービス・ソリューション

お客様プロフィール

ユビ電株式会社
本社:東京都港区三田一丁目1番14号 Bizflex麻布十番4階
設立:2019年4月19日
資本金:5億1800万円(資本準備金含む)
ソフトバンクグループ社内起業制度「ソフトバンクイノベンチャー(SoftBank InnoVenture)」のプロジェクトの1つとしてスタートし、事業をカーブアウトする形で設立。「充電サービスの提供・管理・運営」と「環境価値創出事業」を柱に、IoT技術を活用したEV・PHEV向けの充電サービス「WeCharge」をビジネスの主体とする。また、現状の電気契約を変更することなく、電気自動車の充電に使用する電力を再生可能エネルギー100%比率にするグリーン電力証書を活用したサービス展開も行うなど、いつでも、どこでも自分の電気を使える新しい社会の実現を目指している。

ユビ電株式会社

※ 本記事は2022年8月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

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