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凸版印刷株式会社 様 凸版印刷株式会社

防災行政無線の弱点を補う新型戸別送受信機にIIJのLTEを活用
NTTドコモ網活用での安定した通信と通信費用の削減を実現

「印刷テクノロジ」をベースに、「情報コミュニケーション」「生活・産業」「エレクトロニクス」の3事業分野でビジネスを展開する凸版印刷株式会社(以下、凸版印刷)は、近年増えつつある災害時に高齢者や要支援者などが避難するタイミングを逸して被災するケースを深刻な社会課題と捉え、その解決策として緊急防災情報を光や吹鳴、文字、音読で受け取れる戸別送受信機「あんしんライト」を共同開発(※1)。そこに「IIJモバイルサービス/タイプI」(以下、IIJモバイルタイプI)を採用した。NTTドコモのLTE網を活用した安定した通信と、柔軟な開通トリガによる通信費用の削減、最適な料金プランの選択による高い費用対効果を実現。今後、地方自治体への導入を数万台単位まで増やす目標を掲げているという。
  1. (※1)あんしんライトは、株式会社アイズ、伯東株式会社、凸版印刷株式会社の共同開発製品です。

導入前の課題

テスト時と課金開始時のタイミングを区別できるSIMを要望

「あんしんライト」の概要についてご紹介ください。

古賀氏

「あんしんライト」は、国や自治体からの緊急時避難情報などを住民にお伝えするために共同開発した戸別送受信機です。当社はこの「あんしんライト」を活用した地方自治体向けの住民見守りサービス「あんしんライトサービス」を、2018年10月から提供開始しました。
「あんしんライト」は、LEDの発光や、サイレン音・チャイム音、ディスプレイでの文字表示、合成音声による文字の音読の4つの伝達手段を持ち、視聴覚に障がいをお持ちの方やご高齢の方が認知いただきやすくなっているのが特長です。非常時の緊急速報情報はもちろん、平常時の自治体からの情報提供にも活用できます。また、一方的な情報提供だけではなく、住民の受信状態を確認できる機能もあり、双方向の情報発信が可能な見守りサービスとして既存の防災行政無線戸別受信機と差別化を図っています。
この「あんしんライト」の起動はAC電源を入れるだけで利用可能であり、宅内工事は不要です。基地局などの専用設備も必要ないため、自治体の整備・運用コストも軽減します。SIMを内蔵し、LTE通信を利用するので、Wi-Fi環境やインターネット回線なども必要ありません。更に、住民が本体のボタンを押すことで、自治体は当社の「あんしんライトクラウドサービス」の管理画面上で安否確認や端末の状況を把握できます。緊急速報の受信装置としての活用と住民に対する適切なフォロー、互助のネットワーク構築などが確立できるようになります。

凸版印刷株式会社
DXデザイン事業部 事業推進センター
DXビジネス推進本部
市場開発部 市場開発チーム
課長
古賀 丈資 氏

開発の背景についてお聞かせください。

古賀氏

近年、地震や台風、集中豪雨などによる水害や土砂崩れなどが多発しています。自治体では、避難指示などを同報系の防災行政無線で屋外拡声器を主に音声で伝えていますが、台風や豪雨時には音声が聞き取りづらく、あるいは、聞こえないとの住民の声があります。また、そのため、携帯電話やスマートフォンをお持ちでない高齢者や要介護者などが避難するタイミングを逃して被災するなどの事例もありました。当社はそれを深刻な社会課題と捉え、その解決策として、各家庭の部屋の中まで緊急防災情報がしっかりと届き、音声だけでなく視覚的にも情報を受け取れる仕組みが必要だと考えました。「あんしんライト」の開発においては、複数の開発パートナー企業と共同で製造及びサービスの提供をしています。

通信機能の開発にはどのような課題があったのでしょうか。

古賀氏

最も大きな課題は、LTE SIMの通信発報による課金タイミングの調整でした。「あんしんライト」では組立後に通信テストを実施し、製品を梱包して在庫します。その後、自治体などからの受託があり次第、製品の納品、自治体での住民の登録、配布が行われ、住民宅での設置時に電源を入れて通信を開通するという流れになります。通常のLTE SIMでは通信テストから利用料金が発生してしまい、コスト負担が問題となってしまいます。そのため、通信テスト時と、住民宅で電源を投入して運用を開始するタイミングを区別でき、課金開始前の料金が削減可能になるSIMを必要としていました。

選定の決め手

NTTドコモ網を活用しつつ通信費が抑制可能なフルMVNO通信事業者を選定

そこでIIJモバイルサービスが候補に上がったというわけですね。

古賀氏

その通りです。まず私たちはキャリアが提供するSIMやその他通信事業者の提供するSIMの情報を広く収集しました。そうした中で、日本全国の自治体に「あんしんライト」を広く継続的にご活用いただくためには、山間部や島嶼部を含め、最も広範囲にサービスを提供できる可能性の高いNTTドコモ網を活用すべきだと考えました。NTTドコモ、及びNTTドコモ網を活用するMVNOのうち、通信費が抑えられる通信事業者を検討したところ、IIJモバイルサービスに注目しました。また、IIJは長年に渡り当社と取引があり、共同開発事業者としても実績のあるベンダーなので、その信頼性の高さも安心材料でした。

IIJモバイルタイプIを選定した理由についてお聞かせください。

古賀氏

主に3つあります。1つ目は、前述の通り全国を最も広くカバーしているNTTドコモのLTE網を活用できることです。2つ目は、「SIMライフサイクル管理機能」によって開通トリガを「テスト&アタッチ」機能で行えること。これにより、「あんしんライト」の組み立て後に最終試験でSIMを1度開通させますが、規定のテスト期間が終了すると使っていない状態に戻すことができるので通信費用を節約できます。その後、「あんしんライト」を自治体に納品し、配布対象のお宅で電源を入れると、その時点からモバイルネットワークに登録され、再起動を行って開通し課金が開始されます。まさにこの機能が必要だったのです。そして3つ目は、IIJから適切な定額料金プランが提案されたこと。「あんしんライト」のデータは主に文字情報が多く、1GBのパケット量で十分だと分析してもらえたので、通信速度も維持しながら月額費用も抑えられる費用対効果が高い選択ができたと満足しています。

開発過程で課題にチャレンジしたエピソードがあればお聞かせください。

古賀氏

2017年10月頃から開発に着手し、2018年1月以降にSIMの選定作業を開始しました。その後、2018年10月から2019年3月までの期間で、コミュニケーション系の「あんしんライト」モデルで実証事業に向けたPoC(概念実証)を実施。そこまでは順調でしたが、1つ問題が生じました。2020年3月納品の香川県の自治体向けの生産分から、防災系を主軸にした改良型の「あんしんライト」をサービスインすることになり、納品前の機器においてETWS(地震津波警報システム)に対応していることを証明する受信テスト検証の必要性が浮上したのです。ETWSのためのテスタなど、当社や開発パートナー企業は保有しておりません。それをIIJに相談したところ、IIJが保有するETWS検証用の基地局シミュレータをレンタル使用してくれることになりました。そのおかげで無事にETWSの検証を完了することができました。
その後、2021年3月岩手県の自治体向けの生産分においてもIIJの基地局シミュレータを活用してETWSの検証を実施しました。凸版印刷として初めてETWS受信テストを実施できたことは、社内の承認という経験も含め、防災軸のIoT製品を世に送り出せたという自信の裏付けにもなりました。

利用イメージ

導入後の効果

通信費用の節約とランニング費用の低減に貢献

「あんしんライト」の活用例をご紹介ください。

古賀氏

香川県の自治体では、2020年3月から土砂災害が起きやすいエリア(イエローゾーン)にお住いの75歳以上の独居世帯もしくは夫婦世帯などを中心に「あんしんライト」を配布しています。この自治体では防災情報に特化した使用に限定されているそうです。また、2021年3月からは岩手県の自治体でも65歳以上の高齢者を中心にお使いいただいています。この自治体では防災情報のみならず、火災情報やクマ出没情報、環境情報などの行政情報も配信しています。

IIJモバイルタイプIの活用によるメリットとはなんでしょうか。

古賀氏

選定理由でも述べましたが、第一は、NTTドコモのLTE網を活用することによる安定した通信の実現です。使っているSIMがフルMVNO事業者のIIJが提供する法人向けモバイル通信サービスであることも、自治体にとって安心だと思います。第二に、IIJの協力が得られたことで、ETWS検証テストを無事実施でき、防災系「あんしんライト」のサービスインを早期に実現できたことです。そして第三が、通信テストとアタッチ開通の区別による通信費用の節約と、適切な料金プランの選択による高い費用対効果です。SIMの通信費を抑制できたことで、自治体側でのランニング費用の低減にも貢献できていると思います。

「あんしんライト」の今後の計画があればお聞かせください。

古賀氏

2020年12月に総務省は、防災・減災、国土強靱化推進の一環として、必要性が高く即効性のある防災・減災のための地方単独事業等を対象とした「緊急防災・減災事業債」の事業期間を令和7年度まで継続することを発表しました。これには防災行政無線のデジタル化に伴う住民への防災情報の確実な伝達に向けた機能強化が含まれており、戸別受信機の導入も対象となります。そのため、当社ではその間に「あんしんライト」の地方自治体への導入を数万台単位まで増やす目標を設定しています。新規の導入はもちろんの事、これまで自治体が配布してきた防災行政無線戸別受信機でも情報弱者への対応ができていない場合や、機器の耐用年数が迫ってリプレースが必要な機器もあると思われるので、今後はその代替として「あんしんライト」の活用も提案する準備を進めているところです。
更に、将来的には「あんしんライト」自体も形を変えていく可能性があります。不要な機能をそぎ落とし、スマートフォンと共存するようなシンプルなスタイルに変えていけば、DXにつながるようなセンシングや見守りサービスの実現に近づけると考えています。高齢者世代のみならず、子育て世代や若い世代が使えるようなビジネスモデルを提案したいですね。

最後にIIJモバイルサービスの総合的なご評価をお聞かせください。

古賀氏

IIJモバイルタイプIの品質、IIJの対応については大変満足しています。ETWS受信テスト検証の支援を始め、運用に適応した最適なプランの提案、料金設定に至るまで、当社の要望に親身に対応いただいたことで、大きな問題もなく事業化に結び付けることができました。今後も新たなIoTサービスを開発する際にはまた最適なプランの提案をお願いします。

LTE通信を活用した戸別送受信機“あんしんライト”見守りサービス

Erhoeht-X

「Erhoeht-X™(エルヘートクロス)」とは、凸版印刷が全社をあげ、社会や企業のデジタル革新を支援するとともに、当社自体のデジタル変革を推進するコンセプトです。

自治体向け住民見守りサービス『あんしんライト』

導入したサービス・ソリューション

お客様プロフィール

凸版印刷株式会社
本社:東京都文京区水道1-3-3
設立:1900年
資本金:104,986(百万円)(2021年3月末現在)
120年を超える歴史で培った「印刷テクノロジ」をベースに、現在は「情報コミュニケーション」「生活・産業」「エレクトロニクス」の3事業分野を柱に幅広い事業活動を展開。最新の中期経営計画(2021年4月~2023年3月)では、“Digital & Sustainable Transformation” を基本方針に掲げ、事業ポートフォリオの変革、経営基盤の強化、ESGへの取組み深化により、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指す。

凸版印刷株式会社

※ 本記事は2021年10月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

導入事例

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