1. ホーム
  2. 法人のお客様
  3. 導入事例
  4. タイムハック株式会社 様

タイムハック株式会社 様 タイムハック株式会社

トレイルランで活用される位置情報サービスにIIJのSIMが採用
遭難事故の未然防止とコスト削減で既存サービスとの差別化を実現

マラソンや駅伝、トレイルラン、トライアスロンなどのレースの計時業務を支援するタイムハック株式会社(以下、タイムハック)は、自社開発したGPS位置情報提供サービス「TAIMATSU」(タイマツ)に、「IIJモバイルサービス/タイプI パケットシェアプランC」(以下、IIJモバイルタイプI)と、IIJから提案を受けた最適な組み合わせのGPS端末をセットで採用。通信品質の高さや通信可能エリアの広さのほか、回線一時中断による利用料金の削減や、パケットシェアプランによるコスト全体の抑制を実現した。また、TAIMATSUを活用した実際のレースでは、コースを外れた選手をリアルタイムに検知し、遭難事故を未然に防止したケースもあったという。

導入前の課題

モバイル通信を使った端末開発のためSIMの選定とGPS端末の選定を同時に実施

貴社の企業概要と現在の主要業務、独自性・強みについてお聞かせください。

土井氏

タイムハックは、マラソン、駅伝、トレイルラン(ハイキングコースや登山コースを利用した未舗装路レース)、トライアスロン、オープンウォータースイミング(海・川・湖などの自然環境で行われる長距離水泳競技)などの様々なレースの計時業務を行う会社です。現在は、オリジナルのICタグ(アクティブタグ)を使用した計時業務の他、ICタグによる計時システム開発で培った技術力を様々なレース運営のシステム構築に活かすシステム開発、数多くのレースで経験を積んだ弊社のスタッフが事前準備からレース後の撤収まで参加する大会運営のサポート、大会で必要となるホームページ作成サービスなどを事業の柱としています。

タイムハック株式会社
社長
土井 健太郎 氏

サポートしている大会の規模についてお聞かせください。

土井氏

日本は市民マラソン大会が盛んな国で、数万人~十数万人が参加する東京マラソンや大阪マラソンなどは有名ですが、そうした大規模な大会が年間100回以上も開催されている一方で、参加人数が1,000人以下の小規模な大会も数千回以上開催されているのです。弊社はそうした小規模なレースに特化し、記録計測のみならず、運営ノウハウがない団体や、レースイベントをビジネスにしたい企業を支援するビジネスを行っています。弊社の技術力は業界内でも最も優れていると自負しており、大規模大会をサポートする知見やノウハウも備えていますが、今はそうした資産を小規模な民間レースに提供し、長期的に下支えしていきたいと考えています。

貴社のTAIMATSUの概要をご説明ください。

タイムハック株式会社
Clock Evangelist
吉田 俊哉 氏

吉田氏

TAIMATSUとは、GPSを利用した位置情報提供サービスの総称です。主に、トレイルランやマラソン、ロゲイニング(地図やコンパスを使い山野に設置されたチェックポイントを通過して点数を競う野外スポーツ)などで利用するために開発しました。選手やコース上でサポートするスタッフ一人ひとりにTAIMATSU専用のGPS端末を身につけていただき、そこから発信される位置情報を使って、専用クラウド「TAIMATSUサイト」のデジタルマップ上で位置を可視化します。一定の間隔で選手のIDと位置情報をモバイル通信で発信するため、ロスト(ルートを外れ迷った状態)になっている選手はいないか、誰が最後尾なのか、どのスタッフがAED(自動体外式除細動器)を所持しているのかなど、ほぼリアルタイムに把握することができます。TAIMATSUは、選手の順位を確認するのみならず、安全管理や安否確認、状況に合わせたスタッフ配置など、安全で効率的なイベント運営を強力に支援するソリューションといえます。

TAIMATSUの開発目的についてお聞かせください。

土井氏

トレイルランなどの山野をフィールドとするレースでは、リアルタイムに選手の位置を把握できる手段が必要だと考えたからです。例えば一般的なトレイルランでは、スタート地点、コース途中の複数の通過ポイント(エイド)、ゴール地点に、加圧センサー式の計測マットを敷き、それを選手が踏むことでデータがネット上にアップロードしてタイムを計測します。ただ、小規模な大会では予算などの都合上、スタッフを配置するエイドを最小限度の箇所にしか設置できず、エイド間の距離が数㎞~十数㎞になることもあり、選手の位置を把握ができない状況が生じます。

吉田氏

TAIMATSUを活用することで、選手の位置情報の粒度が細かくなり、ほぼリアルタイムに情報が収集できるので、計測マットを置く必要がなくなります。選手の安全管理が強化されるとともに、主催者側の運営コストも大幅に削減できるようになります。選手の位置をピンポイントで可視化できるので、選手がロストしたらすぐに携帯電話に連絡することができ、万一携帯電話がつながらなくても、最後に位置を確認できた場所に絞ってスタッフが集中的に捜索することができます。

TAIMATSUの通信機能を開発する上でどんな課題があったのかお聞かせください。

土井氏

弊社はICタグの運用経験はあるものの、モバイル通信を使ったGPS端末をサービスのポートフォリオに加えるのは初めてだったので、SIMの選定とGPS端末の選定を同時に行わなければなりませんでした。当初はGPSトラッカーや見守り系GPS端末を中心に探していましたが、それらの多くはSIMとセットで提供されるため、台数を問わず月額料金が固定し、使用しない期間も料金を支払う必要があり、TAIMATSUのサービスには適しませんでした。また、GPS端末側に弊社独自のシステムを導入しないと必要な情報を収集できないため、APIを改修しなければなりませんが、それに対応してくれるベンダーはなかったのです。
更に、レースは概ね週末に集中して開催されます。また、降雪があると開催できません。つまり、GPS端末は運用を停止している期間が長く、その未利用期間のランニングコストをどのようにコントロールしていくかが、ビジネスを実現していく上での大きな課題でした。

利用イメージ

選定の決め手

IIJがIIJモバイルタイプIと最適GPS端末もセットで供給

IIJモバイルタイプIを選定された理由についてお聞かせください。

土井氏

IIJモバイルタイプIの利用するNTTドコモ網は、サービス可能エリアが広く、通信が途切れにくいため、山野を競技会場とするトレイルランなどには絶対に必要な要件でした。また、SIMごとの回線ステータスを自由にコントロールできる「SIMライフサイクル管理」機能は、弊社の求めていた通信管理に最適でした。ウィークデーや悪天候時などTAIMATSUを利用しない期間は回線を一時中断することができるので、利用料金を抑制することができます。
更に今回は、GPS端末も選定する必要があったので、IIJの営業担当者に適切な製品を推奨してくれるよう相談したところ、IIJのSIMと組み合わせ実績が豊富な京セラ製のGPS端末を紹介してくれた上に、SIMとセットでIIJが供給してくれることになりました。そのGPS端末はデータ送信先が変更できるため、位置情報や各センサーから得られるデータの送信先をTAIMATSUサイトに変更することが可能でした。
加えて、IIJモバイルタイプIでは一定のパケットを端末全体でシェアできるプランが選べたので、データ量の少ないTAIMATSUならそれを活用してコストを抑えることも可能だと考えました。

導入後の効果

通信可能エリアの広さによりコース上から外れた選手を発見し遭難事故を未然に防止

IIJモバイルタイプIの導入効果についてお聞かせください。

土井氏

IIJモバイルタイプIとGPS端末の組み合わせは、当初弊社が考えていた理想をほぼ全て実現した形になっており、TAIMATSUをサービスのポートフォリオに加えられたことこそが最大の効果だと考えています。通信品質の高さ、通信可能エリアの広さ、回線一時中断による利用料金の削減、パケットシェアプランによるコスト全体の抑制などはTAIMATSUビジネスには必須の要素であり、そのメリットにも非常に満足しています。

吉田氏

テスト運用時に主催者や選手にヒアリングした中で、通信は無理だと思われた山の中でも安定して位置情報を取れることが非常に有り難かったという声が多く聞かれました。通信品質のことをケアしなくてよかった分、私自身はTAIMATSUサービスをどう高めるかに開発リソースを集中できたことが大きな成果でした。

実際のレースで役立ったエピソードなどはありますか。

吉田氏

あるレースでは、主催者がTAIMATSUサイトで状況を確認していたところ、明らかにコース上から外れていく選手がいることに気付きました。主催者はすぐに本人の携帯電話に連絡し、遭難事故を未然に防ぐことができたといいます。
また、別のレースでは、前を走る選手がコースをロストしたところ、その後を走る20人ほどの選手もつられてロストしてしまったことがありました。その時も、TAIMATSUサイトでリアルタイムに確認することができたため、現場にいるスタッフに連絡し、正しいコースに戻るよう指示することで、全員をレースに復帰させることができたといいます。

TAIMATSUの今後の展開計画などについてお聞かせください。

吉田氏

まずはTAIMATSUのメリットを主催者や選手に理解していただくことが重要です。その次の段階では、レース終了後に自分がどのような走りを行ってきたのかを振り返ったり、選手の家族や友人などもレース状況を楽しんでもらえたりする付加価値サービスを提供することも考えています。

最後にTAIMATSU開発プロジェクトの総評をお聞かせください。

土井氏

通信機器の開発は初めての経験で、SIMの契約も、位置情報端末の使い方も手探りでしたが、IIJが回線のプランの提案から端末の紹介まで、全てサポートしてくれたおかげで、TAIMATSUを無事リリースできました。今後は弊社ビジネスの商圏やお客様層をより拡大していくでしょう。IIJには弊社のような個性的なベンチャーにも門戸を開き、積極的に興味を持ってくれる企業文化があります。これからもそのマインドに大いに期待しているところです。

導入したサービス・ソリューション

お客様プロフィール

タイムハック株式会社
本社:兵庫県小野市下大部町776番地
設立:2011年6月
マラソン、駅伝、トレイルラン、トライアスロン、オープンウォータースイミングなどのレースの計時業務を行う。現在は、ICタグを使用した計測サービスや、システム開発、大会運営サポート、大会ホームページ作成サービスなどを事業の柱とする。主に1,000人規模のレースを中心に支援しているが、公益財団法人日本水泳連盟が認定するレースもサポートする高い技術力や豊富な知見を持つ。

タイムハック株式会社

※ 本記事は2022年7月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

導入事例

資料請求・見積依頼もお気軽に

お問い合わせ

電話でのお問い合わせ tel:03-5205-4466 (土日祝日除く 9:30~17:30)

導入したサービス・ソリューション

関連情報

30秒でわかる 関連する事例をわかりやすく図解で紹介