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株式会社TAOS研究所 様 株式会社TAOS研究所

産官学注目のカオス解析技術を活用した見守りモニターにIIJのSIMが採用
すぐに使い始められる利便性を実現し売上15%%アップを目指す

独自のカオス解析技術と生体観測技術を応用した見守りモニター「AiSleep」寝相モニタリングシステム(以下、AiSleep)を開発する株式会社TAOS研究所(以下、TAOS研究所)は、従来の有線モデル、Wi-Fiモデルに加えて、SIMを搭載したLTEモデルの開発に着手し、「IIJモバイルサービス/タイプI 定額プラン500MB」(以下、IIJモバイルタイプI)を採用した。これによりWi-Fiや光回線を必要とせず、電源をつなぐだけですぐに使い始められる利便性を実現。既存モデルでは提案を見送っていたネットワーク環境のない介護施設や在宅介護の現場にも今後は販売できる可能性が生じたことで、売上アップも期待できるという。

導入前の課題

従来の有線モデルやWi-Fiモデルに加えてSIMを搭載したLTEモデルの開発に着手

貴社の事業内容についてご紹介ください。

苗氏

弊社は、生体活動や自然現象の中に含まれるカオス(僅かなゆらぎ変調)をセンサーで捉え、独自のカオス予測解析を行うことを強みとするベンチャーです。コアコンピタンスは主に次の3つです。1つ目は、今申し上げたカオス解析技術。これは専用の複雑系シミュレーションプログラムによって非線形解析と共に、傾向と変化(分岐)を予測する技術です。具体的には、心と体調の変化を予測したり、産業分野におけるトラブルの予兆を検知したりすることで、病気予防や安全確保に寄与します。2つ目は、生体観測技術です。カオス的挙動を捉えるセンシング技術を開発し、脈波や脳波などの生体情報の観測を可能にする端末やセンサーを製品化しています。3つ目は、前述した2つの技術の応用です。これまで多くの研究機関と共同研究開発を行い、基礎研究分野で功績を残してきました。更にそれらを応用することで、医療やヘルスケア産業、更にはコンシューマ向けに様々なライフサポートツールを提供しています。

株式会社TAOS研究所
代表取締役 工学博士
苗 鉄軍氏

AiSleepの概要と開発目的についてご説明ください。

苗氏

AiSleepは、マットレスや布団の下にセンサーマットを敷くだけで、利用者のバイタル(心拍や呼吸)データを計測し、インターネット経由で生体データをクラウドに転送する、非接触型のシステムです。弊社独自の睡眠ゆらぎ解析技術を駆使して僅かな体調変化を高精度に捉え、睡眠、覚醒、体動、起き上がり、離床など一連の行動をリアルタイムかつ一元的にモニタリングし、同時に迅速なアラート通報を行います。AiSleepを病院や介護施設などに導入することで、看護師や介護職員は患者や要介護者に適切なタイミングでの訪室や声掛けができたり、モバイル情報端末で通知を受けたりすることが可能となり、看護・介護業務の負担の軽減や、効率的な巡回など業務効率の改善と省力化が期待できます。また、睡眠週報、バイタル、無呼吸度、ゆらぎ健康度といった生体記録情報から、わずかな体調変化の前兆を検出することにより、利用者に合わせたケアプランの策定や見守りにも貢献します。
日本では高齢化が急速に進む中、喫緊の社会問題となった介護問題を解決すべき介護業界で、高齢者の状態変化と危険を早期に察知する新機能を搭載したAiSleepは、次世代の“先手の気づき介護”を可能にします。

AiSleepが他の見守りシステムと異なる点はなんでしょうか。

苗氏

やはり非接触のセンサーマットを活用していることです。ベッドや布団は誰もが睡眠をとるために日々使っていますが、日々の睡眠の中で得られる情報は豊富に存在します。マットレスの下にセンサーを敷くだけなので、ヘッドセットや電極を身体に装着する負担をかけずに容易に生体情報を収集できます。また、病院などで検査をすると人は緊張してしまいリラックスした状態になりませんが、普通通り寝ている状況なら交感神経が最も低くリラックスした状態になるので、理想的な生体データを収集できるメリットもあります。

AiSleepの通信手段において、これまではどのような課題があったのでしょうか。

株式会社TAOS研究所 技術部
守上俊之氏

守上氏

現行のAiSleepは有線モデルとWi-Fiモデルがあり、どちらもルータ経由でクラウドのサーバにデータをアップロードしていますが、光回線やWi-Fiなどのネットワーク環境が必要で、それらが整っていない介護施設はまだ数多く存在します。様々な事情でルータが設置できない場合もあり、有線やWi-Fi以外の通信手段を検討する必要がありました。また、今後AiSleepは在宅介護に向けた活用提案も強化していくため、介護施設以上にネットワーク環境が整っていないことも想定しなければなりませんでした。そのため、ルータを必要としないモバイルネットワークが最適だと判断し、従来の有線モデル、Wi-Fiモデルに加えて、SIMを搭載したLTEモデルの開発に着手しました。

選定の決め手

通信モジュールの紹介からトラブル対応支援まで積極的なサポートを評価

IIJモバイルタイプIを採用した理由についてお聞かせください。

苗氏

決め手は主に3つほどありました。第1は、余分な付加機能がなくデータ量が少なく軽いことです。他社のSIMは位置の特定やセキュリティなど、AiSleepにとっては不要な機能が搭載されていることが多く、通信するデータが重くなってしまうため通信料金もかさんでしまいます。IIJモバイルタイプIは不要なデータ通信がなく、限られたパケットプランでも十分に活用できます。また、IIJモバイルタイプIにはSIMライフサイクル管理の機能があり、導入後の在庫期間は通信料金が低く抑えられるため、コスト削減が可能になることも大きなメリットでした。
第2に、1つのSIM でLTE-M(LTE Cat.M1)とLTE Cat.1とをシームレスに対応できることです。AiSleepのLTEモデルはこの2種類のLPWAを使い分けるため通信モジュールも2種類用意します。理由は、認知症介護向けのAiSleepを充電式にするためです。認知症の要介護者は、電源や通信のケーブル類を引き抜いてしまう可能性があることから、それらを露出させないよう充電式にして、本体も全てベッドの中に格納しなければならないのです。LTE-Mは通信速度こそ落ちますが消費電力は比較的少ないため充電式が実現できます。他社の場合、LTE-MとLTE Cat.1のSIMは別に用意されるので、使い分けなければならず管理が煩雑になります。IIJモバイルタイプIなら同一のSIMが併用できるので非常に便利だと感じました。
第3は、IIJのサポート対応です。IIJの営業担当やエンジニアは、何か分からないことがあってもいつでも親身に相談に乗ってくれるのでとても安心できました。入手先のあてがなく困っていた通信モジュールも、IIJモバイルタイプIと相性の良い通信モジュールメーカを紹介いただき、IIJから供給してもらえることも提案いただきました。また、当時はAPN認証に問題がありAPIなどの設定ができなかったため何日も試行錯誤していましたが、IIJの計らいで通信モジュールメーカのエンジニアに直接サポートをいただいただことで、わずか5分で解決できたこともありました。そうした積極的なサポート姿勢も選定要因の1つになりました。

利用イメージ

導入後の効果

既存モデルに比べて売上予定を15%ほどアップできると予測

AiSleepのLTEモデルはいつ頃のリリースを予定しているのでしょうか。

守上氏

2023年3月以降にリリースする計画で、現在はいくつかの施設でテスト運用を繰り返しているところです。

IIJモバイルタイプIを採用したAiSleepのLTEモデルについて、どのような効果を期待されているかお聞かせください。

守上氏

既に多くの問い合わせを受けており、期待する効果はいくつもあります。1つ目は、利用者の負担軽減です。Wi-Fiモデルは設置する際にSSIDとパスワードを入力しなければなりません。それ自体は難しい作業ではありませんが、介護事業者にそれをお任せするには少しハードルが高いと感じていました。設定のための説明書を添付していますが、介護施設の方は皆さん多忙なので説明書を読む時間もない可能性があるからです。LTEモデルに最も期待しているのは、AiSleepが施設に届いたら、電源コードをコンセントにつなぐだけですぐに使い始められるようになることです。AiSleepに引き合いいただいた時はデモシステムの貸出も行っていますが、LTEモデルで評価していただく方が負担は少なく、より利便性を感じていただきやすくなると思います。
2つ目は、売上の拡大です。これまで有線モデルやWi-Fiモデルでは提供を見送っていた通信ネットワーク環境のない施設にも、今後は販売できる可能性があるため、既存モデルに比べて売上予定を15%ほどアップできるのではないかと予測しています。LTEモデルの導入により現在ニーズが急上昇している在宅介護市場にも参入できるようになるため、幅広いお客様のニーズにも応えられると期待しています。
3つ目は、サービスレベルの高さです。介護施設ではAiSleepを日々の見守りワークフローに組み込んでいるので、止めてはならない重要な生命線になっています。IIJモバイルタイプIはNTTドコモのモバイルネットワークを活用しているため通信可能域が広く、サービスの提供が常に安定していこともお客様にとって安心材料で、サービス拡大に向けた優位性にもなっています。

苗氏

私はWi-Fiや有線に縛られることのないAiSleepのLTEモデルには大きな可能性を感じています。介護施設では入居者の状況を見守る手段として、監視カメラを設置するケースが多いのですが、プライバシー侵害などの面で抵抗があるのも事実です。見守りという面では、Wi-Fiや光回線も必要とせず、要介護者が意識しない普段通りの環境で使えるAiSleepのLTEモデルのような機器の方が受け入れられやすいと思っています。
また、これまでは介護施設などでの利用を主体に想定していましたが、最近では健常者向けに睡眠の質を改善するなどの健康管理や、スポーツ選手などアスリートの体調管理にも活用するアイデアが次々と弊社に寄せられています。今後はビジネスの拡大にも期待しています。

AiSleepの今後の展開計画についてお聞かせください。

苗氏

弊社はAiSleepのみならず、車いすにバイタルセンサーを取り付けたスマート車いすや、同様のセンサーを取り付けたスマートトイレ、スマート浴槽なども、大手メーカなどと共同で研究しています。そこにIIJモバイルタイプIを活用することで、寝ている間だけではなく、車いすでの外出時や、トイレ使用時、入浴中など、介護対象者のプライバシーを維持しながら生活をトータルに見守ることで、体調変化の早期可視化や事故防止などが可能になるのではないかと考えています。
また、企業のほか大学や自治体、公的研究機関などとも共同でプロジェクトを進めています。今後はそうした産学官連携での介護全般対象のDX化も推進してまいります。

最後にIIJへの期待についてお聞かせください。

苗氏

AiSleepは超高齢化社会に向かう日本発の技術として海外でも注目されています。既に中国にも展開しており、今後は韓国や東南アジアにも販売機会を広げることも視野に入れています。これからもSIMを使ったモバイルネットワークの活用範囲は拡大していくため、IIJの技術とサポートに大きく期待しています。

導入したサービス・ソリューション

お客様プロフィール

株式会社TAOS研究所
本社:横浜市港北区新横浜2-2-15 パレアナビル801号
設立:2012年9月21日
資本金:1,000万円
1984年創業。2012年設立。優れたセンサー技術と最先端のカオス解析を持つベンチャー。主な事業は、カオス予測技術を駆使し健康の未来を予知すると共に、ゆらぎを取り込んだ豊かなこころ作りを支援する「健康を予知する事業」、心身現象の中に満ちている生体ゆらぎを測り非線形解析により数値化を行う「心身を測る・解析事業」、医療分野やヘルスケア領域、産業分野にカオス解決アプローチを提供する「カオス・ソリューション事業」などを柱とする。

株式会社TAOS研究所

※ 本記事は2022年11月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

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