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スターライト工業株式会社 様 スターライト工業株式会社

熱中症予防に特化したIoTサービスにIIJのSIMを採用
SIMライフサイクル管理機能によるコスト削減と
量産後の設定作業の効率化を実現

長年培ったトライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑工学)技術をベースにサステイナブル社会に向けた機能商品やサービスの開発を手掛けるスターライト工業株式会社(以下、スターライト工業)は、現場作業者の熱中症予防に特化したIoTサービス「eメット IoTモデル」に「IIJモバイルサービス/タイプI 定額プラン」(以下、IIJモバイルタイプI)を採用。管理ポータルサイト上で行える開通・中断・再開により、利用料金を削減するとともに、本格量産後の設定作業を効率化した。今後も新たな熱中症対策に取り組み、引き続きIIJのSIMを活用していく考えだ。

導入前の課題

必要としたのは通信品質が高く通信可能エリアの広い柔軟なSIMサービス

貴社の事業概要についてご紹介ください。

東島氏

弊社は1936年に創業し、フェノール樹脂による独自の摺動材料の開発を行うベンチャー企業としてスタートしました。以来、高性能エンジニアリングプラスチックをはじめとする新素材開発、及びそれらの複合化に取り組み、トライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑工学)技術をキーテクノロジーとして、鉄鋼、製紙、造船、産業機械、自動車、情報通信、住宅など幅広い領域において高い専門性を磨いてきました。現在は、次世代自動車、暑熱対策、災害・安全衛生、水素エネルギー、ロボット関連などの幅広い領域において、サステイナブル社会に向けた機能商品やサービスの開発・製造・販売を手掛けています。

スターライト工業株式会社
セーフティ・ライフサポートカンパニー
事業企画セクション 担当課長
熱中症予防指導士[第PH19-009]
東島 将俊 氏

貴社が開発した「eメット IoTモデル」の特徴についてお聞かせください。

東島氏

eメット IoTモデルは、弊社のセーフティ・ライフサポート事業における暑熱対策製品のひとつとして開発しました。仕組みはシンプルで、作業用ヘルメットに装着可能なセンサーデバイスと、専用スマートフォン、管理アプリで構成されています。センサーデバイスがヘルメット着用者のひたい温度や、周囲の気温・湿度のデータを収集しながら、スマートフォンにBluetoothで送信し、スマートフォンのアプリがデータをクラウドにアップロードします。クラウドサービスがそれらのデータを基に人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に与える影響要因を独自の「カラダ暑さ指標」として算出し、個人ごとに設定したしきい値を超えると、スマートフォンからアラートを発報するとともに、管理者や現場監督者にメールで知らせるという仕組みです。作業者の状態変化を早期に発見し、熱中症への気づきを与えることで、暑熱環境で働く作業者の頑張りすぎを防止します。

開発の背景には何があったのでしょうか。

東島氏

弊社が創業当時から開発・販売しているヘルメットに付加価値をつけるならどんな事ができるだろうかと着想したことがきっかけでした。ヘルメットは着用者の頭部を保護することが主目的ですが、それ以外にも着用者の状態を可視化し、これまで難しかった危険予知や予防を行えるのではないかと考えたのです。そこで候補に挙がったのが、熱中症対策でした。
熱中症を発症しやすい暑熱現場の労働環境は年々深刻化し、水分補給や冷却ジャケットの着用など様々な対策を講じているものの、死傷者数はここ数年横ばいが続いています。また、暑熱現場は慢性的な人手不足の傾向にあり、若い労働者は集まりにくく、高齢化が進んでいます。一人当たりの労働負荷も上がっており、どうしても無理をしてしまうため熱中症を起こしやすくなっているのが現状です。そこで最も重要なのは、適切なタイミングで休憩を取得することなのですが、そのタイミングを把握することが管理者はもとより作業者本人でも困難なのが問題となっています。
暑熱環境や暑熱作業活動において、人の脳や臓器を取り巻く内部の深部体温は上昇し、39℃近くになると発汗や皮膚への血液集中などで放熱が行われますが、更に上昇が続くと身体のバランスが破綻し熱中症を発症します。そのため、弊社は気温や湿度、輻射熱などによる単なる暑さ指標(WBGT)の測定だけでは不十分だと判断し、ひたい温度の連続モニタリングによるカラダ暑さ指標を用いることにしました。しかし、一般に深部体温は直腸や外耳道、膀胱などで測定するため、作業中の作業者への測定方法としては現実的ではありません。そこで、深部体温がひたいの温度と相関関係にある点に注目。ヘルメットは常に着用者のひたいに接触しているため、ひたいのパッド内に温度センサーをセットして、個人の状態を見守る仕組みにしようと考えました。熱中症の発生タイミングは人によって異なるため、常にひたいの温度をモニターし、熱中症の重症化リスクを事前に数値化するシステムをパートナー会社と協力して開発しました。

eメット IoTモデルの開発において、特に通信機能に関する課題とは何だったのでしょうか。

東島氏

スマートフォンに取り付けるSIMの選定でした。eメット IoTモデルのサービスでは、ヘルメットに取り付けるセンサーデバイスの他にAndroid OSのスマートフォンを必要としますが、弊社ではアプリをプリインストールし、設定まで完了したスマートフォンを用意しているので、多くのお客様はその専用スマートフォンを現場で利用しています。Androidスマートフォンはメーカごとに仕様が異なるため、eメット IoTモデルに適した仕様を検討することに非常に苦労しました。また、eメット IoTモデルは夏期前後の暑い時期を主な運用期間と想定していたため、利用する機会の少ない11月~4月の間はSIMの利用料金を削減する必要があり、中断・再開が可能なSIMを探していたのですが、そうした柔軟な対応が可能な通信キャリアやSIMベンダーを見つけられずにいました。そのため、開発中や試験導入に向けた評価中はプリペイド式のSIMを使わざるを得ない状況にあったのです。量産開始に向けて、通信品質が高く、通信可能エリアの広い、中断・再開が可能な定額のSIMサービスを早期に見つける必要がありました。

利用イメージ

選定の決め手

SIMごとの回線ステータスを柔軟にコントロールできるメリットを実感

IIJモバイルタイプIに注目した理由や選定の決め手についてお聞かせください。

東島氏

主に4つ挙げられます。1つ目は、必要なデータ量を選択可能なこと。eメット IoTモデルではヘルメットを着用している間に双方向のリアルタイムなデータ通信を必要としますが、一般のIoT製品に比べてデータ容量は比較的少ないのが特徴です。IIJモバイルタイプIの定額プランでは弊社が想定した必要最小限のデータプランを選べることに注目しました。
2つ目は、サービスエリアの広さと通信品質の高さ。IIJモバイルタイプIはNTTドコモ網を使用しているため、サービス可能エリアは国内最大クラスであり、地方や山間部、工場の奥まった場所で利用しても通信が途切れる可能性が最も少ないと判断しました。
3つ目は、通信の開通・中断・再開が簡単に実施できること。IIJはフルMVNOとして「SIMライフサイクル管理機能」を提供しており、それを活用すれば、最初に開通させた時点から月額料金が発生するようにできます。つまり出荷から利用開始直前まで無駄な料金をかからないわけです。また、涼しい時期などeメット IoTモデルをあまり利用しない期間は中断することで料金を低く抑えることも可能など、SIMごとの回線ステータスを随意コントロールできる点にメリットを感じました。
4つ目は、上り優先オプションの存在です。eメット IoTモデルの発展形としてヘルメットにウェアラブルカメラを搭載したサービスを開発しているのですが、そちらでは上り側のデータ通信に高速通信が要求されます。当時、上り優先のサービスは他社を探しても見つける事ができませんでしたが、IIJモバイルタイプIの定額プランでは上り優先オプションが用意されていたため、それが採用に至った要因の一つになりました。

導入後の効果

IIJモバイルサービスの使い勝手の良さを高く評価

eメット IoTモデルの主な利用シーンについてお聞かせくだい。

東島氏

eメット IoTモデルは2020年6月に本格的な量産を開始しました。熱中症に特化した商品であるため、主に暑熱現場で活用されています。暑熱現場といっても夏場とは限らず、製鉄所など通年で気温や湿度の高い現場も含みます。業界としては、建設業、製造業、運送・物流などの企業に多く活用されています。弊社は本来ものづくりの会社で、製造をメインとしてきたため、こうした通信機能を持つIoT分野の開発は新規事業であり、社内でもまだこれからの商品という位置づけですが、お客様からの評価は高く、大きな手応えを感じているところです。

IIJモバイルタイプIの導入効果にはどのようなものがあるでしょうか。

東島氏

先ほども言及しましたが、最大のメリットはSIMライフサイクル管理機能が活用できる点です。IIJモバイルタイプIの管理ポータルサイトより、開通・中断・再開が弊社側で簡単かつ迅速に実施できることが非常に効果的です。在庫中や需要の少ない期間は料金を低く抑えることができるため、利用頻度に波のあるビジネスには最適なサービスといえます。
また、IIJモバイルタイプIの管理画面の使いやすさも実感しました。量産開始直後は出荷台数も数十台程度だったので、Web画面による開通や一時停止などの作業は手作業でも対応できましたが、100台を超えた頃から非常に手間になりました。しかしダッシュボードから簡単に多数の端末の開通・停止の操作ができることを知り、その後は作業に追われることもなくなりました。例えば、あるお客様から翌朝までに数百台を開通したいというご要望をいただいたことがありましたが、問題なく作業を完了できました。IIJモバイルサービスの使い勝手の良さを高く評価したいと思います。
更に、弊社のお客様のほとんどは月あたりのパケット使用量はプランの約半分程度で収まっていますが、中にはプランを超えてしまうユーザも現れます。その場合は、通信速度は落ちるものの通信自体が止まることはなく、eメット IoTモデルの利用に深刻な影響はありません。そうした柔軟性の高さもIIJモバイルタイプIが使いやすい理由なのだと感じます。
加えて、最近IIJへのビジネスパートナー登録を行い、初期費用や月額料金が低減したことも、弊社のビジネスに少なからずメリットとなっています。

eメット IoTモデルも今後の量産計画や展開予定などをお聞かせください。

東島氏

新規ビジネスなので先の見通しは難しいのですが、2022年度内に更に数千台を市場に投入することを目標としています。

今回の開発プロジェクトを振り返り、どのような感想をお持ちでしょうか。

スターライト工業株式会社
セーフティ・ライフサポートカンパニー
暑熱・安全対策チーム
熱中症予防指導士[第PH21-011]
奥山 実香 氏

奥山氏

IIJに最も感謝したいのは、他社が対応してくれなかった量産開始直後の調達数が少ない段階から親身にサポートしていただいたことです。当初は対応してもらえるか不安でしたが、度重なる見積もり依頼や困難な要求にも快く応じていただき、それが今の順調なビジネスにつながっています。eメット IoTモデルがここまで数を増やせたのはIIJのお陰だと思っています。

東島氏

クラウドを活用するIoTサービスは変化のスピードが早いため、1年後にeメット IoTモデルのサービスがどうなっているか確信はありませんが、弊社は暑熱環境で働く方々にとって熱中症がこれからも深刻な課題であり続けると考えています。そのため、センサーデバイスの提供だけではなく、熱中症に関連するセミナーも開催して熱中症予防に関する啓蒙活動も行っており、そうしたアクションを通じて今後も熱中症をできる限り予防できる手段を提供したいと考えています。また、弊社はモノづくりと独自技術を通じて、地域の安全・安心対策、防災対策など快適な暮らしに向けた機能とサービスを提案するとともに、環境負荷の改善や作業効率の改善につながる提案も行うことで社会の課題解決を目指しています。単に便利さや快適さを追求するだけではなく、より長く使えるように改良を繰り返すことで地球に過剰な負荷をかけない仕組みづくりにも取り組んでいます。そうした提案の中で生まれた新たな解決策にも通信手段は不可欠となるでしょう。今後もIIJと情報交換をしながら、様々なアイデアやアドバイスをいただきたいと思っています。

導入したサービス・ソリューション

お客様プロフィール

スターライト工業株式会社
本社:大阪市旭区大宮4丁目23番7号
設立:1936年2月
国内11拠点、従業員1,400名の社員を有する技術開発型クリエイティブ企業。創業以来、「自然と調和した豊かなライフサポートを実現すること」を使命に、モノづくりと独自技術を通じて社会の課題解決を行ってきた。現在は、トライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑工学)技術で世界の基幹産業を支える「トライボロジー事業」、環境負荷の軽減に配慮した新しい機能を開発する「モビリティソリューションズ事業」、現場の安全衛生の向上や災害対策に貢献する「セーフティ・ライフサポート事業」の3本柱でビジネスを進める。

スターライト工業株式会社

※ 本記事は2022年4月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

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