James氏
主に3つあります。1つ目は、NTTドコモ網が利用できること。IIJモバイルサービスはNTTドコモ網をベースとしているので、AIRSIMにIIJのフルMVNOサービスを取り入れることができれば、香港をはじめとしてアジア地域のユーザに人気の高いNTTドコモ網をご利用いただけるようになります。2つ目は、使いやすさです。IIJのフルMVNOサービスは海外事業者向けの提供事例も多く、AIRSIM提供に必要な要件が組み入れやすいようにサポート内容も最適化されており、対応も手厚かったのでスムーズにサービス展開できると感じました。そして3つ目は、良好なパートナーシップです。既に日本ではローミングのコネクションとして日本国外のキャリアを使うデータプランはありました。しかし日本国内のモバイル通信サービスを利用したサービス開発は初めてとなります。様々なベンダーと交渉した結果、IIJがモバイル通信サービスの提供に協力してくれたので、IIJと優れたパートナーシップを築くことで、より良いサービスを提供できると考えました。
Jennifer氏
期待通り、IIJは最高の仕事をしてくれました。IIJのフルMVNOサービスを最初に検討したのが2017年頃。その後検証と試作を行い、2018年にIIJのフルMVNOサービスの採用を決定しましたがAIRSIM日本プランはその年の7月に予定通り提供を開始できました。その後、新型コロナウイルス感染拡大による影響や一時的なサービスダウンなどのトラブルもありましたが、IIJのサポートによって迅速かつ適切に対応することができました。また、サービス乗り換えの際も有効性を保証しながらスムーズに移行ができました。
Jennifer氏
AIRSIM全体では世界中に延べ20万以上のユーザがいらっしゃいますが、新型コロナウイルス感染拡大前は月に延べ1万ほどのユーザがIIJのプランをご利用されていました。余暇やビジネスで頻繁に旅行をされる方が主な顧客層となっているようです。
James氏
これも大きく3つ挙げることができます。第1に、AIRSIMの日本プランを無事立ち上げることができたことです。IIJのフルMVNOサービスによって、日本に渡航するユーザがNTTドコモ網を活用できるようになり、ユーザからの熱いご要望に応えることができました。第2は、通信料金を抑えることができたこと。国際ローミングにより日本向けデータプランを提供する既存のキャリアよりも、IIJが提供するデータプランの方が通信料は安くなるため、市場に適したリーズナブルな価格が実現でき、ユーザの負担軽減に貢献しています。第3は、安定性と信頼性の高さです。IIJのフルMVNOサービスは通信品質が良く、安定していて信頼性も高いという優位性があります。だから、日本以外の多くのお客様からのご評価も高まっています。
James氏
現在、「AIRSIMe」というeSIMを使った新たなサービスの提供を計画しています。近年はプラスチック製のSIMカードに加え、eSIMに対応したスマートフォンが増えています。そうした新たなトレンドにAIRSIMも追従する必要があるため、eSIM対応のスマートフォンユーザ向けにAIRSIMのトラベルプランをAIRSIMeアプリ経由で提供するサービスを開発しています。もちろん、IIJとはAIRSIMe日本プランの提供に向けてIIJのフルMVNOサービスを採用するプロジェクトを進めているところです。これまで通り、問題なく対応してもらえると確信しています。新型コロナウイルスの感染が終息したあかつきには、国を跨いだトラベルが本格的に再開され、日本に渡航する人も、日本から海外に渡航する人も一気に増えるでしょう。そうしたチャンスを逃さないよう、IIJと協力してAIRSIMeで販路を広げていきたいと考えています。
James氏
IIJはフルMVNO事業者として非常に信頼性が高く、対応も迅速な上に、スタッフ全員が責任感を持って仕事をしている印象を持ちました。だからこそ、これからも重要なパートナーとして永く一緒に仕事をしていきたいと思っています。
※ 本記事は2021年11月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。
日本国内でNTTドコモ網を利用できる「AIRSIM」日本プランを多くのユーザが待望
貴社の事業概要と主要サービスについてご紹介ください。
James氏
当社は1997年に創業し、規制緩和後の香港電気通信市場の初期に事業を開始した、音声通信の提供を中核事業とする国際通信事業者です。香港に本社を置き、シンガポール、マレーシア、台湾に海外地域オフィスを展開しています。現在の主な事業としては、リテールIDD(国際直通電話)オペレーション、国際音声通信の卸販売、MVNO(仮想移動体通信事業者)サービス、IVR(自動音声応答)サービス、SMS(ショートメッセージサービス)関連ソリューション、ローミング通信サービス、遠隔SIM管理サービスなど、テレコム関連のサービスをワールドワイドに提供しています。2017年にはトラベルデータローミングSIM向けのインフラを構築し、AIRSIMのブランド名でサービスを立ち上げました。
AIRSIMのサービスについてご説明ください。
James氏
AIRSIMは特殊なソフトウェアを内蔵し、無線ネットワークを通じて内部の情報を書き換え可能なSIMカードです。最大の特徴は、ユーザが海外に渡航する際、モバイルアプリ「AIRSIM ROAM」と連携させることにより、渡航先の国で使える適切なデータプランを(Over-the-Air:無線ネットワークを利用した情報の更新)によって割り当て、利便性が高く経済的な形でデータローミングサービスを実現している点です。そのため、利用国に到着した際には、ユーザのAIRSIMはローカルSIMカードのように機能します。
AIRSIMはどのように使うのでしょうか。
James氏
出発前にAIRSIM ROAMで目的地のデータプランを購入すると、お手元のAIRSIMにプランが自動的に設定されます。このプロセスは最短3分程度で完了します。これまでのように、渡航先のローカルSIMカードを購入する作業から解放されるので、時間と手間が大幅に削減でき、高価なデータローミング料金を支払うことなく渡航先で簡単にインターネットにアクセスできます。また、1枚のAIRSIMカードに様々なプランを割り当てることも可能です。130以上の国・地域をカバーできるほか、柔軟なデータオプションや、国によってはマルチキャリアの選択もできます。更に、年中無休のカスタマーサポートも提供しているので、初めてお使いになる方でも安心です。AIRSIMは提供開始以来、ユニークでユーザフレンドリーなサービスとして多くのお客様にご利用いただき、現在では当社の主力商材に成長しています。
AIRSIM日本プランの開発ではどのようなチャレンジがあったのか、お聞かせください。
James氏
当社は香港に本社を構えていますが、特に香港のユーザは、日本への渡航時に日本国内で最もカバレッジが広いNTTドコモ網の利用を好みます。しかし、以前はNTTドコモ網を利用できるSIMカードは出国前の店頭や日本到着後に空港などで購入する形でしか入手ができませんでした。そのため、AIRSIM開発当初から日本でNTTドコモ網を利用できるローカルコネクティビティをポートフォリオに加えることが待望されていました。それにより、AIRSIMカードをお持ちのユーザが日本に渡航する際には、AIRSIM ROAMを通じて容易にNTTドコモ網のデータ通信を利用できるプランの購入が可能になるからです。特に頻繁に日本へ旅行をする方にとって多大な利便性を提供できます。後は、AIRSIM向けにモバイル通信サービスを提供してくれるキャリアやMVNO事業者を日本で探すだけでしたが、当初はそうしたサービスを提供してくれる企業はなかなか見つかりませんでした。しかし前向きに検討してくれたのがIIJだったのです。