1. ホーム
  2. 法人のお客様
  3. 導入事例
  4. 埼玉県庁 様

埼玉県庁 様埼玉県庁

オンプレミスの仮想サーバ群と大規模システムを移行
クラウド統合基盤を構築して運用を最適化

埼玉県庁は多数の庁内業務システムを運用してきたオンプレミスの仮想化基盤が、リースアップの時期を迎えた。新たな大規模統合基盤として、クラウドサービス「IIJ GIO」を中心にネットワークやセキュリティサービスを組み合わせた富士通エフサスの提案を選定。2017年の年明けからシステムの段階的な移行を開始した。安定した稼働と期待以上のパフォーマンスを発揮しており、これからの行政サービスを支えていく。
課題解決のヒントが見つかる!
官公庁・自治体のお客様の事例集を差し上げます(無料)

課題

  • 既存の仮想化基盤を構成する機器にリースアップの時期が到来
  • 不特定多数のテナントが相乗りするパブリッククラウドは利用不可
  • 総務省が各自治体に対して庁内ネットワークの分割を指示

効果

  • 安定した稼働と期待以上のパフォーマンスを発揮
  • プライベートクラウドと同等の専用の物理サーバでセキュアな運用を実現
  • 自治体情報システム強靭性向上モデルに対応

導入前の課題

クラウドに移行したほうが柔軟で堅牢な運用を実現できる

埼玉県ではメインフレームのダウンサイジング、分散したサーバの仮想化統合など、常に時代に合った庁内業務システムの実装・運用形態を追求することで、行政サービスの高度化とITコストの最適化を図ってきた。

そして2011年以降に導入した仮想化基盤にもリースアップの時期が近づいたため、2015年より次の基盤の検討を進めてきた。次の方向性として描いたのは、最新の仮想化技術を用いた大規模統合基盤によるシステム運用の全体最適化である。

しかし、そこで問題となったのが移行タイミングだ。既存の業務システムのハードウェアやソフトウェアのリース契約が切れる時期はばらばらなので、新基盤への移行は今後数年間にわたって段階的に進めていくことになる。「そうした数年先の移行対象まで含め、すべての業務システムを収容することを見越したリソースを最初から調達するとなると、移行が完了するまでの全期間にわたって膨大な無駄が生じてしまいます。各システムの最適な移行タイミングで、必要なリソースをオンデマンドで調達しながら基盤を拡張できるのが理想的です」と埼玉県の石川貴規氏は説明する。

そこで有力な選択肢として視野に入ってきたのがクラウドだ。現在のクラウドは企業の基幹システムの運用基盤としても利用されるようになっており、機能面、性能面、品質面のいずれにおいても急速な進化を遂げている。「こうした技術の動向を客観的に捉えたとき、オンプレミスでの運用にこだわり続けるよりも、むしろクラウドに移行したほうが柔軟かつ堅牢な運用を実現できると判断しました」と石川氏は話す。

選定の決め手

プライベートクラウドと同様に専用の物理サーバで運用

もちろん、クラウドを利用する上でも厳しい条件がある。行政を支える業務システムの運用基盤という性質上、不特定多数のテナントが同じホスト上に相乗りするパブリッククラウドを選択することはできない。「プライベートクラウドと同様に専用の物理サーバでの運用が確約されており、外部からの不正侵入を許さない厳重なセキュリティを確保するとともに、各システムのサービスレベルについても自分たちでコントロールできることが必須条件となります」と石川氏は強調する。

また、BCP(業務継続性計画)の観点から、クラウド事業者が所有するデータセンターそのものの堅牢性も重要な要件となる。

上記のような要件をRFP(提案依頼書)にとりまとめ、2016年6月に埼玉県は入札公告を行った。そして応募各社のプレゼンテーションを経た結果として、同年7月に選定されたのが、「IIJ GIOインフラストラクチャーP2サービス」をベースにカスタマイズを施した富士通エフサスの提案である。クラウドと連結した顧客専用のラックを併用することで、公開サービス用にマネージドセキュリテイサービスも配置できる。クラウドに移行できないシステムを物理的に導入することが可能で、ハイブリッドクラウドの柔軟性を持つ。

「一般競争入札による調達ではあるものの今回は案件の複雑性も考慮し、提示額だけではなく総合評価方式で業者を選定することにしました。外部の学識経験者を中心とした評価委員会を設置し、厳正かつ客観的な審査を経て、最も高い点数を得たのが富士通エフサスの提案内容だったのです。私たちの課題に対して具体性の優れた解決策を示していたことが、高く評価されたようです」と石川氏は選定の経緯を振り返る。

また、外部公開システムの一部でAWSを利用したいという要件が発生した際も閉域網接続によるマルチクラウド構成が可能であり、サーバだけでなくネットワークなど様々な拡張性を備えているという。

導入後の効果

従来7~8時間を要していたバックアップ処理が30分で完了

クラウドを利用した埼玉県の新しい大規模統合基盤は2017年1月に準備が整い、同時に一部情報システムの移行も始まった。

もっとも、すべてが予定どおりだったわけではない。多発する情報漏洩事故を受け、総務省は各自治体に対して「自治体情報システム強靭性向上モデル」に基づき、2017年7月までに庁内ネットワークを用途ごとに分割し、適切な強靭化を実施することを求めたのだ。新基盤の基本設計を行った2015年時点では定義しきれなかった要件だ。

「プロジェクト現場は混乱しましたが、富士通エフサスとIIJは親身になってこの課題を受け止め、オンプレミスからクラウドへL2延伸が可能な『IIJ SMF sxサービス』とVMware NSXを組み合わせたネットワーク仮想化の特性を活かして柔軟に対応してくれました。おかげでスケジュールに致命的な遅れを来すことなく、無事にカットオーバーすることができました」と石川氏は笑顔を見せる。

実際、クラウド上の新基盤は安定した稼働を続け、高パフォーマンスでサービスを提供している。「現在までハードウェア障害でシステムが停止したことは一度もありません」と埼玉県の上村祐一氏。「各アプリケーションのレスポンスは、体感的にはオンプレミス時代より速くなっているほどです。なかでも顕著なのがバックアップで、従来は7~8 時間を要していた処理が30分ほどで完了します」と上村氏は手応えを示す。

埼玉県では、こうして信頼を得た新基盤に既存システムの移行を順次進める一方、様々な新規システムについても積極的にこの基盤を活用していくという。住民向けのスマホアプリもその1つだ。「埼玉県では暮らしに役立つ情報を提供する『ポケットブックまいたま』というアプリを2016年に公開しました。続いて子育て支援のためのアプリも準備中で、県内の市町村との共同利用を進めていく計画です」と石川氏は話す。

クラウドならではの柔軟な拡張性を活かし、埼玉県は住民との接点を更に深めていく多彩なITサービスを展開していく考えだ。

埼玉県庁様へ導入したシステム概要図

課題解決のヒントが見つかる!
官公庁・自治体のお客様の事例集を差し上げます(無料)

導入したサービス・ソリューション

お客様プロフィール

埼玉県庁
所在地:埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号
埼玉県は「彩の国」(さいのくに)を愛称とし、関東平野の内部に位置する内陸県。「希望と安心の埼玉」「活躍と成長の埼玉」「うるおいと誇りの埼玉」の3つの将来像の実現を目指し、様々な施策に取り組んでいる。

埼玉県庁

※ 本記事は2017年9月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

導入事例

資料請求・見積依頼もお気軽に

お問い合わせ

電話でのお問い合わせ tel:03-5205-4466 (土日祝日除く 9:30~17:30)

導入したサービス・ソリューション