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日本精機株式会社 様 日本精機株式会社 様

複数のWebサイト基盤をAzure App Serviceへ移行
数々の導入実績に裏付けられた万全なセキュリティ対策

導入前の課題

オンプレミス基盤のメンテナンス性や性能不足が課題に

貴社では従来、Webサーバをどのように運用していましたか。

日本精機 DX・システム企画部 小宮亮太氏

複数のWebサイトを運営していました。日本精機のホームページや人事採用サイトに加え、弊社の自動車・バイクなどの計器メーカーブランド「Defi」の車載用品ブランドサイトです。これらを、日本精機の情報子会社が提供する仮想専用サーバ(VPS)サービス上で、運用していました。VMwareの仮想マシンを使い、1つのVPS上に、計5つのCMS(コンテンツ管理システム)を乗せて運用する構成でした。

その構成で生じた問題を教えてください。

小宮氏

大きく2つの問題がありました。1つがメンテナンス性です。1つのVPSの上で5つのCMSを動かす際、CMSの基盤となる言語のPHP(Hypertext Preprocessor)は全サイトで共用となっていました。つまり、PHPのバージョンアップをすると、全サイトで対応しなければなりません。一方で、バージョンアップを望むサイトと望まないサイトがあり、バージョンアップを望むサイトからするとWebサーバの機能を最新に移行できない状況が続いていました。
もう1つが、VPSのリソース不足問題です。あまりリソースに余裕がない状況で、同時アクセスが一定数を超えると遅くなる現象が頻発していました。特にIRレポート公開のタイミングなどでアクセスが増えると、反応が遅くなります。会社の顔でもあるホームページが、アクセスしにくいといった状況には問題があるという認識が強くありました。

課題の解決に向けてどのように動き始めましたか。

小宮氏

2024年の初頭に、課題解決のプロジェクトが立ち上がりました。検討したのは、VPSのスペックを上げる方法と、Webサーバをパブリッククラウドに移行する方法の2つです。メンテナンス性を向上させるには、1サイトで1台のサーバに分割して、PHPとCMSをそれぞれセットにする必要があります。5台のVPSを使うとなると費用が跳ね上がることや、VMwareのライセンス料の値上げもあり将来のコストの見通しが立ちにくく、VPSのスペックアップは断念しました。

選定の決め手

Microsoft Azureに関する高い知見と適切な提案を評価しIIJを採用

VPS以外の方式として、どのような検討を進めたのでしょう。

小宮氏

パブリッククラウドの検討を本格化しました。国内外のパブリッククラウドサービスを比較し、Microsoftが提供しているWebアプリケーション実行基盤の「Azure App Service」に着目しました。
Azure App Serviceは、Webアプリケーションを動かすのに必要なサーバリソースやソフトウェアを備えたPaaS(Platform as a Service)です。コンテナのイメージでPHPとCMSをセットにしたWebサーバを作れば、仮想マシンを個別に作ることなくAzure App Service上で複数のWebサーバを運用できます。5つのWebサーバを作れば、メンテナンス性の問題も解決できます。クラウドサービスですから、リソース不足に対しても割り当ての変更が容易です。比較した他のパブリッククラウドでは同等の機能を見つけられず、Microsoft Azureの利用を中心に検討を進めました。

Microsoft Azureへの移行に課題はありましたか。

小宮氏

本社の情報システム部でMicrosoft Azureを理解しているメンバーが少なかったため、当社のIoTサービス向けの通信用SIMで付き合いのあったIIJに相談してみることを上長から勧められました。2024年5月ごろにIIJの営業担当者に話をしたところ、Microsoft Azureの導入経験が豊富であることが分かり、相談を進めることにしました。

IIJからはどのような提案がありましたか。

小宮氏

私の方でもMicrosoft Azureのシステム構成は検討していました。それを提示したところ、IIJからはシステム構成の整理・設計に加え、移行方法や運用時の注意事項などについて、より適切な提案をもらいました。特にセキュリティ面での指摘がありがたいものでした。

具体的な指摘内容を教えてください。

小宮氏

元々の構成では、Azure App Serviceからデータベースへのアクセスがインターネット経由になっていました。IIJはその構成ではリスクがあるとして、仮想ネットワークのプライベートIPアドレスを提供するPrivate Endpointの利用を提案してくれました。これによりMicrosoft Azure内で閉じた形でのデータベースアクセスが可能になり、セキュアに構成できるというものでした。これらのMicrosoft Azureへの知見を評価し、IIJなら依頼しても大丈夫だろうという印象が強まりました。
見積もりを取ったところ、金額的にも予算を大きく超過することがなかったため、IIJにWebサーバ移行と運用を依頼することにしました。

利用イメージ

導入後の効果

リソース不足を解決しメンテナンス性も向上、マルチクラウドのさらなる利活用へ

構築はいつごろから始めましたか。

小宮氏

2024年10月に構築を始めました。2024年度内の切り替えを想定したのですが、1サーバごとにWebサイトを分けたことでルーティング設定がうまくいかない事象があり、その解決などでスケジュールが少し押して2025年4月から5月にかけて切り替えを実施しました。ルーティングの課題についても、IIJに相談して検証してもらい、対応策を出してもらいました。課題に対する対応は迅速で、検証などもスピーディーだったことが印象に残っています。

Azure App Service移行後のWebサーバの稼働状況について教えてください。

小宮氏

リソース不足によるアクセスの制約は、移行後には解消されています。いつでもサクサクと動いている印象で、移行して良かったと感じています。IR発表時のようなアクセス集中時でもアクセスしにくい状況はなくなり、株主や取引先などステークホルダーとの信頼関係強化にもつながりました。また、Microsoft Azureへの移行に伴い、PHPも最新のバージョンに更新しました。今後、Webサイトごとに異なる要求が出てきたような場合にも、1サイト1App Serviceの構成ならば、PHPのバージョンアップなどメンテナンスが自在にできるため、Webサイトごとの最適なサーバ環境を用意できるようになりました。

運用管理で変化はありましたか。

小宮氏

旧サーバでは情報子会社に運用を委託していましたが、Microsoft Azureの運用は一定の範囲でIIJに委託しました。パブリッククラウドなので、アップデートなどはPaaS側で自動的に実行されていて、安心感があります。一方でIIJからはアラートなどの報告がなく、きちんと監視しているのか疑問に思ったほどでしたが、確認してみるときちんと稼働していてアラートを上げる必要がなかったことも分かりました。IIJに委託することで、運用は楽になっています。また、セキュリティ面でも安心して運用できるようになったことで、運用管理上のリスクも減ったと感じています。

他にAzure App Serviceの利用でメリットを感じている点はありますか。

小宮氏

Webサイトを新設するような場合は、社内で構築できるようにIIJから技術移転をしてもらいました。自分たちでコマンドを打って新しいコンテナを作るだけでサイト新設ができるようになり、コスト面でも工数面でもとても助かっています。2025年5月に発売した後付けできるヘッドアップディスプレイの新製品「LumieHUD(ルミエハッド)」の公式サイトは、IIJに構築してもらったMicrosoft Azure環境上に自社で作りました。

IIJをパートナーに選んだMicrosoft Azure移行プロジェクトの感想と今後について教えてください。

小宮氏

Microsoft Azure移行をIIJにお願いしたことで、1エンドユーザの限界を超えた支援をしてもらえました。Microsoft Azureを含めて、クラウドを活用していく必要が今後さらに増すと思います。今後はMicrosoft Azureはもちろん、部署単位で利用しているAWSも含めて、IIJの知見を借りながらどんどんマルチクラウドを活用していきたいと思います。

導入したサービス・ソリューション

Microsoft Azure CSPに関する
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お客様プロフィール

日本精機株式会社
本社:新潟県長岡市東蔵王2丁目2-34
設立:1946年12月24日
資本金:144億9,400万円(2025年3月31日現在)
売上高:3163億9,700万円(2025年3月期・連結)
従業員:1万3,450人(2025年3月31日現在・連結)
車載・民生ディスプレイ製品を始めとする電子機器・メカトロニクス製品の企画・設計・開発・製造・販売を行う。中核となる自動車部品事業では、自動車、オートバイ、建設機械、船舶などの車載計器、センサー、ヘッドアップディスプレイの設計・製造技術を中心に、幅広く高度な専門技術を蓄積している。自動車メーカーからの委託生産を担う車載EMS事業も手掛ける。民生部品事業では、空調機器のリモコンやOA機器のコントロールパネルなどの製品や部品の開発・製造も進める。これらの製品を通じて、安心・安全・感動の提供を目指す。

日本精機株式会社

※ 本記事は2025年7月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

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