1. ホーム
  2. 法人のお客様
  3. 導入事例
  4. TenTen株式会社 様

TenTen株式会社 様 TenTen株式会社

飲料自販機向けのIoTプラットフォームにIIJのSIMが採用
通信機器のモニタリングやアップデートを実現し
サービス品質の安定性を向上

日本の飲料自動販売機(以下、自販機)市場に注目し、自販機向けのIoTプラットフォームサービスを独自に開発するテクノロジーベンチャーが、第3世代に進化した自販機管理ソリューションの通信手段にIIJモバイルタイプIを採用。それにより、スマートフォン向けアプリ上でのキャッシュレス決済や、集客率を高めるロイヤリティプログラムの提供、配送にあたるドライバー(以下、「ルートドライバー」)の業務効率化を実現するとともに、動作状況のモニタリングやファームウェアのアップデートも可能にしてサービス品質の安定性を格段に向上させた。今後はマーケティング戦略に不可欠なデータ分析の提案も強化していくと共に、飲料自販機以外のマーケットへの展開も進めていく考えだ。

導入前の課題

リアルタイムでのデータ収集と、遠隔での稼働状況のモニタリングが開発テーマ

貴社が開発・提供されている自販機向けサービスについてご紹介ください。

ユハ氏

日本は世界でもトップクラスの自販機大国として知られており、清涼飲料自販機の数だけでも全国に200万台以上設置されているといわれています。弊社は、テクノロジーが日々大きく発展し、無人化が進む市場でビジネスを展開してきましたが、特に日本の自販機に注目し、自販機向けのIoTプラットフォームサービスを独自に開発することを目指しました。それが、飲料メーカー・自販機オペレーターと消費者とを双方向につなぐ、次世代の自販機ソリューション「TenTenサービス」です。
TenTenサービスには大きく2つの側面があります。1つは、一般の消費者へのメリットです。アプリベースのキャッシュレス決済で、自販機から簡単にドリンクなどを購入いただけるサービスを実現しています。既存の自販機に弊社が独自に開発した小型通信デバイス「TenTen SmartBeacon」(以下、SmartBeacon)を取り付けるだけでオンライン化でき、消費者との対話型自販機に生まれ変わります。消費者は自身のスマートフォンにTenTenサービス専用アプリをダウンロードすれば、スマートフォンのBluetooth機能により自販機内部のSmartBeaconと接続し、目の前の自販機で販売している商品一覧がアプリ上に画像で表示されます。それをタッチするだけで商品が購入できるという仕組みです。支払いは、三井住友カード株式会社が提供するプリペイド式キャッシュレス決済サービスに対応し、クレジットカードなどからいつでもチャージが可能になっています。
また、ドリンク1本購入するとアプリにスタンプが1個取得でき、それが15個貯まると、無料でドリンクが1本もらえる「ロイヤリティプログラム」を提供していることも特徴です。消費者が商品を購入するたびにスタンプやクーポンなどをアプリ上でプレゼントする仕組みによって、飲料メーカーや自販機オペレーターは集客アップとユーザの囲い込みが期待できるようになります。

TenTen株式会社
代表取締役
ルンメ・ユハ 氏

では、自販機を管理・運用する企業側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

TenTen株式会社
事業開発マネージャー
齋藤 淳二 氏

齋藤氏

それがもう1つの側面です。TenTenサービスは、安価なSmartBeaconを自販機に取り付けるだけで導入可能なため、自販機を交換したり高価なカードリーダーなどを購入したりせずにキャッシュレスサービスを実現でき、高額の投資をせずに導入することが可能となります。また、商品の補充や売上代金の回収、機器のメンテナンスなどを担当するルートドライバーは、一人当たり100~200台の自販機を受け持つといわれ、それらを複数のエリアに分けて日ごとに異なるエリアを巡回するのが一般的です。TenTenサービスでは、現金や電子マネーのデータも含めて、自販機の販売データをリアルタイムに収集し、クラウドにアップロードしており、ルートドライバーやその上司のマネージャーがPCやスマートフォンなどの汎用端末で閲覧することができるようになります。更に、売り切れやつり銭切れなどが発生する前にアラームを発出するので、販売機会の損失を可能な限り防止します。

そうした業務効率化はどのような仕組みで実現しているのでしょうか。

齋藤氏

はい。TenTenサービスでは、AI(人口知能)を活用した自販機のオペレーションマネジメントシステム「自販機AI」を提供しています。SmartBeaconからリアルタイムで送出されるデータに基づき、効率的な作業計画を立てることを可能にする自販機AIは、自販機ごとに詳細な販売実績の集計や、故障などに関するデータをリアルタイムに視覚化し、迅速で無駄のない臨機応変な対応を支援します。それにより、どの自販機にどんな商品を何本補充し、どのタイミングで集金すべきかなどを適切に推奨します。また、高精度な販売予測によりルートドライバーが巡回するエリアの最適な訪問ルートを地図上で提案する機能なども備えています。所要時間も予測するので、仮に時間に余裕があれば、巡回する自販機を追加することもできます。また、自販機の故障などトラブルが発生した場合でも、トラブルの原因をリモートで確認可能となりますので、修理に必要な部品や工具をあらかじめ用意して駆け付けたりすることができ、復旧までの時間を短縮します。

TenTenサービスの開発ではどのような課題があったのかお聞かせください。

ユハ氏

弊社は2013年頃から自販機とスマートフォンをBLE(Bluetooth Low Energy)でつなぐシステムを開発し、それがTenTenサービスに発展しました。現在のSmartBeaconは第3世代にあたります。第2世代まではクラウドにアクセスする手段を備えておらず、何らかの要因によりサービスへの影響が生じた場合に、どのようにメンテナンスを行うかが最大の課題でした。そのため第3世代では、遠隔である程度の診断や修正をできるようにすることが最初のテーマとなりました。
また、いつ商品が売れたのか、どの商品が今欠品になりそうなのかといった自販機のデータをリアルタイムで収集し、業務効率化やマーケティングに活用するといったニーズに対応することも重要なテーマとなりました。
第3世代の開発にあたっては、飲料メーカーや自販機オペレーターが、安価なシステム投資で、これらのテーマに即したサービスを利用できるようにするとともに、リアルタイムで収集した自販機データを、データサイエンティストが分析可能とすることを目指して取り組んでまいりました。同時にそれは、長時間の重労働となっているルートドライバーの業務負担軽減にもつながるため、業界の発展や働き方改革も期待できる重要なチャレンジでもあったのです。その実現には、モジュールの汎用性や価格にメリットのあるLTE-M通信を使うことが鍵だと考えました。

利用イメージ

選定の決め手

通信コストが抑制できSIMの最小発注数に制限のなかったIIJに注目

IIJモバイルタイプIを選定された理由についてお聞かせください。

ユハ氏

2017年からほぼ国内の全ての通信事業者に声をかけ、サービス内容を確認し、サンプルSIMを入手してプロトタイプの検証を行ってきました。SIMベンダーごとにメリット・デメリットはありましたが、その多くは通信コストが高額か、SIMの最小発注数量が大きいなどで採用条件に合いませんでした。弊社も当時は若いスタートアップだったので、市場にどれだけのニーズがあるのは正確には把握できなかったからです。その中でIIJだけは少数のSIM供給に応じてくれるなど、弊社の要望に柔軟に対応してくれました。
また、IIJモバイルタイプIのSIMライフサイクル管理機能にも注目しました。SmartBeaconは迅速に取り付けられることが強みなため、常に在庫を確保しておかなければなりません。その間はコストを抑制し、設置後はすぐにアクティベートできるようSIMごとに回線ステータスをコントロールできるのは大きなメリットだと感じました。

齋藤氏

更に、IIJモバイルタイプIはNTTドコモ網を使っているため、通信可能エリアが広く通信品質が高いこともポイントでした。TenTenサービスはオフィスに設置される自販機を中心にサービスを展開しているため、他社のSIMの中にはテスト時にビルの高層階や地下で電波が不安定になるケースもありました。IIJモバイルタイプIはほぼ全ての環境で安定した通信を可能にしていました。
TenTenサービスの第3世代は、2019年7月から本格的にサービス提供を開始しました。それ以後3年ほど経過しましたが、通信で問題が発生したことは一度もありません。

導入後の効果

IIJを活用したTenTenサービスが業界標準となるよう営業を強化

IIJモバイルタイプIを搭載したTenTenサービスの活用状況についてお聞かせください。

ユハ氏

これまでに大手飲料メーカーにも導入いただいており、自販機オペレーター数社でも試験導入が開始されていています。コロナ禍の影響で自販機での販売が伸び悩む中、飲料メーカーや自販機オペレーター各社はさらなる業務効率化の必要性を感じています。このTenTenサービスが業界のデファクトスタンダードとなるよう営業活動を強化しているところです。

IIJモバイルタイプI導入による貴社ビジネスへの貢献についてどのように分析されていますか。

ユハ氏

第2世代のSmartBeaconでは思い描いたサービスを提供できないもどかしさや、ビジネスの難しさを感じていましたが、IIJモバイルタイプIを採用した第3世代を投入したことによって、キャッシュレス決済の導入や集客効果を高めるロイヤリティプログラムの提供のみならず、ルートドライバーの業務効率化をパッケージで提供することが可能となりました。飲料メーカーや自販機オペレーターなどの自販機業界の事業者が抱えている課題の解決に貢献できるソリューションに成長したことで、今後ビジネスは数倍にも拡大できると確信しています。
IIJモバイルタイプIを搭載したことで、SmartBeaconの動作状況のモニタリングやファームウェアのアップデートがOTA(Over The Air)で可能になり、サービス品質の安定性が格段に向上したことも、大きなメリットだと考えています。

齋藤氏

業務効率化について申し上げると、あるお客様の例では、これまで売り上げ状況がリアルタイムに可視化されていなかったため、単純に距離でエリアを分け、月曜日はエリア1、火曜日はエリア2というように、自動販売機を定期訪問していました。そのため、あまり飲料が売れておらず、補充の必要のない自販機を訪問してしまう一方で、売切状態が放置されていた自販機もあったといいます。
IIJモバイルタイプIを活用したTenTenサービス導入後は、リアルタイムの売り上げ状況が見える化し、必要に応じて自販機を訪問することが可能となり、訪問効率を25%向上させることができました。これにより、1人のルートドライバーが管理する自販機台数を無理なく増やすことができるようになったということです。
また別のお客様では、1週間のうちに約7割近くの自販機で売り切れが発生し、平均3~4日間ほど売り切れ状態のままになっていたケースがありました。TenTenサービス導入後は売り切れ状態の自販機を約3割減らすことができ、売り切れ期間も2日程度にまで縮めることができました。

これまでの総評と今後の展開についてお聞かせください。

ユハ氏

自販機業界ではこうしたモバイル通信を取り入れたIoT化は更に進むでしょう。弊社がそれを業界に先駆けて提供できたことは誇るべきことであり、IIJのおかげでもあります。今後は、自販機以外の用途で業務効率化をいかに実現できるかが鍵となります。TenTenサービスではマーケティング戦略に不可欠なデータ分析の提案も強化しビジネスを拡大していきます。IIJにはこれまで同様、技術的な支援はもちろん、コスト削減やデータ量の見直しなどを行っていくための戦略的なサポートも大いに期待しています。

導入したサービス・ソリューション

お客様プロフィール

TenTen株式会社
本社:東京都渋谷区神宮前3丁目15番1号 Granjin301
設立:2013年11月22日
資本金:237,497,500円
「今までにありそうでなかった価値を、便利さを、楽しさを創造する」を目標に、十人十色な職場環境だからこそ10×10=100点満点の最高のサービスを届けることを社名に掲げ創業。社員は10ヶ国近くの多国籍メンバーで構成され、アプリケーションからハードウェアまで自社開発するテクノロジーベンチャーとして発展。現在は全国に広く自動販売機が設置されている日本をベースに、自動販売機を中心としたマーケティングや決済、メンテナンスの分野で、導入に事業者負担の少ない独自のサービスを提供している。

TenTen株式会社

※ 本記事は2022年5月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

導入事例

資料請求・見積依頼もお気軽に

お問い合わせ

電話でのお問い合わせ tel:03-5205-4466 (土日祝日除く 9:30~17:30)

導入したサービス・ソリューション