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株式会社熊平製作所 様株式会社熊平製作所

国内最大手の金庫メーカのサブスクリプション型サービスに
IIJのモバイル通信サービスが採用
安定した通信品質を安価に導入し、開通・解約処理も柔軟に実現

120年の歴史を持ち、金融機関向け金庫室・貸金庫設備で70%を超えるシェアを持つ国内最大手の金庫メーカ、クマヒラグループの株式会社熊平製作所(以下、熊平製作所)は、同社初のサブスクリプション型サービスとなる、オフィス・店舗向けのクラウド型入退室管理サービス「SPLATS」を開発。通信手段にモバイルデータ回線を採用し、利用料金が安く安定した通信が確保できる「IIJモバイルサービス/タイプI」(以下、IIJモバイルタイプI)が選定された。SIMライフサイクル管理機能を活用することで、在庫期間中の費用削減を可能にし、開通後の中断・再開も低料金に実施できることから、サービス品質向上にも大きく貢献。今後のSPLATSブランドの製品展開においても、引き続きIIJを活用していく考えだという。

導入前の課題

安定した通信手段の確保にむけて条件に合うモバイル通信サービス選定にチャレンジ

SPLATSの概要についてご紹介ください。

児玉氏

SPLATSは、2021年4月より提供を開始した、オフィス・店舗向けのクラウド型入退室管理サービスです。扉の制御やICカードの照合などを行う「SPLATSパスコントローラー」と、非接触カードリーダー「SPLATSリーダー」で構成されるSPLATSデバイス、及びそれらを統合管理するクラウド上のサーバとで構成されています。具体的には、SPLATSリーダーが読み取ったICカードの情報を、SPLATSパスコントローラーで認証し、扉の電気錠や自動ドアの制御を行います。SPLATSパスコントローラーには、SIMカードと通信ユニットが内蔵されているため、Wi-Fi設備やイーサネットの敷設工事を必要としません。モバイルデータ回線でクラウドと直接通信します。また、本体内に登録されたICカード情報の照合と扉の施解錠をSPLATSパスコントローラー単独で行えるため、クラウドとの通信状態に影響されない、すばやく安定した認証が可能です。一方、管理者はスマートフォンやタブレットなどからインターネットを通じてWeb上の専用管理サイト「SPLATSメンバーサイト」にアクセスし、利用者の登録やログの参照、入退室の履歴の閲覧、各種設定、遠隔解錠操作などを行うことができます。

株式会社熊平製作所
製品開発部 SPLATSグループ グループ長(参事)
児玉 番 氏

SPLATSを開発しようとした動機についてお聞かせください。

児玉氏

これまで当社は、金融機関や大学、大企業に対して、ハイエンドなセキュリティ製品を、売り切りの形で提供してきました。一方、市場における消費傾向は商品の「所有」からサービスの「利用」へと変化し、あまりモノを買わなくなっています。この流れはセキュリティ市場においても同様で、当社も避けては通れない課題だと感じていました。
そこで、スマートフォンやタブレットを利用して、いつでも、どこからでもWebにアクセスできるクラウド型セキュリティシステムに注目しました。これまでアクセスの少なかった小規模~中規模の企業にもお選びいただけるよう、1ゲートから利用できるサービスをめざし、「利用」ニーズに応えられるサブスクリプション型サービスを開発。それがSPLATSブランドの第1弾となる入退室管理サービスです。

通信機能の開発についてはどのような課題があったのでしょうか。

吉野氏

SPLATS開発では、クマヒラグループがこれまで行ってきた「安全・安心」を提供するため、「ずっとあたたかくみまもる」を新たなコンセプトの一つに据えました。例えば、機器の常時監視、運用業務の代行、最新セキュリティへのアップデートなどの実現です。そのためには、安定した通信手段の確保が不可欠です。当初は、利用実績のあった有線のイーサネットを検討しましたが、ターゲットユーザの中には、LAN環境の整備されていない小規模な店舗なども含まれます。そのため設備工事の不要な無線方式が最適だと判断したのです。センサーデータの通信だけならLPWA(Low Power Wide Area)という選択肢もありました。しかし、SPLATSデバイス自体も進化させるため、ファームウェアのアップデートを前提にすると、上りと下りの双方にもう少し大容量の通信ができることが望ましかったのです。結果的にLTEが最適だと結論づけました。
しかし、LTEのモバイル通信サービスは月々の利用料金の負担が大きく、安定した通信が確保できるのかなども懸念されたので、条件に合うサービスを見つけることが大きなチャレンジになりました。

株式会社熊平製作所
製品開発部 TSグループ 主幹
吉野 英俊 氏

選定の決め手

SIMライフサイクル管理機能がサブスクリプション型サービス開発への不安を大幅に軽減

モバイル通信サービスを選ぶ際の条件についてお聞かせください。

児玉氏

SPLATSの開発は2019年10月からスタートしました。モバイル通信サービス選定の条件としては主に4つに絞り、1)月々の利用料金の安さ、2)安定した通信とサポートエリアの広さ、3)通信容量、4)APIによる開通・解約処理の実現、で比較しました。条件に合うLTEサービスをインターネットなどで情報収集しましたが、なかなか見つかりませんでした。SIMの最低引き受け数量が当社の希望よりも多かったり、導入実績の少なさから採用への不安があったりする通信事業者も多かったのです。
その中で、最も条件を満たしていたのがIIJモバイルタイプIでした。特に注目したのは、IIJ独自の「SIMライフサイクル管理機能」です。IIJはフルMVNOのため、IIJが持つ加入者管理機能を活用することで、SIMごとの回線ステータスを柔軟にコントロールできます。様々なトリガをきっかけに、開通や課金開始のタイミングを制御可能になります。生産計画に合わせてSIMを在庫できるという点も大きな魅力に感じました。SPLATSのようなサブスクリプション型サービスを提供することはクマヒラグループとしては初めてのことなので、どれだけ在庫を持てばいいのか、どれだけ販売できるのかを予測することが非常に難しく、先が見えない状態だったからです。SIMライフサイクル管理機能によって在庫期間中の費用削減が可能になることは、私たちの不安を大幅に軽くしてくれました。
早速IIJに連絡を取り、改めて条件を説明したところ、価格を含めて柔軟に調整してくれました。そうしたことも後押しし、2020年3月に正式に採用を決定しました。

利用イメージ

開発過程でIIJのサポートが解決に結びついたエピソードがあればお聞かせください。

吉野氏

SPLATSは全て自社開発だったので、APIの使用方法などの問い合わせに対し、IIJの技術担当者から迅速に回答いただいたことは非常に助かりました。また、法人向けサービスのサポートページ「IIJサービスオンライン」を利用しましたが、それがとても分りやすく、利用状況の確認や、サービスの各種設定、仕様書やマニュアルのダウンロードなどが行えたため、開発がスムーズに進みました。

導入後の効果

開通前や通信中断時の費用削減はSPLATSを提供する上での必須条件

IIJモバイルタイプI活用のメリットついてお聞かせください。

児玉氏

最大のメリットは、安定した通信品質を安価に導入できたことです。サービス開始後、通信のトラブルは一切なく、パケットをユーザ間でシェアすることで非常にリーズナブルな料金設定が可能になりました。また、SIMライフサイクル管理機能によって、在庫中は課金されず、出荷のタイミングで開通及び課金が開始されるようになっています。出荷前に動作確認するための開通テストも安価に実施できます。更に、開通後もIIJサービスオンラインを利用すれば中断・再開が低料金で実施できるのも大きなメリットです。このように用途に応じて開通トリガを選択し、開通前や通信中断時の費用を削減できることは、SPLATSを提供する上で必須条件となっています。

吉野氏

モバイルデータ回線をサービスとして本格的に活用したのはSPLATSが初めてですが、IIJモバイルタイプIによって、SPLATSデバイスとクラウド間のデータのやり取りが全く問題なく行われています。例えば、扉の開け閉めが発生したら、SPLATSデバイスがその都度データをクラウドに上げます。扉の施錠・解錠も遠隔で可能なのでその際はクラウドからSPLATSデバイスに下りで指示を与えます。また、SPLATSの管理画面でSPLATSデバイスのアンテナが受ける電波の強度も可視化できるようになりました。これにより、お客様の事務所へSPLATSデバイスを設置する前に、テスト用のSPLATSパスコントローラーを現地に持ち込み、電波強度を遠隔で測定することが可能になりました。当初はNTTドコモのスマートフォンで調査していたのですが、現在は実物で測定できるようになり、信頼性は格段に向上しました。

今後のSPLATSの拡張計画をお聞かせください。

児玉氏

SPLATSブランドのサービス展開としては、今後、鍵管理サービスや、録画監視サービスなど、既存製品のクラウドサービス対応を進めます。また、様々な企業が提供するサービスやプラットフォームとも連携を強化し、サービスを拡充していくつもりです。
当社の鍵管理システムの中には、鍵が10個程格納できる比較的小型の製品もあり、今後はそれにIIJモバイルタイプIのSIMカードと通信ユニットを内蔵することで、クラウドと通信する鍵管理サービスとして強化する予定です。最近はシェアードサービスの拡大でリアルな鍵の貸し借りを行っている企業が増えています。光回線やWi-Fiの設備がなくても、電源さえあれば、スマートフォンで手軽に認証するだけで安全に鍵の貸し借りができるスマートキーボックスのニーズは高いと考えています。
また、録画監視サービスはまだ構想段階ですが、これまでは録画したデータをオンプレミスの装置に蓄積していたのを、クラウドにデータを蓄積することで、いつでも、どこからでも監視できるようなサービスにすることを想定しています。しかし、録画データをアップロードすると大量の通信が発生してしまうので、IIJモバイルサービスにはアップロード側を大容量、高品質かつ安価に利用できる新たなプランの登場を期待しています。

SPLATS開発プロジェクトを振り返り、IIJの総合的な評価をお聞かせください。

吉野氏

価格と品質を高位に両立できていたのはIIJモバイルタイプIだけでした。IIJはサポートも迅速かつ的確で、非常に親身に対応していただき、信頼できる事業者だと感じました。

児玉氏

日本は自然災害も多く、パンデミックのリスクも顕在化したことから、BCP(事業継続計画)をより強化するお客様が非常に増えています。今回のSPLATSプロジェクトの成功を土台に、今後も当社の得意とする物理的なセキュリティと、IIJが得意とするITのセキュリティとのコラボレーションを進めることによって、更にセキュアなIoTのポートフォリオを増やしていきたいと考えています。引き続き支援を期待しています。

導入したサービス・ソリューション

お客様プロフィール

株式会社熊平製作所
本社:広島市南区宇品東2-1-42
設立:1943年12月
資本金:4億5,000万円
熊平製作所を含むクマヒラグループは、金庫をはじめとしたセキュリティ関連製品を取り扱うトータルセキュリティ企業グループ。創業120年を超える老舗で、金融機関向け金庫室・貸金庫設備で70%を超えるシェアを持つ国内最大手の金庫メーカ。近年は金庫設備にとどまらず、入退室管理システムやデジタル録画監視システム、セキュリティゲート、液体検査装置など、最先端のセキュリティ製品も手がける。同社の製品は金融機関だけでなく、官公庁、大学、空港、原子力関連施設、データセンターなど、高いセキュリティレベルが求められる分野で幅広く採用されている。

株式会社熊平製作所

SPLATS

※ 本記事は2021年5月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

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