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株式会社EXx 様 株式会社EXx

電動キックボードの普及を目指すベンチャーがIIJのSIMを採用
約10の自治体に100台以上導入し移動データやユーザ情報の可視化を実現

電動キックボードを用いた短距離移動ソリューションサービス「ema」を提供する株式会社EXx(エックス。以下、EXx)は、海外OEMメーカの電動キックボードを日本で運用可能にするためのSIMに「IIJモバイルサービス/タイプI」(以下、IIJモバイルタイプI)を採用。約10の自治体で100台以上のemaが利用されるようになり、これまで可視化しづらかった利用者の移動データやユーザ情報の顕在化を実現。自治体における次世代マイクロモビリティ普及を支援している。今後は、自治体や地域のパートナー企業とともに、emaを地域のインフラとして価値のあるものにしていくという。

導入前の課題

海外製電動キックボードと日本のSIMが正しく接続できるのかを慎重に検証
電動キックボードのシェアリングサービスを実現するためにSIMを搭載

emaの概要とサービスについてご紹介ください。

杉原氏

emaは電動キックボードを用いた短距離移動ソリューションを提供するサービスです。電動キックボードは手軽な乗り物として、海外では主要な交通手段の1つになっています。日本でも人々の移動の概念を大きく変えていく可能性のある手段だと考え、2018年に事業を立ち上げました。emaの電動キックボードは一般の電動アシスト自転車とほぼ同じ重さですが、自転車のようにサドルに跨がったり、ペダルを漕いだりする必要はありません。電気モーターで駆動するので、走り出してしまえば蹴り続ける必要はなく、手元のアクセルとブレーキを操作するだけです。初心者でも簡単に乗り始めることができます。その利便性を1度体験すると、もう自転車には戻れなくなるでしょう。それが次世代モビリティとしての最大の魅力です。
サービスもシンプルにしました。会員登録から決済までの全てがスマートフォンとLINEアプリ上で完結できます。emaを導入する自治体や事業者も、ユーザアカウントの管理からお問い合わせまでLINEの公式アカウントで運用が可能です。また、電動キックボードの位置情報や移動履歴などのデータを取得することで、地域活性化や業務効率化などに貢献します。
現在、emaはシェアリングサービスが先行していますが、将来的にはニーズに応じて販売やレンタルなどにも対応していく計画です。

株式会社EXx
取締役
杉原 裕斗 氏

電動キックボードの運用については規制緩和がされていると聞きました。

杉原氏

そのとおりです。電動キックボードに限らず道路を走る乗り物は、道路運送車両法や道路交通法などを遵守しなければなりません。電動キックボードは、現行法上では原動機付自転車という扱いになるのですが、経済産業省が2021年4月23日付で、産業競争力強化法に基づく「新事業特例制度」に申請のあった事業者を認定し、その認定事業者が提供するシェアリングサービスの電動キックボードだけは、現行法の枠組みから一部規制を緩和することで小型特殊自動車の扱いになりました。走る場所は車道や自転車専用通行帯などとなり、免許が必要ですが、最高時速が15㎞以下に制限されたことで、ヘルメット着用は任意になりました。実証期間が当初予定の2021年10月末から2022年7月末まで延長されたので、今後は規制緩和された条件の範囲で柔軟に事業展開を進めていく考えです。

国内では、電動キックボードのシェアリングサービスは実証実験の段階なのでしょうか。

杉原氏

はい。そのため当社は、電動キックボードをはじめとするマイクロモビリティ技術の日本市場への導入・推進を目的とした任意団体「マイクロモビリティ推進協議会」を他の事業者と共同で設立しました。参加企業は、自主規制体制の構築、安全運転指導の基本方針の決定、実証実験・事業の推進、政策提言などを行っています。当社は、新事業特例制度を用いた電動キックボードの公道での実証実験として、東京都渋谷区、東京都世田谷区、千葉県柏市、神奈川県藤沢市、兵庫県豊岡市のほか、長野県の軽井沢や小布施町などでもサービスを提供しています。
また、emaの場合、当社が車体開発やサービス開発・カスタマーサポートを担い、地域パートナー企業が実地での充電やメンテナンスを担当し、そして自治体が地域での周知やポート提供・地域パートナー企業の紹介を行うといった、3者間での連携を基本的としています。それにより、自治体と地域の事業者の両方からサポートをいただく形で、emaを地域のインフラとして価値のあるものにしていく協業関係を構築しています。

emaの開発過程の特に通信機能について、どのような課題があったのでしょうか。

杉原氏

emaのサービスは、現在のところはシェアリングサービスが先行しているので、通信機能は必須であり、内部コントロールユニットへのSIMの搭載が前提となりました。通信機能の開発と同時に課題だったのが車体の選定でした。電動キックボードは主に海外で様々なメーカが製造・販売しているものの、日本の法規に対して適法に使える優良な車体は限られているのが現状です。その中でも、日本の法制度や保安基準に沿ってカスタマイズ可能な海外メーカの車体を選定した上で、その車体の通信基盤が日本で運用可能なSIMと接続できるのか、慎重に検証する必要がありました。

利用イメージ

選定の決め手

厳しい採用条件をクリアし低料金のIIJ法人向けモバイルサービスを選択

IIJモバイルタイプIを選定した理由についてお聞かせください。

杉原氏

当初はできるだけ多くのSIMを比較検討するつもりでしたが、採用条件が厳しかったため、選択肢が限られてしまったのが実情でした。どのような条件・地域でもアクセスできる高い通信品質のほか、利用中にGPSの位置情報やバッテリー残量などのデータを5秒に1回程度クラウド側にアップロードするための常時接続性、IPアドレスベースでアクセス可能にするための動的IPの利用、そしてそれらを満たしながら通信費用を抑えられるリーズナブルな料金設定などの条件をクリアしなければなりません。検討の結果、フルMVNOであるIIJの法人向けモバイルサービスが機能とコストのバランスにおいて最適だと判断。IIJに相談したところ、emaのサービスではIIJモバイルタイプIの定額プランが最適だと提案してもらったのです。すぐにサンプルを入手して通信試験を行なった結果、全く問題はないという結果になり、正式に採用を決めました。

導入後の効果

スマートシティでの利用状況を分析して次世代マイクロモビリティ推進を支援

emaの利用状況についてお聞かせください。

杉原氏

最初は、2020年2月に宮崎県日南市で実証実験を行いました。その成功を受け、2020年5月にEXxを設立したのを機に、他の自治体でも本格的にサービスを開始しました。現在は、約10の自治体で100台以上の電動キックボードが利用されています。料金プランも複数用意し、利用目的に応じて選んでいただけるようにしています。また、個人情報の保護に配慮した上で、走行データ、エリア別平均速度、利用者属性、乗車ヒートマップなどの情報を取得し、今まで可視化しづらかった利用者の移動データやユーザ情報の顕在化を行いました。例えば、千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」では、半径2キロ圏内に商業施設や大学、研究施設、ホテル、住居などの都市機能があり、emaがシェアリングサービスとして活用されています。当社は、柏市及び不動産開発会社と協力し、こちらも個人情報を匿名化した上で、利用目的、利用ルート、ポートごとの利用率などの情報を分析して月2回レポートし、次世代マイクロモビリティ戦略の構築を支援しています。

IIJモバイルタイプIの活用によるメリットにはどのようなものがあるでしょうか。

杉原氏

IIJモバイルタイプIは、emaの移動データやユーザ情報はもちろん、オン・オフの管理、車体の不具合が発見された時の遠隔ロックなど、車体の状態把握にも利用しています。その安定した通信によって当社のサービスが成り立っているといっても過言ではありません。状況にもよりますが、建物の中、地下空間でも通信は可能で、途切れて困る状況になったことは一度もありません。
また、SIMライフサイクル管理機能も重宝しています。emaは実証実験期間中なので、在庫として保管する車体数が常に変動します。運用しない車体はSIMごとに回線ステータスをサスペンド(中断)状態にしておくことで、開通前の課金や通信料金など回線に関わる費用を格段に低減できます。月々のランニング費用の中ではそれほど大きなインパクトではありませんが、こうした細かな心遣いは本格運用前の事業者にとってうれしいものです。

emaの今後の展開予定などをお聞かせください。

杉原氏

新たに中核都市を中心に10程度の自治体で新規に導入される予定です。電動キックボードの認知度向上で地域あたりの運用台数も増える状況にあり、適切な法整備が進めばその数も加速するのではないかと期待しています。

ema開発プロジェクトを振り返り、IIJの総合的な評価をお聞かせください。

杉原氏

今回の電動キックボード開発プロジェクトはノウハウ蓄積の貴重な機会になりました。IIJモバイルタイプIは全く問題なく運用できているので非常に満足しています。今後IoTを含めあらゆるサービスに着目しながら新規にビジネスを拡大していくにあたっては、IIJのサポートを受けながら得られた経験が大いに役立つと考えています。また、次世代モビリティに限らず、これからはどのようなサービスでも何らかの通信機能は不可欠になるでしょう。今後もIIJモバイルサービスに注目していくとともに、IIJは「ものづくりIoT」も積極的に進めているようなので、そうした相談も気軽にしていきたいと思っています。

導入したサービス・ソリューション

お客様プロフィール

株式会社EXx
本社:東京都渋谷区神宮前5-29-10 クリプトメリア神宮前ビル 2F
設立:2020年5月15日
資本金:1百万円
宿泊やワークスペースなどの用途に活用できる移動型滞在施設「BUSHOUSE」を展開する株式会社DADAと、電動キックボードのシェアリングサービス「ema」を開発した株式会社マイメリットが共同で新会社の株式会社EXxを設立。これからのMaaS時代を見据えて、移動データや利用客情報の分析をもとにした企業のモビリティ事業のコンサルティングや、観光客に向けたモビリティプラットフォームの開発支援等を提供。幅広いパートナーと共に、人とモビリティが共生する社会を目指す。

株式会社EXx

※ 本記事は2021年10月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

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