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カリーナシステム株式会社 様 カリーナシステム株式会社

手術室向け映像システムのリモートメンテナンスにIIJを採用
モバイル閉域網とWANネットワークの連携で安心の医療サービスを実現

手術映像記録・配信システムでシェアトップのカリーナシステム株式会社(以下、カリーナシステム)は、従来の専用固定回線を使った有償のリモートメンテナンスサービスを、LTE回線を使ったローコストの新サービスに刷新するため、IIJが提案した4つのサービスで構成される「モバイル閉域ソリューション」を採用。固定回線個別設置時の作業工数を大幅に削減するとともに、病院内のセキュリティを担保するためモバイル閉域網とWANネットワークを直結し、サービス品質をそのままにローコストサービスへの転換を実現した。今後はLTEの閉域サービスを用いたリモートメンテナンスサービスを拡大していくとともに、病院以外の用途に活用していくことも視野に入れているという。

導入前の課題

専用固定回線の設置コストを圧縮しローコストサービスへの転換を目指す

貴社が提供しているリモートメンテナンスサービスの概要についてお聞かせください。

岩本氏

弊社は映像・ネットワークに関する豊富な知見と経験を基に、電子機器及び光学機器のソフトウェア・ハードウェアの技術開発・販売を行っています。また、SI(システムインテグレーション)やシステム構築のほか、導入から運用に関する提案や支援業務も提供しています。現在は、医療施設で活用される手術映像記録・配信システムを主力事業としており、全国でトップクラスの400を超える病院にご利用いただいています。そのため、手術映像記録・配信システムの納入先に設置した録画用のサーバのメンテナンスや障害対応には特に注力しています。これまではビデオテープやDVD、USBメモリに保存する単体の録画装置が主流でしたが、現在は録画データをハードディスクに一括保存できるサーバ方式に移行しています。その録画用サーバに問題が発生した場合は、アラームが鳴り、お客様から弊社のサポート部門に連絡をいただくようにしているので、全国9ヵ所に設置したサポート拠点から弊社の保守サービス担当者が直接病院を訪問し、迅速にメンテナンスを行っています。
しかし、サポート拠点から遠隔地にある病院や、島嶼部にある病院などを訪問するには時間やコストがかかるため、弊社から病院に設置したサーバを遠隔でメンテナンス可能なシステムを開発しました。
弊社のリモートメンテナンスサービスは、サーバの状態を常時モニタリングして、問題が発生した時は即座に対応できるようにするほか、訪問する前にプロアクティブな予備診断を行って対応を検討したり、単純なミスならば速やかに処置できたりするなど、お客様と弊社の双方に多くのメリットをもたらします。そのためできるだけ多くのお客様にご導入いただけるよう提案しているところです。

カリーナシステム株式会社
西日本システムエンジニアリング部 部長
岩本 幸治 氏

では、従来のリモートメンテナンスサービスにはどのような課題があったのでしょうか。

岩本氏

課題は大きく3つありました。1つ目は、専用回線の個別設置時の作業工数が負担になっていたことです。リモートメンテナンスを行うには、お客様の病院内のサーバと弊社のサポート部門を回線で結ぶ必要があります。ただし、病院内では情報漏えい防止の観点からインターネット網に接続できる光回線などが設置できず、VPNなど閉域網の専用固定回線を新たに設置しなければなりません。回線やプロバイダーの手配、病院内の宅内敷設工事、日程や段取りの調整など作業量が多く、導入時に多くの時間と手間がかかることが大きな負担になっていました。
2つ目は、有償サービスになっていることです。専用固定回線の設置には契約料や回線使用料、工事費用などのコストも必要になるため、リモートメンテナンスは有償のサービスとして提供するしかありませんでした。前述の通り、リモートメンテナンスはお客様にも多くのメリットがあるため、なんらか別の手法を使ってこのコストを圧縮し、サービスを提供できれば、より多くのお客様にご導入いただけるのではないかと考えました。
3つ目は、ISDNの「2024年問題」です。これまで提供してきたリモートメンテナンスサービスはISDN回線を使用していました。しかし、NTTが進めている固定電話のIP網移行によって「INSネットディジタル通信モード」のサービスが2024年1月~2025年1月にかけて終了予定になることから、弊社のリモートメンテナンスサービスもISDN回線が使用できなくなります。これは一般的に2024年問題といわれていますが、弊社も喫緊にその対応が求められることになりました。

選定の決め手

多様なサービスを提供できる柔軟性と希望を実現する構成提案で採用を決定

こうした課題に向けて、どのような解決法を必要とされたのでしょうか。

岩本氏

まずは有線での回線設置工事などが不要な無線通信、例えばモバイル回線を活用したリモートメンテナンスシステムを開発することが有効だと思ったのです。LTE回線を使用すれば、これまで数日~数週間かかっていた一連の回線設置工事も不要となり、設置即日から利用できるようになります。病院内の工事が不要になればリモートメンテナンスに難色を示されたお客様もご同意いただきやすくなるかもしれません。また、閉域網利用に必要な料金などのコストが大幅に圧縮できる可能性もあり、弊社が少し努力すればお客様に負担をかけないリモートメンテナンスサービスを提供できる可能性が生まれると考えました。

LTE回線の選定において、IIJのサービスに注目された理由についてお聞かせください。

岩本氏

LTE回線を使ったリモートメンテナンスシステムを開発する上で、最大のハードルがセキュリティへの対応でした。具体的には、モバイル回線で閉域網が使えるサービスが必要だったのです。一般のモバイル回線ではインターネットに接続できてしまうため、病院内に設置したサーバとの接続には使用できません。LTE回線で閉域網に対応したサービスを提供する回線事業者を調べる中で、唯一候補に挙がったのがIIJでした。IIJに問い合わせたところ提案されたのが、お客様の病院からIIJ設備までは閉域網を使ったモバイルサービスで接続し、IIJ設備から弊社拠点まではVPNアクセスのWANネットワークサービスで接続するという一気通貫のユニークなサービスでした。多様なサービスを提供できる柔軟性にも驚きましたが、まさに我々が希望していた構成そのものであり、さっそく具体的な検討に着手しました。

それが、IIJのモバイル閉域ネットワークを実現するサービス群だったのですね。

岩本氏

そのとおりです。IIJからは以下のサービスの組み合わせが提案されました。

1)法人向けモバイル通信(SIM)サービス「IIJモバイルサービス/タイプI 定額プラン」
2)IIJ閉域ネットワーク「IIJプライベートバックボーンサービス」
3)閉域接続によるクラウド型リモートアクセス
 「IIJモバイル大規模プライベートゲートウェイサービス」
4)企業ネットワークに必要な機能を仮想化してクラウド上で提供する
 SD-WAN / SASEサービス「IIJ Omnibusサービス」

このように様々な提案をいただいたおかげで、想定したコストでリモートメンテナンスできるイメージが湧きました。また、医療業界における他社のIIJモバイルサービス導入事例もあり、閉域ネットワークやアクセス制限などが必須となる病院ならではのRFP(情報提供依頼書)などが共通だったのでとても参考になりました。最終的に、弊社の要望を的確に解釈して、短期間でこうしたモバイル閉域ソリューションを提案いただいたのが採用の決め手となったのです。

利用イメージ

導入後の効果

IIJのサービスを組み合わせモバイル閉域網とWANネットワークを直結

IIJモバイル閉域ソリューションを活用したリモートメンテナンスサービスは現在どのように運用されているのでしょうか。

岩本氏

LTE網を使った新リモートメンテナンスサービスは、2020年8月から一部の複数のお客様を対象に提供を開始しました。数十ヵ所の病院に設置した手術映像記録・配信システムの録画用サーバをモバイルルータと接続し、IIJモバイルサービス/タイプIのSIMから神戸の本社と東京事業所の2拠点を結んで、24時間365日モニタリングしながら、主に障害内容の確認や簡単なメンテナンスを行っています。複雑な障害については、従来通り訪問で対応しています。導入においては、リモートデスクトップでサーバの設定作業を完了できたので、一部でアンテナの調整が必要だったほかは、あっけないほどスムーズに本番運用を開始できました。同時に、いつでも新規需要に応じられるよう、リモートメンテナンス用の標準機材セットをあらかじめキッティングし、ストックとして準備もしています。

IIJモバイル閉域ソリューション導入の効果についてお聞かせください。

岩本氏

LTE回線を活用したリモートメンテナンスサービスを実現する上で、IIJのサービス群を組み合わせてモバイル閉域網とWANネットワークを直結できたことが管理上の重要な利点でした。また、弊社の担当SEにとっては、新規設置時にリモートメンテナンス環境構築の工数や負担が大幅に削減されたことが最大の効果になっています。従来の有線で専用線を設置する場合に比べて、1病院あたり3日以上は段取り調整や実作業の日数が短縮できるなど、格段に効率化しています。事前にサーバ構築やルータの基本設定を弊社内で行い、一度接続・動作確認したものをお客様の病院に搬入してIP変更などの最終調整をすれば、現場でも同じ環境が再現できるので非常に楽になりました。また、ISDN回線をLTE回線に置き換えるので、2024年問題も回避できたのは言うまでもありません。

今後の展開計画についてお聞かせください。

岩本氏

現在は、リモートメンテナンスサービスを障害発生時の対応のみに活用していますが、今後はサーバからの不具合通知への対応も進めていく予定です。従来使用していたVPN回線では、弊社からお客様の病院に設置したサーバの状態をモニタリングすることはできても、病院側から弊社のサポート部門へオンラインで通知することは仕組み上不可能で、トラブルが発生した場合は人の手によってご報告いただくしか方法はなかったのです。今回LTE接続に変更したことで常時接続に近い形で運用できるようになり、録画サーバで問題が発生すればその状況を即座に自動で弊社に通知し、時間をかけずに解決できるようになります。障害時の対応スピードを速めるという意味も含め、大幅なサービス改善につながると考えています。
また、このサービスを病院以外の案件に活用していくことも視野に入れています。容易にリモートメンテナンス環境を構築できることから、例えばある交通機関の自動運転のテスト環境に活用するアイデアも進んでいるところです。

この度の開発プロジェクトを振り返り、IIJモバイル閉域ソリューションの総合的なご評価をお聞かせください。

岩本氏

IIJモバイル閉域ソリューションの選択については大正解で非常に満足しています。病院のサーバルームの場所によっては電波が届きにくいといったトラブルもありますが、それについては現地対応で解決できています。来年度以降もリモートメンテナンスの案件が増えると思われるので順次追加をしていく予定です。ただ、現在もLTEの閉域サービスについて病院様の技術部門にセキュリティの懸念が残っているのも事実で、その心配を払拭していくことが課題となっています。そのため、IIJには技術的な裏付けを示した分かりやすい資料の共有など、今後も優れたサポートの提供を期待しています。

導入したサービス・ソリューション

お客様プロフィール

カリーナシステム株式会社
本社:神戸市中央区京町69 三宮第一生命ビルディング7F
設立:2008年12月
資本金:9,800万円
創業以来、医療・放送分野を中心に、カメラなどの撮影機器を始めとする記録、配信、編集、画像解析に関するハードウェア、ソフトウェアの開発・販売を展開。特に手術室向け映像ソリューション分野では国内400施設以上への導入実績を持つ。2018年にEIZOグループに参画し、同社のモニターソリューションと融合することで、映像の撮影・記録・配信・編集に加え表示も包括的に提案が可能となった。両社はヘルスケア市場向けの事業拡大を重点施策の一つに位置付け、手術室分野の映像記録・配信・全国サポートのトータルソリューションを提供している。

カリーナシステム株式会社

※ 本記事は2021年11月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

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