株式会社ブシロード様

IIJの技術力とノウハウを生かし
約100サーバのゲーム配信基盤をクラウドで構築

トレーディングカードゲームを開発、販売する株式会社ブシロードでは、スマートフォン向けサービスとしてSNSとオンラインゲームを楽しめる｢ブシモ｣を提供。その配信基盤にIIJのクラウドサービス｢IIJ GIO｣を活用する。要件に応じた柔軟なリソースの利用はもちろん、IIJが持つゲーム業界での豊富な実績とノウハウ、国内データセンターならではの接続性、構築・運用の技術サポートなどが評価された。

ゼロからスタートしたスマホ向け新サービス

ブシロードはトレーディングカードゲーム（以下、TCG）専業メーカーとして2007年に設立された。老舗のゲーム会社や玩具メーカーなどの競合がひしめく中、TCG専業メーカーとして市場を確立。例えば、ヒット商品の｢カードファイト!!ヴァンガード｣はカードゲームのほか、テレビアニメやコミックとのメディアミックスを展開。友人などと1対1で対戦を楽しめるだけでなく、全国のファンが集合する「大ヴァンガ祭」などのイベントも実施している。

さらに、対面型TCGの楽しみ方に加え、ネットワークを介したオンラインゲーム市場が拡大。ブシロードの広瀬和彦氏は｢アナログのTCGに加え、デジタルのスマートフォン向けSNSとゲーム市場に参入し、事業の幅を広げる狙いがあります。TCGとSNSはコミュニケーションを通じて楽しみ方が増えるという共通点もあります｣と述べる。

ブシロードはゲーム制作の協力会社とともにTCGのコンテンツ開発では豊富な実績がある。だが、スマートフォン向けサービスのプラットフォームづくりではゼロからのスタートである。そこで、スマートフォンのコミュニケーションサイトを構築・運営するノウハウや技術力のある株式会社ピー・アール・オー（以下、PRO）をビジネスパートナーとして新規事業にチャレンジすることになった。

ゲーム市場の実績や支援を評価し、IIJ GIOを採用

PROは、2012年2月からブシロードの要件にマッチするプラットフォームの検討に着手。第1の要件は、クラウドサービス事業者として豊富な実績があることだ。「多くのユーザーが利用するSNSやゲームのプラットフォームを任せることになるので、事業者の規模と実績は重要な要素になります」とPROの内村浩一氏は述べる。

第2の要件は、クラウドサービスの基盤となるデータセンターとモバイルキャリアとの接続遅延ができるだけ小さいこと。ユーザーがスマートフォンからクラウド上のゲームにアクセスする際、データセンターが遠隔地にあると遅延が発生する懸念もあり、快適にゲームを楽しめなくなる恐れもある。

第3の要件は、ゲームやSNSなど大規模な会員サイトの構築・運用実績があること。｢ゲームなどのプラットフォームの運用実績を持つ事業者であれば、安定性・信頼性の面でも安心できます｣（内村氏）。第4の要件は、手厚い技術サポートを受けられることだ。「クラウド事業者によっては、サーバやストレージなどのリソースのみを提供し、構築・運用は自己責任で行うケースもあります。SNSやゲームのプラットフォーム構築・運用は初めての経験であり、技術・ノウハウを教えてもらえる事業者であることを要件にしました」と内村氏は説明する。

そして、国内・海外の複数クラウドサービス事業者を比較・検討した結果、PROではIIJのクラウドサービス｢IIJ GIO｣をブシロードに提案。その理由について、内村氏は｢国内にデータセンターがあり、モバイルキャリアとの距離による接続遅延の心配はありません。また、IIJは大手ゲーム会社のプラットフォームを手がけている実績もあり、安定性の高いサービスを提供できます｣。一方、提案を受けた広瀬氏は｢高い技術力に基づいた設計・構築・運用の支援を受けられることや、クラウドサービスの費用などを総合的に判断し、IIJ GIOの導入を決定しました｣と話す。

約100台のサーバで構成される大規模な配信プラットフォーム

ブシロードとPROは2012年12月のサービス開始を目指してプラットフォームの設計・構築に着手。IIJ GIOホスティングパッケージサービス（仮想サーバ）とIIJ GIOコンポーネントサービス（物理サーバ）合わせて約100台に及ぶサーバを導入、先行するソーシャルゲーム会社に負けない大規模なプラットフォームを構成している。SNS、ゲームのアプリケーションは仮想サーバを利用。ユーザー数に応じてリソースを増減するなど柔軟に対応するためだ。また、顧客情報や課金情報、サービスの利用状況を記録するアクセスログなどのデータベースサーバには物理サーバを利用。「物理的に独立した専用サーバを利用することにより、重要なデータの保持とパフォーマンスを確保する狙いです」と内村氏は用途に応じて仮想サーバと物理サーバを使い分ける理由を説明する。

IIJはミドルウエアの動作検証などをサポート。検証結果をもとにPROがシステムを構築するなど綿密に連携。アプリケーションやデータベースを載せたテスト用サーバを構築し、ゲーム制作の協力会社にもテスト環境を提供するなど、「IIJの技術サポートを受けながらテスト環境と本番環境のプラットフォームを構築しました」（内村氏）。

そして、2012年12月からスマートフォン向けサービス｢ブシモ｣をスタート。IIJ GIOをプラットフォームに｢カードファイト!!ヴァンガード惑星大戦｣や「バウンドモンスターズ」などのゲームアプリを提供している。広瀬氏は｢人気の高いゲームをスマートフォンで楽しむユーザーが増えており、新規ビジネスの手ごたえは大きいですね。IIJは豊富なノウハウをもとに的確な技術サポートをしてくれるので助かっています｣と評価する。

新たなコンテンツとして、カードとオンライン対戦を組み合わせて楽しめる「キングオブプロレスリング」などのゲームを開始。今後、ゲームのラインアップ拡充やSNSの利用増加とともにプラットフォームも拡大・成長していく必要がある。｢技術革新は目覚ましく、IIJには開発のパートナーとして新技術を生かしたプラットフォーム構築の支援を期待しています｣と内村氏は述べる。

IIJではゲーム市場におけるインフラ構築・運用の技術・ノウハウをベースに｢ブシモ｣のさらなる成長を支援していく。

株式会社ブシロード様に導入したシステム　概要図