四街道市は、市民が共に未来を創造する「市民参加」のまちづくりを推進。その中でも、四街道市役所の経営企画部情報推進課ではITの側面からまちづくりの支援を行っており、「四街道市情報化推進計画」(平成24年・25年度)を2012年に策定した。
4つの基本目標を掲げ、「魅力あるまちづくりのための情報化」では、市の魅力あふれるコンテンツをITによって整備する。例えば、JR四街道駅構内に大型ディスプレイを設置し、「タッチパネルで市民活動を紹介したり、市内のイベントをビデオで撮影したりするなど、四街道市の魅力をアピールする活動を続けています」と情報推進課主査の荒巻敦司氏は取り組みの一端を話す。
このほかの目標には、「行政サービス向上のための情報化」「効率的な行政運営のための情報化」「人材育成・情報セキュリティ対策」がある。
「効率的な行政運営のための情報化」では、業務改革の最適化を図る手段の1つとしてITを有効活用。限られた財源の中で最大限、効果を発揮できるよう費用対効果の検証を行う。そして、情報システムなどの導入に当たり、コスト削減のほか、安定的かつ継続的な稼働を目的に、自治体クラウドやASP・SaaSサービスの活用を優先して検討している。
四街道市では、2001年に市イントラネット(情報系システム)基盤整備事業を実施。庁内のネットワーク整備と出先機関を高速ネットワークで接続し、庁内の情報化を進めてきた。「サーバなどのハードウエアは購入し、10年間の継続利用を方針に運用を行ってきました。OSやミドルウエアなどは必要に応じて5年ごとに更新していましたが、コストや運用面で課題を抱えていたのです」(荒巻氏)。
そこで、庁内で構築・運用していた情報系システムの一部をASPサービスに移行。ホームページのコンテンツ作成に利用するCMSや、例規検索システム、メール配信サービス、グループウェアを順次、ASPサービスに移行し、システムの安定稼働を図りながら、運用の手間とコストを軽減してきた経緯がある。
情報推進課は少人数で情報系システムと基幹系システムの企画、導入、運用保守などの業務を担う。加えて、「職員にシステムの操作方法を説明したり、トラブル対応を行うヘルプデスク業務も請け負っており、課員は1人何役もこなさなければなりません」と情報推進課主任技師の綿貫陽一氏は打ち明ける。
そして、市イントラネットの基盤整備から10年以上が過ぎ、サーバの更改に合わせ、運用保守の負荷やコストの削減、セキュリティ強化などを目指し、長期的な利用を見据えてクラウドサービスの活用を検討することになった。
情報推進課では2013年に「四街道市情報系クラウドサービス整備委託事業」の要求仕様書を作成。要求仕様に対し、複数の事業者が提案書を提出し、プレゼンテーションを実施。その中からIIJの提案が採用された。提案内容は、「IIJ仮想デスクトップサービス」をはじめ、「IIJ GIOコンポーネントサービス」を利用したファイルサーバ、ADサーバ、資産管理サーバなどの提供だ。
これにより、情報系システムのアセットレス化及びハードウエア保守や情報セキュリティ対策の運用アウトソーシングを実現。
「システム運用工数が軽減され、コストに見合った効果が得られています。また、一定期間で試算したところ、自前でサーバを用意して運用した場合より、IIJのアウトソーシングサービスを利用した方がリーズナブルでした」(荒巻氏)
四街道市役所ではPC端末のOSとして、サポート終了が迫るWindows XPを利用。仮想デスクトップに移行することにより、業務アプリケーションを改修することなく、既存環境の継続利用も可能だ。仮想デスクトップの管理・運用では高度な専門知識が要求されるが、IIJでは仮想デスクトップサービスの運用サポートオプションを提案。障害発生時のオペレーションに加え、設定変更やパッチ適用などの運用業務をIIJのエンジニアが代行する。
また、情報セキュリティ対策として、統合メールセキュリティ「IIJセキュアMXサービス」、統合Webセキュリティ「IIJセキュアWebゲートウェイサービス」を提案。従来、庁内でメールやWebのセキュリティ対策を実施してきたが、IIJのサービスを利用することで常に最新のセキュリティ機能を利用できる。
荒巻氏は「IIJはサービス内容と料金体系が明確です。加えて、プロジェクトの各担当者は市イントラネットの課題をよく理解し、運用面を含め、解決するためのサービスを提案してくれました」と評価する。
これまで庁内で運用するファイルサーバやADサーバなどのデータを定期的にバックアップし、サーバを一時的に停止することもあったという。しかし、IIJのクラウドサービスを利用することで「バックアップ作業の負荷軽減とともに、システムを止めることなく24時間365日の安定稼働が可能となります」と綿貫氏は期待する。
また、情報推進課主任主事の高木謙次氏は「役所は人事異動が頻繁です。庁内のITに熟知した人が異動したり、新人が情報推進課に配属されたりしても、クラウドサービスを利用することで、安心して運用を任せられます」と話す。
荒巻氏は「運用保守の負担を軽減することで、本来の業務である情報化推進計画の立案、遂行などに専念できると期待しています。ITの進展が急速に進む中、最新技術やIIJのサービスを提案してほしいですね」と述べる。電子市役所の実現に向けて様々な取り組みを続ける四街道市の動向から目が離せない。
※ 本記事は2013年11月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。