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アステラス製薬株式会社 様アステラス製薬株式会社

リスク分析から設計、構築、訓練までの
一貫したプロジェクト遂行で
ディザスタ・リカバリ整備を支援

山之内製薬と藤沢薬品工業が合併して発足した医療用医薬品メーカーのアステラス製薬。
同社は合併に伴うシステム統合完了後の最優先の課題として、ディザスタ・リカバリ(DR)体制の構築に取り組んだ。
DR はあくまで事業の継続のためにあるとの観点から、全社的な事業継続計画(BCP)との整合性を持たせてDR 体制を整備。
コンサルティングとしてのリスク分析から要件定義、設計・構築、災害対策訓練までを一貫して推進するためのパートナーとしてIIJ-Techを選び、プロジェクトの遂行を委ねた。
IIJ-Tech は、全体のBCP の中でIT の領域でできることを見極め、大規模DR サイトを整備。無事、実運用を開始させた。

システム統合完了後の最優先課題としてDR対策に取り組む

2005年4月に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併して発足したアステラス製薬。同社は優れた新薬研究開発力を持つ日本発の研究開発型グローバル企業を目指して、グローバルに事業を展開している。

アステラス製薬は合併による当初のシステム統合が完了した2005年夏、システム面における課題を整理し、ディザスタ・リカバリ(DR)、ストレージの階層的な管理、バックアップシステムの統合の3つについて重点的に取り組むことを決定。以前からDRに関するコンサルティングで取引関係にあったアイアイジェイテクノロジー(IIJ-Tech)から具体的な提案を受け、システム構築を進めることにした。

同社とIIJ-Techの関係は、合併前の2003年にさかのぼる。2003年3月、サーバーの集約を終えた山之内製薬はリスク対策に取り組むことを決め、IIJ-Techにコンサルティングを依頼した。

「1ヶ月間の約束で、どのシステムが1番大切かというリスク分析の最初の部分を担当してもらい、うまく成果を出すことができました。そこで引き続いて、リスク分析やDR体制構築の方法などをまとめてもらい、2004年2月にはバックアップセンターの運用会社のコンペを行うところまで行ったのです」と語るのはアステラス製薬 情報システム本部 情報システム企画部 次長(インフラグループ統括)の竹沢幹夫氏だ。ところが、提案締め切り直前の2月24日に山之内製薬と藤沢薬品工業の合併発表が行われたため、DR体制の構築は凍結、合併のためのシステム統合に専念することになった。

山之内時代の成果をベースに、IIJ-Techにプロジェクトを委ねる

当初のシステム統合が完了した2005年夏、アステラス製薬がDR体制の構築をIIJ-Techに委ねたのは、山之内時代の1年間のプロジェクトをうまく進めてきたこと、アステラス製薬のシステムについての理解が深く、それまでのリスク分析やDRの方法論などの資産を生かせることが理由だった。そして、山之内時代の成果をベースにしながらも、対象システムが増え、採用する技術も新しくなる中でDRプロジェクトはスタートした。最初に要件として検討したのは東京のデータセンターが被災した際に、DRサイトに切り替える復旧時間だった。

「当初は半日ぐらいで復旧したいと漠然と考えていました。実際に詰めていく中で、被災してから切り替えが必要だと判断するまでに2時間、そして技術的な切り替え時間として4時間の合計6時間となり、最終的には想定した通りの時間に落ち着きました」と説明するのはアステラス製薬 情報システム本部 情報システム企画部 課長の須田真也氏だ。

次に、レプリケーションの方法の検討に入り、環境にも一番適しており、要件的にも問題がないとの理由から、サーバーベースのレプリケーションを採用することにした。

フェイルオーバーセット

  • ※ 上記は、災害時に意思決定のために参照する資料類「フェイルオーバーセット」。常に持ち歩くための携帯用もある。

災害時の復旧目標

人の要素を重視して、DRサイトの場所やテクノロジーを選定

その上で、DRサイトの場所を選定した。山之内時代に検討した時には、東京のデータセンターから30km離れていれば設備には被害は及ばないと、関東圏で探そうとした。しかしアステラス製薬になって、具体的なサイト切り替えのシナリオ作成を進めていく中で、運用する要員が被災している可能性が大きいだろうという結論に達した。DRサイトは無傷でも運用する要員がいないのでは意味がないとの判断から、関西地区にDRサイトを設置することになり、複数のデータセンターを含めて検討した結果、最終的に同社の加島事業所に落ち着いた。

「DRでは人の要素が大きいと考えています。テクノロジーは重要ですが、災害が起きた時に、実際に動くことができるかどうかがポイントで、机の上だけで計画を立てても意味がありません。マシンは大丈夫も、人が動けないのではDRになりません」と強調するのはアステラス製薬 情報システム本部 情報システム 企画部長の重富俊二氏だ。

そして2005年秋には、サーバーやネットワーク構成などの具体的な設計に入った。DR体制の下では、普段動作している本番ネットワークと非常時だけ動作するネットワークが通常時には共存している。そして、災害が発生した場合には、非常用ネットワークが本番用として切り替わって動作する。その仕組みをWindowsネットワークの中で作り上げていくことが最も苦心した部分だった。

ホストであれば切り替え対象は大きな1台のサーバーで済むが、Windows環境では複数のサーバーで構成されているため、本番サイトと同じ構成の環境をDRサイトとして構築しなければならない。

「全く同一のWindows環境を作っても、バッティングして動きません。そこで、本番サイトとは違うが、同じ内容になっているという矛盾した環境を実現するために、IIJ-Techの力でアクティブ・ディレクトリを中心に様々な工夫をして、必要な環境を構築しました」(須田氏)。

DRサイトの仕様要件からハードウエア構成を決定

加えて、本番サイトとDRサイトとの間ではデータのレプリケーションが正確かつ確実に行われることが必要だ。そのためには、本番サイトから送られたデータが最後まで確実にDRサイトに届き、万一データが届き切らない場合には、途中まで送られたデータを捨てて、もう一度データを送り直し、正しくデータを複製する仕組みがなければならない。そこで、DRプロジェクトではシマンテックのVeritas Storage FoundationとVeritas Volume Replicator(VVR)を使って、レプリケーション・データの正確性を確保することにした。

また、最小限のコストでDR体制を構築するための様々な努力も行った。本番サイトのサーバーはクラスタリングを行うことで、99.9%の可用性を実現している。それに対して、DRサイトはサーバーの機能は本番サイトと同じだが、可用性は思い切って95%に引き下げ、パフォーマンスも本番サイトの半分程度とすることで、ハードウエアコストの圧縮を図った。

「クラスタにしないと可用性は落ちますが、DRサイトでは95%程度でよいと割り切りました。また、東京被災時は利用者も大幅に減るため、半分の性能でも我慢できると考えました。その結果、サーバーの台数は本番サイトの半分にすることができました」(竹沢氏)。

システム構築過程での様々な問題もベンダーの協力を得て解決

サーバー購入後の2005年末から、システムの構築作業を開始した。既存の本番環境は元々、データ・レプリケーションを考慮に入れて開発されておらず、データ・レプリケーションが可能なように、新しいソフトウエアを追加する必要がある。そこで、既存環境と同一構成の環境を用意してテストを行ったが、新規開発のテスト環境とストレージの増設などがされている既存環境では、構成は同じでも微妙な違いが存在する。その結果、テスト環境では問題なく動作しても、本番環境ではうまく動作しないという事態が発生。IIJ-Techが中心となって、シマンテックやマイクロソフト、ハードウエアベンダーなどの意見を聞きながら調整を行った。

そうして問題を解決し、システム構築が終わったのが2006年3月。そこから、DRサイトへのデータの複製を開始した。まずExchange Serverのデータについては、VVRにネットワークの帯域を割り当て、WAN越え同期を行い、週末の夜に1晩で1台分のデータを転送、5週間かけて5台を完了させた。一方、ファイルサーバーについてはデータ量が多いため、バックアップテープで搬送し、リストアを行った。そしてVVRの機能を使って、ログを蓄積、テープで搬送した部分との差分をWAN越しに同期させた。

また、レプリケーションを行う際に、どの程度のトラフィック量が発生するか、机上の想定値だけでは実態が分からなかったため、サーバー・データを1台ずつ同期させる中で、徐々にネットワークの帯域を上げていった。このような過程を経て、2006年7月末には初期同期を完了、ネットワークの帯域幅も最終的に決定することができた。

こうして、システム構築が完了、続いてDRサイトへの切り替えリハーサルが行われた。リハーサルはDRサイトへの切り替え訓練と切り替えのための意思決定訓練の2段階で行った。まず2006年8月にシステムを切り替えて、問題なく立ち上がるかどうかをテスト。そこで設定の不備をチェック、既存システムの設定の不備なども含めて改善必要個所が見つかったため、それらを修正した。その中で、仕様策定時に立案した4時間という切り替え目標時間も実現可能なことが分かった。そして、12月にCIOによる意思決定訓練を行った上で、東京のデータセンターと大阪・加島のDRサイトを結んだDR体制の本格的な運用に入った。

災害対策実装の見直し/災害対策システムの導入・運営プロセス

文書管理システムを基にデータ管理を計画

一方、DR体制の整備と並行して、年率60%というデータの爆発的な増加に対して、Symantec Enterprise Vaultを利用したデータアーカイブによるストレージの階層的管理プロジェクトも進められた。

「2002年のサーバーの統合に合わせてSANを構築し、サーバーごとにディスクの追加をしなくてよくなりました。しかし大きなストレージの中で増え続けるデータを管理するのは大変でしたし、データが増え続けるので高価なディスクを買い足さなければなりませんでした。そこで安価なディスクをデータアーカイブ用にすることで、ストレージコストを削減しようと考えたのです」と竹沢氏は振り返る。

そこで、ディスクI/Oは遅いものの、ギガバイト単価で今までのストレージの5分の1という安価なストレージを購入。更新やアクセス頻度の高いデータと低いデータを切り分け、利用頻度の低いデータはアーカイブしていく仕組みを構築、ストレージコストの大幅な削減を実現した。

業務の中で、作成されるファイルは作成段階で、保存期間やセキュリティレベルを定義しないと廃棄することはできない。そうした仕組みを持たずに、ファイルサーバーにファイルを蓄積していくと、データは年率50~60%もの勢いで増え続けていってしまう。そこで、情報のライフサイクル管理(ILM)の入り口として文書管理システムで作成するファイルを1つひとつ定義し、保管されている期間中は更新やアクセス頻度の低下に伴って、アクセス速度の遅い安価なディスクにアーカイブ、設定された保存期間が終了したものは廃棄していく。アーカイブ用ストレージを導入してストレージコストを引き下げたアステラス製薬ではSymantec EnterpriseVaultと文書管理システムを組み合わせることで、こうしたデータの廃棄管理までを実現していく計画だ。

IIJ-Techの高い技術力と提案力で、実運用をスタート

アステラス製薬では情報システムの構築・運用はほぼアウトソースしており、今回のリスク分析から要件定義、設計・構築、データの初期同期、訓練に至る具体的な作業は、すべてIIJ-Techのプロジェクトチームが担ってきた。そして、システムの構築にはハードウエアベンダーからマイクロソフト、シマンテック、そして運用の担当会社まで多くの会社が関係しているが、それらもすべてIIJ-Techが取りまとめてきた。

「今回のプロジェクトではシステム構築だけでなく、災害に対する知識や対策立案に関する考え方をきちんと持っていることが必要でした。IIJ-Techのスタッフからは、システムの優先順位や復旧時間について、災害に対する国の定義や、東京での災害発生の可能性をベースとした対策の条件づけなど、詳しい理解を基にアドバイスしてもらえました」(須田氏)。

また、DR体制の構築ではテクノロジーの視点だけでなく、実際にDRを動かす側の視点が重要となる。「新しいシステムの開発と違って、DRは投資効果を算出できるものではありません。IIJ-Techにはテクノロジー至上主義に走らず、あえて必要でない部分は削り、コストを抑えてシステムの設計と構築を行ってもらったことも、今回のプロジェクトがうまくいった大きな理由だと思います」(重富氏)。

こうして、DR体制をスタートさせたアステラス製薬では、今後、最初の段階でDRから外したシステムについても、必要性があればDRに追加し、災害時にも利用できるようにしていく計画だ。また現在、DRで利用可能なシステムも順次、更新されていくので、DR側でもそれに合わせてシステムの更新を行っていく予定である。

プロジェクトのポイント

災害対策実装の見直し/災害対策システムの導入・運営プロセス

プロジェクトの概要

プロジェクト概要 システム災害対策計画に関するコンサルティングおよびシステム・運用実装
サービスカテゴリ
  • コンサルティング
  • システムインテグレーション
キーワード
  • BCPとの連動
  • BIA
  • Windows環境での大規模DRサイト
  • 災害対策訓練
  • プロジェクトマネジメント
  • ※ 株式会社インターネットイニシアティブと株式会社アイアイジェイテクノロジー(IIJ-Tech)は、平成22年4月1日をもって合併いたしました。本合併により、ネットワークサービスとSI事業を融合し、最適なトータル・ネットワーク・ソリューションを実現してまいります。

お客様プロフィール

アステラス製薬株式会社
本社:東京都中央区日本橋本町2-3-11
設立:1923年4月
資本金:1029億8500万円
国内トップクラスのMR 体制を持つ医療用医薬品メーカー。売上高、研究開発費も国内トップクラスで、国内では泌尿器、移植・免疫、循環器、消化器、感染症、精神科を主要製品領域にすると共に、米国、欧州、アジアにも積極的に展開、日本発の研究開発型グローバル製薬企業を目指している。

アステラス製薬株式会社

※ 記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。

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