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コラム|Column

ASEANの中進国として成長中のタイでは、最近消費トレンドに変化が起きています。これまでの「クルマ、住宅、基本的な消費財の購入・支出」が消費の中心だった時代から、商品の充実、収入の増加に伴い、様々な趣味嗜好が広がりをみせています。

タイの平均年収

2015年1~6月にタイ統計局が国内約2万6000世帯で実施した調査では、一世帯当たりの平均収入は月27,545バーツ(2006年17,787バーツ)、平均支出は月21,818バーツ(2006年14,311バーツ)でした。

(※)1タイバーツ=約3円(2016年8月現在)

タイ国内地域別にみた世帯当たりの月平均収入と支出は、以下の結果となっています。

・バンコクと首都圏3県(ノンタブリ、パトゥムタニ、サムットプラカン)
 =収入44,719バーツ、支出33,199バーツ
・中部=収入25,602バーツ、支出21,174バーツ
・北部=収入19,301バーツ、支出15,584バーツ
・東北部=収入21,763バーツ、支出17,863バーツ
・南部=収入27,107バーツ、支出21,771バーツ

また、2015年度の一般的な給与水準に関しては、以下のとおりでした。

1.大学の新卒レベル      12,000~15,000バ−ツ
2.有名大学・日本語スキル人材 20,000~35,000バーツ
3.マネージャークラス     25,000~35,000バーツ
4.ダイレクタークラス     60,000~80,000バーツ
5.一日の最低日給       300バーツ/日  6.ボーナス年に1回が大半(12月) 2カ月~6カ月 

日本と比較して給与水準はまだまだ低いものの、タイでは人材売り手市場が続いていることもあり、優秀な人材は転職を繰り返すことが多く、強気の希望給与を出してくるケースが非常に多いのが現実です。

また、日本と違い一般社員とマネージャークラスの給与格差が大きく、おおよそ3倍以上の差があるといわれています。さらに大企業では、新卒スタッフと部長クラスの給与差が5倍~10倍違うというケースもよく見られます。

日本では、平均値を取ってその国の給与・所得を判断してしまいがちですが、トップクラスのタイ人では既に日本の一般社員給与を大きく上回る所得・ボーナスを得ているケースも増えています。

筆者の感覚では、バンコク中心部に限って見ればアッパーミドルクラス世帯の所得は既に5万バーツ(17万円)を超えていると思われます。

ある欧米系調査機関の予測レポートでは、このままのペースで収入が増え続ければ、2025年にはバンコクの世帯収入は8万バーツ(27万円)を超え年収換算で324万円まで上昇するともいわれています。

タイの物価

タイの物価感覚としては、一般的な消費財については日本の3分の1程度の価格で購入が出来るものの、やはり物価は年々上がってきています。

<物価の例>
・飲料水ペットボトル = 10~25バーツ(30円~80円)
・日本食レストラン  = 200~300バーツ(600円~900円)
・タイの一般的な食事 = 50~100バーツ(150円~300円)

一方、日本から輸入される食品・菓子などは価格は大きく上がります。例えば、日本で100円程度の「雪見だいふく」はタイで購入すると100バーツ、日本でハーゲンダッツが買える価格になってしまいます。

ダイソーなど100円ショップの商品も、タイでは60バーツで日本価格の倍ほど、その他日本の書籍、便利グッズなどを購入しようとするとやはり高くなってしまいますが、日本からの輸入品には根強い人気があります。

このように、基本的な生活にかかる物価は低いものの、所得の伸びによる中間層の増加、海外からも商品が輸入され選択肢が増えたこと、消費者志向の多様化などにより近年は様々なトレンドが起きています。

アセアン ジャパン コンサルティング株式会社
代表取締役 阿部俊之

アセアンジャパンコンサルティング株式会社 代表取締役。
早稲田大学商学部卒業後、タイへ渡り、現在タイ国内で現地の経済情報を伝え、タイ企業のリサーチ、日系企業進出支援を行っている。タイ進出案件のコンサルティング、タイの企業支援、日系企業の海外進出支援等、精力的に活動中。アセアンの経済統合に備え、隣国の調査も開始している
『だからタイビジネスはやめられない!』等、タイ経済、タイ株式、タイ不動産に関する書籍5冊上梓。