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コラム|Column

インドネシアを席巻するBiznet GIO

2016/08/29

IIJとインドネシアの大手通信事業者Biznetが2015年に立ち上げたクラウドサービスに関するレポート「Biznet and IIJ: A Successful Partnership for Championing the Indonesian Cloud Market」 が、昨年末IDCから発行されました。本レポートでは、急成長するインドネシアのクラウドマーケットに挑戦するために、いかに両社が戦略的にパートナーシップを組んできたかを解説しています。以下はレポートの要約となります。

(※)レポートの内容は2015年12月末時点のものです。

日本語要約

2014年のIDCの調査よると、インドネシア企業の30% がすでにクラウドサービスを導入していて、2016年にはその割合が50%まで増加すると言われています。インドネシアでは、スマートデバイスの急速な普及によってBYOD が進んでおり、2014年の同社の調査によると、インドネシアの一般労働者の73%が、自分のスマートフォンを何らかの形で業務利用していると答えています。このBYODのトレンドは、企業が積極的にクラウドベースのビジネスアプリケーションを開発するための重要な背景となっています。また、Eコマース市場が急速に成長するインドネシアにおいて、利用した分だけ課金されるクラウドのモデルは、最も効率的なシステム基盤であると捉えられています。

このクラウドサービスに対する急速なニーズの高まりは、グローバルに展開するクラウド事業者にとってもビジネスチャンスになりえますが、インドネシアと海外を結ぶ国際回線の帯域が細いことや、国内で発生したデータを海外のサーバにおくことを禁止する規制が存在していることなどから、インドネシア国内から海外のクラウドサービスを使うことは非常に難しいと言えます。この背景から、現地の事業者が次々とクラウド市場に参入していますが、ダイナミックに変化する顧客のニーズに応えるための機能や、信頼性のある基盤を提供するという面ではどの事業者も課題を抱えていて、市場を牽引するような現地事業者は存在していません。

そのような背景の中、Biznet がたどり着いた答えが海外の事業者とのパートナーシップでした。

Biznet はインドネシア最大のICT企業の一社であり、ネットワーク、データセンターなど幅広くサービスを展開しています。2012年からはクラウドサービスを展開してきましたが、急速に高まるクラウドサービスへのニーズを背景に、サービス基盤のさらなる強化の必要性を感じ、有望なパートナーを探していました。単に豊富なシステム構築・サービス運用経験のある事業者というだけでなく、SDSなどの最新技術への取り組みや、技術的な側面にとどまらずにビジネスを成功させるために協力関係を構築できるパートナーを探していました。

BiznetはIIJをパートナーとして選択し、2014年にパートナシップを発表しました。IIJは、長年日本でネットワークやクラウドサービスを提供し、すでに世界各国にビジネスを展開しています。国際バックボーンを運用しているだけでなく、特にクラウドサービスに関しては、金融系企業や政府機関を含む幅広いお客様に対しての提供実績があったことが、IIJがパートナーとして選ばれた主な理由でした。

BiznetとIIJのパートナーシップは単なるベンダーとクライアントの関係ではありません。IIJ はBiznetとの信頼関係とシナジーを作り上げるために、15年間培ってきたクラウド技術をもって、クラウド基盤の構築とその運営をサポートしました。またエンジニアチームをインドネシアに派遣し、プロジェクト全体を統括・管理し、新サービス「Biznet GIO」を立ち上げに尽力しました。Biznet GIOではインドネシア国内のニーズに合わせて、拡張性・柔軟性の高い安価なパブリッククラウドサービスと、セキュリティ、自由度の高いプライベートクラウドサービスの二つのメニューを提供し、さらに2016年以降は様々なサービスのローンチを予定しています。

パートナーシップの発表からわずか6ヵ月後の2015年5月にBiznet GIOがスタート、その後1ヵ月で100社を超えるお客様を獲得しました。3ヶ月後にはさらに顧客数は300社を超え、業種、企業規模よらず幅広いお客様から受け入れられました。短期的な目標として、2016年にインドネシアのクラウド市場でナンバーワンになることを目指して、新たなデータセンターの構築やさらなる最新技術の活用などを計画しています。