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IIJ

コラム|Column

イギリスのインターネット事情

2013/08

IIJバックボーンがロンドンまで直通し、世界を一周したことで気になるのが、新たな拠点となったイギリスのインターネット環境である。本稿では、その概況をまとめてみた。

イギリスの首都ロンドンは世界一の金融センターと評され、ロンドンシティーには世界屈指の証券取引所であるロンドン証券取引所があります。またイギリスはIMFによると、2011年のGDPが2兆4175億ドルで世界第7位となっており、欧州では、ドイツ、フランスに次いで第3位です。今回は世界有数の先進国であるイギリスのインターネット事情についてお話ししたいと思います。

イギリスのインターネット環境

下記の表は、イギリスのインターネットの利用状況を日本と比較しながらまとめたものです。これを見ると、インターネットとブロードバンドの普及率は、日本より高水準であることが分かります。

比較項目 イギリス 日本
インターネット普及率 82% 19位 79.53% 24位
ブロードバンド普及率 32.74% 16位 27.60% 23位
インターネット利用者数 52,731,000人 8位 101,229,000人 3位
ブロードバンドの加入者 20,438,000人 6位 34,918,000人 3位

※資料:GLOBAL NOTE 出展:International Telecommunication Union (ITU) 2011年データ
※普及率はともに人口100人当りの試算
※ブロードバンドは通信速度256kbps以上の回線を指します

固定系のブロードバンドインターネットと言えば、日本では光ファイバーを直接宅内まで引き込むFTTHを連想しますが、イギリスの主流は現在でもADSLで、速度は下り8Mbps~24Mbps、月額料金はモデムレンタル費用などを含めて20~30ポンド(3000~4500円程度)が一般的です。インターネットと電話またはTVをセットにしたプランもよく見かけます。また、日本では使い放題・無制限が当たり前ですが、イギリスの安価なプランは、月間利用制限が10GB程度に設定されているものもあります。

ブロードバンドのマーケットシェアは、イギリス大手電気通信事業者であるブリティッシュ・テレコム(BT)、トーク・トーク(Talk Talk)、大手衛星放送事業者のブリティッシュ・スカイ・ブロードキャスティング(SKY)、大手CATV事業者のヴァージン・メディア(Virgin Media)の4社で大半を占めています*。
http://www.thinkbroadband.com/

最近ではBTが、ロンドンなどの一部で建物の手前まで光ファイバーを引き込み、建物内は既設電話回線でVDSLを利用するFTTC(Fiber To The Curb)方式の下り最大76Mbpsのサービスや、直接利用者宅内まで光ファイバーを引き込むFTTH方式の下り最大160Mbpsのサービスを開始しています。月額料金は、最大76Mbpsで40ポンド(6000円程度)、最大160Mbpsで50ポンド(7500円程度)となっています。必要かどうかはさておき、日本のような下り最大1Gbpsの超高速かつ安価な個人向けのインターネット接続サービスは未提供です。

法人向けインターネット接続

小規模オフィス向けのインターネットは個人向け同様にADSLで、通信速度は下り8Mbps~24Mbps程度のサービスが主流です。

BTのビジネス向けブロードバンド接続サービスは、スタンダードブロードバンド(ADSL2+)、スーパーファーストブロードバンド(FTTC/VDSL2)、リーストライン(専用線)の大きく三つに分かれています。さらにスタンダードブロードバンドのなかに、ベーシックブロードバンド、アンリミテッドブロードバンド、アドバンスドサポートの三つのプランが用意され、いずれのプランも固定IPアドレスは別オプションとなっており、1IPアドレス追加で月額5ポンド(750円程度)です。スタンダードブロードバンドで固定IP一個、転送量を無制限、モデムレンタル料金を含めると、月額35ポンド(5250円程度)になります。

サポートの受付は年中無休・24時間対応ですが、故障の際は翌営業日対応になります(専用線を利用したプランのみ、故障対応は5時間以内目標)。SLAは専用線プランのみ、可用性と遅延時間の保証があります。

イギリスのモバイル環境

最近のモバイルデータ通信は、HSPA+方式が主流で、都市の一部で4G LTEサービスが提供され始めています。プランにもよりますが、1GBで月10ポンド(1500円程度)です。イギリスの大手携帯電話会社は加入者数の多い順に、オーツー(O2)、ボーダフォン(Vodafone)、ティーモバイル(T-mobile)、オレンジ(orange)、スリー(Three)となっています**。
**http://www.telecomsmarketresearch.com

日本においては弊社も該当する、仮想移動体通信事業者(MVNO)のサービスも盛んです。代表的なMVNO事業者としては、T-mobile 網を利用しているヴァージン(Virgin)、Vodafone網を利用しているトークモバイル(Talkmobile)とビーティーモバイル(BT Mobile)があります。また、IIJ mioもサービス提供していますが、プリペイドSIMの種類が非常に豊富で、大変入手しやすい国の一つです。

訪英した際に驚いたのですが、ヒースロー空港の入国審査を通過すると、プリペイドSIMカードの自動販売機(Vendpoint)が設置されています。現金またはクレジットカードを挿入し欲しい商品の番号を押すだけで、いっさい個人情報を入力することなく誰でも簡単に購入できます。この自動販売機は品揃えも意外に豊富で、プリペイドSIMのほかに、USBドングルセット品や携帯電話本体をセットにした商品まであります。

実際に私が購入したのはThreeの3GBで30ポンド(4500円程度)のプリペイドSIMでした。購入した容量で不足したら、追加料金(TOP-UP)を支払えば引続き利用できます。Webからクレジットカードを利用してTOPUPする方法もありますが、イギリス国内で発行されたクレジットカードが必要です(イギリスのクレジットカードがない場合、コンビニエンスストアでTOP-UPすることも可能)。

自動販売機で購入したSIMを、日本から持参したSIMフリーのモバイルWi-Fiルータにセットして利用しましたが、下り速度は2Mbps程度出ており、非常に快適です。

唯一、滞在期間中に不便を感じたのは、地下鉄で利用できない点です。日本では地下鉄構内はもちろん、首都圏の路線なら車内でも利用可能ですが、ロンドンの地下鉄は駅構内でも圏外です。その代わり、主要120駅の構内では、Virgin Media のWi-Fiを利用できます。利用時はWi-Fiパス を購入する必要があります。One Day Pass で2ポンド(300円程度)となっており、その他にも、Weekly Pass や Monthly Pass もあります。また、Virgin、T-mobile、orange、Vodafone の加入者は、追加料金なしで利用できます。

ロンドンからの日本へのアクセス

滞在期間中は、ロンドンから東京本社へWi-Fiやモバイルデータ通信を利用して、インターネットVPN経由でアクセスしていましたが、北米経由の通信のため、往復遅延時間が300ms前後あり、リモートデスクトップ経由でメールを読み書きするのはまさに苦行でした。しかし今回、IIJバックボーンをロンドンに延伸したことにより、イギリスと日本間の通信遅延が大幅に低減されたので、次回の滞在時には快適に仕事ができるようになっていると期待しています。

今後、IIJグループでは、IIJバックボーンを延伸したことによる利点をフル活用できるようなサービスを充実させていきますので、どうぞご期待ください。

IIJ ネットワーク本部 小野原 雄平
本記事は、弊社広報誌のVol.117(2013年8月発行)に掲載されています。
Topics 世界一周 IIJバックボーン 「イギリスのインターネット事情」
IIJ ネットワーク本部 ネットワークサービス部 ネットワークサービス課 小野原 雄平
http://www.iij.ad.jp/news/iijnews/2013/pdf/vol117.pdf

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